Ethos-Annex
2014-10-14T01:22:30+09:00
bonniefish
Ethos-Annex やおい雑記
Excite Blog
盥に雨を聞く夜に
http://tanbi3.exblog.jp/23114609/
2014-10-14T00:23:00+09:00
2014-10-14T01:22:30+09:00
2014-10-14T00:23:42+09:00
bonniefish
801雑記
ここのところ少し騒がしさを見せた身辺が落ち着いたのを機に雑文を叙しています。
とんとこちらもご無沙汰ですが,特段足を洗って真人間になった訳では毛頭なく,
萬屋的な職制な上に書き仕事が増えたこともあり,感想を記す手間を厭ってしまう
(あとは左党としての活動機会も増加した)現状にあるというだけのことでして,
若さと身代を失う代わりに目方と蔵書ばかりが無駄に増えていくという有様です。
とはいえ次の異動に備えた蔵書の処分計画は遅々としながらですが進行しており,
ようやく持ち込んだうちの8割ほどを処分対象として確定するに至りました。
ここで驚いたのが801小説の量の多さで,段ボールの箱数の3割以上を占めており,
801コミックと合わせると余裕で過半数に達するほどで,他に雑誌がありますから,
予想以上にこの業界に深く関与していたなあとこの歳にして感慨を新たにしました。
放置してきた1年分以上の感想をレビューするだけの記憶力も失われて久しいですが,
トピック的にいくつか特筆しておきたいものはありますので,以下列挙しておきます。
・コミックでは梶ヶ谷ミチルに辿り着けたのが最近の最大の収穫でした。onBLUEは
基本的に好みとベクトルがずれているのでついチェックが疎かになっていたのですが,
この作家は若さと衝動(特に高校生ものの『成長痛』に顕著)を爽やかかつ切なげに
しかもエロく描いていて,久々にかなり萌えることのできる佳作に出会えました。
最新作に見られるようにちょっと話の運びやノリが軽めなのが難点でしょうか。
・同じくonBLUEレーベルの紀伊カンナ『海辺のエトランゼ』もなかなかの良作です。
CRAFTで始まった連載もトラウマを抱えていそうな2人の接近に目が離せませんが
こちらは付き合い始めてからの2人が自分と互いを見つめ直す過程が描かれていて
読後感の清々しさもなかなかでした。ただ惜しむらくはお互いが好意を持つまでの
心境の変化が省かれているところで,唐突に両思いになっている感は否めないかと。
・他にはヨネダコウ『それでも、やさしい恋をする』は言うまでもなく傑作ですし,
コガマユミ『らら,うららか』は初心なかわいさが余さず滲んでいて微笑ましく,
せのおあき『ねてもさめても』もどこか壊れたキャラと軽妙なやり取りが魅力的で,
あべ美幸『Super Lovers』の零くんは相変わらずツボのど真ん中にいるのでした。
・小説では,まさかの続編が出て驚いた菅野彰『毎日晴天!』シリーズを筆頭に,
近作はありませんが『春恋』の2人の幸せな結末を『秋色』で描いた朝丘戻。,
小説Dear+では『初恋ドローイング』で画家志望の高校生の瑞々しさを鮮やかに,
『ビューティフル・ガーデン』で身体先行のリーマン同士の熱愛を描いた安西リカ,
といったあたりが特筆すべきかと。渡海奈穂と一穂ミチの安定感も相変わらずです。
(渡海奈穂は昨年の小説Dear+アキ号『運命かもしれない恋』が出色の出来でした。)
書き始めると意外と長くなるのが私の性分のようですが,さすがにネタも尽きました。
次に書き込むのはやはり異動先ということになってしまうんですかね・・・。]]>
梅雨寒身に染む
http://tanbi3.exblog.jp/19928787/
2013-06-30T23:56:00+09:00
2013-06-30T23:59:10+09:00
2013-06-30T23:59:10+09:00
bonniefish
身辺雑記
この4月から異動となりまして,「一山百文」の地へと東下ることと相成りました。
業務の内容も9割以上変わり,あたふたとしているうちに3か月が過ぎた感じです。
ちなみに宿舎を頂いたのですが,家族用の3LDK(しかも対面キッチン!)でして,
寒々しいほどの広さをただ持て余しながらリビングの片隅で無聊を託っております。
家が広くなったのを良いことに,蔵書の整理と処分をすることを決意しまして,
まず801雑誌やアンソロについてようやく一応の仕分けを終えたところです。
1996年頃からのMBBやGUSTがどっさり出てきましたが,買取もなかなか無く,
古紙回収に出すしかないのかなあと思案していますが,いかんせん量が・・・。
心理的な多忙さもあってか,時間がある割には購入意欲も余り湧かないのですが,
年明け以来読んだ801作品で比較的良かったものを備忘録的に書き留めておくと,
・たうみまゆ『このよのはじまりこのよのおわり』 才が時代物で開花した感が。
・志々藤からり『お星様キラキラ』 タイトル作も可愛いが旧作や番外編が◎。
・サガミワカ『君が大人になる前に』 話は浅いがリーマンものはなかなか。
・加東セツコ『オーバーテイク』 タイトル作の少年の若さで精一杯な所が。
といった辺りが挙げられるかと。買って手元に残しているものが多くないなあ。
あと,『小説Dear+』が50号(!)を機に先日リニューアルしたのですが,
一穂ミチのアナウンサーもの『イエスかノーか半分か』がとかく出色の出来で,
キャラも立ち設定も描写も見事で大変楽しめました。主人公のダメさも見事。
個性的なキャラ同士が自然と心を寄せて行く様子をエピソードを積み重ねて描き,
背景の事態の進行ともどもとてもリアルで,すっかり話に引き込まれました。
本誌は唯一購入を続けている小説誌で,平均した質の高さは相変わらずですが,
最近の新書館に共通の状況として,新規企画に関しては迷走も否めないかなと。
最近新書館はアメリカのスラッシュものを文庫化し売り出そうとしていまして,
遂に本誌にも作品が掲載されたのですが,翻訳文体の堅さに眼が滑ってしまい,
どうにも読み進められませんでした。悪い訳とは思わないのですが全く無理。
私は個人的な趣味として萌えにも一定の文章の質を要求する傾向がありますが,
文体というのも没入する要素として重要なのだなあと改めて実感しました。
元来外国ネタはかなり苦手で余り読んでおらず,素養がない所為もありますが。
ただ,外国ネタでパロディという二重苦のような作品ですら私を引き込んだ
鷺沼やすな作品という例もありますので,全ては筆力に帰着するのでしょうか。]]>
玻璃鏡の曇り
http://tanbi3.exblog.jp/18229693/
2012-12-04T23:36:00+09:00
2012-12-04T23:43:15+09:00
2012-12-04T23:35:54+09:00
bonniefish
漫画感想
比較的落ち着いた日々を過ごしています。とはいえ積読本の多さは相変わらずですが。
さて,またぞろ本ブログの本旨とは異なる話題ですが,ナヲコ女史の新作目当てに
禁忌アンソロなる『Feroce』を購入しましたゆえ,一言コメントをしておこうかと。
(前回の記事の一部だったものを長くなりすぎそうだったので独立させたものです)
とはいえ,既に畏友がコメントを残しており,しかもお互いの評価している作品が
かなり重なっているということもありますので,一言だけ触れるに留めておきます。
全体としての感想については,上記リンクをご参照くださいと言うほかないのでして,
何が「禁忌」かという定義すらあいまいに作品を寄せ集めたのみとの評価は否めず,
統一感に乏しいといわざるを得ないですし,「一般的でない」恋愛を描いたところで
それをただ提示するだけでは百科事典や博物学的な見世物主義にしかなり得ません。
「禁忌」である以上は,それを犯すことへの「恐怖」「畏れ」「躊躇い」を描くか,
それを犯さざるを得ないような「激情」「本能」,その後の「背徳感」「罪悪感」を
書き込んで欲しいと思うのは,過度に文学的な古いアプローチなのでしょうか。
「JUNE」の原点であり,初期の「やおい」にこそ見られたものの,近年の「BL」から
ほぼ失われた「男同士であることの必然性」という視点にも繋がると思うのですが,
そんな複雑な情動の描き込みは,使い捨てられる「萌え」には不要なんでしょうね。
本作でのベスト3は,渡まかな『泪は弧を描いて』,水瀬るるう『やさしい毒』,
ナヲコ『アイドル同盟!』になるかと思います。話も画力も申し分ない感じです。
『泪~』は,男女の双子間の報われない恋愛感情をストイックに描き切った好作品。
重くなりすぎずとも,前世からの宿業をにじませ,関係が許されざることを知るも
想いを止められない主人公の想いや,それを弄ぶかのような背景に心動かされます。
『やさしい毒』は,小悪魔的な高校生男子が既婚の女性国語教師の隙に付け込み,
無邪気にかつ残酷に籠絡を図るという作品。実際は教師の髪をセットする場面での
危ういやりとりがメインなのですが,その後の頽廃的な展開が見てとれるようで,
最終ページのお互いの眼が描かれない会話の応酬にはゾクゾクとさせられました。
『アイドル~』は,男女の同性アイドルカップルの交流と深化を描き出した好作で,
互いの存在を知り勇気づけられるとともに,交際報道を機に先輩格の男性カップルが
双方出演の生番組でカミングアウトをする展開には説得性もあり楽しめました。
ただページ数が少なく,双方の感情の深まりや,出会ったことによる変化については
上述した程度にしか描かれていないなど,芝居の書き割りのような印象は否めず,
同女史のファンとしては愛でつつも惜しまれるという感が強くなってしまいました。
なお,畏友も触れた通り,受の「さくや」のショタ的な可愛さはピカイチです(笑)。
他には,悪口を言い合いお互いに仲が悪いと思っていた姉弟が,父親から悪口を
禁止されたことを機に互いの距離の近さと恋情に気付く大塚子虎『ディプラデニア』,
ベタなテンプレ作品が最終コマで見事一気に背徳感を帯びるHisasi『甘いとき』,
といったあたりは悪くなかったですが,その余はまあ・・・といった感じでした。
そろそろ『ひらり、』の最新刊も届きますし,同アンソロの番外編『ほうかご!』も
なかなかの出来だったので,一度まとめて感想を書いてみたい気もしていますが,
いつも通りのやるやる詐欺になりそうな気もしています。忘年会も続きますし。
]]>
警鐘に耳を欹て
http://tanbi3.exblog.jp/18194449/
2012-11-23T15:57:00+09:00
2012-11-24T08:56:12+09:00
2012-11-23T15:57:50+09:00
bonniefish
漫画感想
都下の勤務は残業こそ減りましたが仕事の種類が増え,また接客的(?)な仕事も多く,
なかなかに慌ただしい中,通勤に鉄道を使わなくなったためその分の読書時間が減り,
在米中に身についたネット中毒が抜けきらないまま時を浪費する傾向にありまして。
せっかく減らしていた購入量も最近は2~3割増しになっていますので,実家にあった
膨大な積読本についてはコミックこそ処理できましたが,文庫本は諸ジャンル合わせて
80冊程度に上り,一人暮らしのワンルームの一画でうなりを上げ続けております・・・。
ともあれ流石に1年分の積読本を読むと一言コメントしておきたい物も少なくありません。
昨夜佳作を読んだ勢いのまま,手許にある分だけでもいくつかご紹介しておきましょう。
名取いさと『日陰蝶』は,表紙の受らしき剣道少年の色気に惹かれ試し買いしましたが,
これが頽廃した淫猥さや昏い欲動に満ちつつも受のストイックさを良く醸し出していて
なかなかに堪能できる作品で,思わず3度読みして悦に入ってしまった次第です。
(もっともこれは後述の理由により読み込みを強いられたせいでもありますが。)
脇役のカップル(?)の描写が過剰気味だったり,逆に受攻ともに当て馬役との関係や,
攻の教師の過去などがあまり描かれていないためにやや分かりにくくなっていましたし,
何よりメインカップルが出来上がった瞬間に話が終わっているなど消化不良な点も多く,
構成力不足との評価は否めなさそうですが,それでもぐいぐい引き込まれる作品でした。
メインの3人に話を絞って描き切れば素晴らしい作品になったことは間違いないかと。
今後の作品にもかなり期待できますが,この脇カップルの話ならもういいかな・・・。
上作から頽廃さと不健康さを取り去りリア充さとおバカさを加えたとも言えそうなのが
如月マナミ(渡海奈穂原作)の『純潔ドロップ』。同じ高校を舞台とした兄弟作の一で,
もう片方は全く性に合わなかったのですが,本作は明るさとエロさのバランスが秀逸で
渡海奈穂の良い面(というか私の好きな面)が存分に出ていて非常に楽しめました。
顔は良く勉強もできるが天然ボケの攻と,スポーツ万能でストイックだが単純系の受が,
天敵であったにもかかわらず不意の邂逅から校内で性的な触れ合いを持つようになり,
互いの幼さからこれにのめり込む中で,攻がS的な喜びに,受が自分のMさに気づき,
最終的に互いにハマってカップルとして出来上がるいきさつが生き生きと描かれます。
一見どちらも受っぽく,受の方が攻くさいのですが,これが快楽に負けていく姿が
本当にエロかわいく,無邪気なSとわんこ系受の初々しさにかなりしてやられました。
(しかし受の方が気力体力があるので下剋上的要素も否定できないという美味しさ。)
他は実家に収容してしまったものも多く,手元に残してあるものだけ若干触れますと
ややテンプレやドタバタ劇に終始してしまい,各キャラの恋愛感情の深化の描写が
浅くなってしまったのが惜しまれるものの,相変わらずのキャラの可愛さは秀逸で
誠に微笑ましく,気軽に明るく楽しめたナナキシコの『お兄ちゃんの言うとおり』,
設定オチに近く各キャラの言動も破綻しており読書中いらつきすら覚えるダメさも
(しかも一見そうは見えないし,むしろ売れる要素が満載というのがまた度し難い),
零君が性格から見た目から全てドツボでやめられないあべ美幸『SUPER LOVERS』,
「エセファンタジー」になったことで設定等のいい加減さがさらに増した気もするが
脱力系でしなやかな各キャラの魅力がたまらないせのおあき『裏の祠の狐憑き』,
等が特筆すべきかと。最近とみにキャラの可愛さに弱くなっている気がします・・・。
あとは古い話ですが『小説Dear+ 2011 アキ号』掲載の渡海奈穂『いばらの王子様』。
朴訥としつつホモは隠せない田舎の旧家の長男である攻と,その幼馴染みのいとこで
元来の天の邪鬼ぶりがとある事件でさらにひねくれつつもデレ要素も残した受とが,
7,8年ぶりの再開を機に攻が受の手練手管であっという間に絡め取られてしまうもの。
いやこれが受の魅力の描写がたまらなく,かつての美少年時代の小悪魔的かわいさや,
現状のひねくれっぷりの背後に覗く純情さや必死さにもうしてやられること必至です。
ラストシーンでの受の述懐と,それを乗り越えるほど受にはまっている攻の心情が
どちらもとてもリアルに描かれており,久しぶりに801小説の妙を味わえました。
さすがは渡海奈穂の面目躍如でして,せのおあきの美麗なイラストも最高でした。
この夏は数年ぶりにアニメにハマってみる(米澤穂信原作の『氷菓』です)など,
若干の新機軸もありましたが,気がついて見れば十年一日の生活を送っております。
今後に向けた活動等もしていないではないのですが,まあ暫くは現状維持かなあと。
たまにはこんな長文をものしたり戯れにスキンを変えてみるもの悪くないですしね。]]>
ウサギ小屋への帰還
http://tanbi3.exblog.jp/17767196/
2012-07-16T17:31:00+09:00
2013-05-29T08:26:32+09:00
2012-07-16T17:31:30+09:00
bonniefish
身辺雑記
しばらくは1年分の購入本に埋もれながら都下で過ごすこととなりそうです。
ちなみに帰国して自宅に戻ったその日のうちにまず読んだ801本は,
鷺沼やすな『夢の卵』(新書版)と,JUNE全集の嶋田双葉の各作品でして,
いかに自分が活字に飢えていたかをしみじみと再確認させられました。
特に前者は手荷物に滑り込ませなかったことを現地で何度も悔やみましたし。
問題は流石に暫くこき使われそうなため趣味の時間が取れないことですが・・・。]]>
百年一日
http://tanbi3.exblog.jp/17584897/
2012-05-26T17:36:00+09:00
2013-05-29T08:27:10+09:00
2012-05-26T17:36:10+09:00
bonniefish
長文雑想
西条公威女史が断筆宣言をしてサイトを閉鎖しているのを発見し,正直驚いています。
過去に一時閉鎖された際には無事再開されましたので,今回も再開を祈るばかりです。
西条公威女史の作品については,その見かけの強烈さから魅力を語るのが容易でなく,
また残念ながら広範な同意を得られるものではないであろうことも明らかであったため,
文章にするのを先送りにしていたのですが,これを機に少しまとめてみたいと思います。
一般的な評としては,彼女の作品はは「痛い」との括りで語られる事が多いと思いますし,
決して間違いではないのですが,これだけでは西条作品の特質を捉えたことにはならず,
むしろ「痛い」とされる他の作品と共通性があるという誤解を招いてしまうように感じます。
欲望・衝動・暴力を,真正面から,しかし一歩突き放して(濃密だがどこか冷やかに)描く,
独特な鋭利さと,男性向けエロにも近いリアルな不品行の描写とが絶妙に溶け合う共存。
登場人物達がその情動にどこまでも忠実でありながら,自らがタブーを犯している事実を
厳然と自認している(諦念または罪悪感)ために生まれる,独特の緊張感,背徳感と高揚。
全ての要素が強烈なパンチ力をもって読者に迫り,「痛み」を感じさせるのだと思うのです。
別な面から見れば,キャラの設定,世界観,描写(特にエロ)において,手加減することなく
書きたい/書くべきものを書いている訳ですから,読者を選ぶのは間違いないでしょう。
(だからといって高尚だと言うつもりはありません。むしろ一面で下品であるとも言えますし)
私自身,高校生のときに初読した際には全く作風を受け付けなかったのも事実です。
よく比較に挙げられる(西条女史は不満だそうで)のが木原音瀬,榎田尤利の両名ですが,
私の読んだ作品を見る限り,西条作品とは目指すものが全く違っていることは明らかです。
両名の作品中の価値観等は,あくまで「こちら側の常識」に基づく画一的なものに過ぎない
見世物主義であり,「異常」「禁忌」を当事者として内側から描いたものではないですから。
個人的な感覚ですが,榎田作品でも「痛さ」はキャラクターをテンプレから脱出させるため,
そしてその葛藤等を描くことで話に一応の深みがあるよう錯覚させるためのものでしょうし,
初期を除く木原作品に至っては,奇矯で歪んだキャラクターが理不尽な言動を取ることが
むしろ「売り」になってしまっている(主客が転倒している)ように思えてならなかったので。
(とはいえ,榎田作品は『永遠の昨日』で食傷気味になり避け始め,ジャンルで買ってみた
『Largo』も違和感が拭えず,信者の激しさにドン引きして4作しか読んでいないほか,
木原作品も初期の5,6冊は好きでしたが,キャラの痛さが単なる作話上のツールへ
なり下がり,意味づけに乏しい卑屈さ,妬み,暴力等をテンプレ的に描くだけになった上
(特に刑務所シリーズ),やはり信者の激しさにドン引きして読まなくなっているので,
その後に変化した可能性は否めませんが,西条作品と交錯することはないかなと。)
上記の評からも明白な通り,私は西条作品をその醜悪な面も含めて愛してやみません。
「壊れた」人や世界を描くことは,ともすれば自らが正常であることを再確認するためだけの
低俗な見世物主義に陥りがちですが(残念ながら一部の木原作品などに顕著なように),
西条作品は,常識とは,タブーとは何かをしっかりと踏まえながら,その枠を平然と乗り越え
「こちら側の常識」を揺さぶってくる凄味があり,読者としてただ感服するばかりなのです。
西条作品では,登場人物達は善悪や正否は別として自らの生き様を貫くことになります。
「エス」のように登場当初から突き抜けているキャラクターは蠱惑的な魅力を放ちますし,
自らの情動に衝き動かされ最後にタブーを乗り越えるキャラクターたちの姿もまたリアルで,
圧倒されると共に,いつか自分も同様に堕ちてしまうのでは・・・との恐怖にも襲われます。
換言すれば,西条作品の持つ「痛さ」は,単に登場人物や世界観から「痛さ」にとどまらず,
読み手側の足元を揺さぶり,依って立つ価値観を疑わせる鮮烈なパンチとしての「痛さ」,
自らの在り様を根底から問われる「痛さ」であるとも言えるのではないでしょうか。
また長々と需要の乏しい文章を書いてしまいましたが,奇特な読者子におかれましては,
ぜひ西条作品を一度手に取ってみていただきたいと切に希望するばかりであります。
作品に無料で気軽に触れることができる場としても,サイトの復活を祈るばかりですが・・・。
(完全な男性向けエロ小説も掲載されていましたのでその点でも読み手は選びますね・・・)
最後に再開への期待と込めてサイトへのリンクを貼っておきます。→ 硝酸銀シャワー]]>
タイトル一覧(小説編)
http://tanbi3.exblog.jp/17439396/
2012-04-18T09:27:00+09:00
2012-04-18T19:07:45+09:00
2012-04-18T09:27:46+09:00
bonniefish
小説感想
新規はひのもと,森田の2冊のみですし,夏乃と楠田の2人以外は全て作家買いです。
小説は昨年8月の記事に書いたとおり鷺沼やすな作品と渡海奈穂作品の2冊しか
こちらでは読めていないので,読書への渇望はより強いかもしれません・・・。
かわい由美子『月一滴』
ひのもとうみ『ソネット』
一穂ミチ『meet, again』
一穂ミチ『off you go』
一穂ミチ『シュガーギルド』
一穂ミチ『窓の灯とおく』
夏乃穂足『茜色デイズ』
橘紅緒『オーバーザレイン』
栗城偲『スイート×リスイート』
栗城偲『君の隣で見えるもの』
森田しほ『罪の海に満ちる星』
成宮ゆり『ワガママな独占欲』
西条公威『造花の解体』
朝丘戻。『星を泳ぐサカナ』
渡海奈穂『その親友と、恋人と。』
渡海奈穂『先生はダメな人』
渡海奈穂『追いかけようか?』
渡海奈穂『恋でクラクラ』
楠田雅紀『史上最悪な上司』]]>
タイトル一覧(コミック編)
http://tanbi3.exblog.jp/17439385/
2012-04-18T09:22:00+09:00
2012-04-18T19:06:58+09:00
2012-04-18T09:22:44+09:00
bonniefish
漫画感想
なるべく購入量を抑えているので8割以上くらいが固定作家さんな気がします。
というか全くの新規開拓は5冊(永野,青井,大沢,野本,鈴目)しかない気が・・・。
作家買い(作品コンプリート)をしている人も多いですが,複数買っているにも拘らず
作家買いではない人もいるので,自分でも基準は良く分からないところもあります。
タイトルを並べていると,読みたいという衝動が久しぶりに高まってきましたが,
送ってもらっても荷物になるだけなので,まだしばらくはお預けですね・・・。
RINO『10年たっても愛してる?』
あべ美幸『SUPER LOVERS 3』
あべ美幸『SUPER LOVERS 4』
あべ美幸『初恋』
スナエハタ『とろける半熟友情クエスト』
ぢゅん子『傘の下ふたり』
トワ『秘密にスキャンダル』
ナナキシコ『なつこいしっぽ』
雨隠ギド『悪人を泣かせる方法』
雲之助『きみに注ぐ』
雲之助『こっちにおいで』
雲之助『男の子と恋』
永野クロエ『午睡の森で、』
乙里玲太朗『ぐる〜〜っと3回まわって!』
乙里玲太朗『上からエロ執事様』
乙里玲太朗『僕ら、我慢できないの!』
菊屋きく子『ひみつの棘』
菊屋きく子『間違いだらけの愛情表現』
三池ろむこ『ふつりあいなチョコレート』
三池ろむこ『ゆうぐれのまち』
山本小鉄子『ほんと野獣 5』
秋葉東子『俺を愛してもいいんだぜ? 1』
青井陽『花かぐわし』
大月クルミ『6LDK〜大型犬が入居しました』
大月クルミ『恋ひ恋ひて』
大沢あまね『ベランダでランチ』
藤谷陽子『るったとこだま3』
楢崎壮太『Go for it!! 2』
楢崎壮太『アオイコイ』
氷室桜『キミのとりこ』
平喜多ゆや『恋の微熱がさめなくて』
野本なぎな『ストロボスイッチ』
倫敦巴里子『或るミステリ作家とその担当編集にまつわる記録』
鈴目ゆら『年下男子は待てができない』]]>
親不幸な話
http://tanbi3.exblog.jp/17439274/
2012-04-18T08:40:00+09:00
2012-04-18T09:16:36+09:00
2012-04-18T08:40:55+09:00
bonniefish
801雑記
いよいよ帰国が遠からぬ話となってきまして,諸々の事務作業が始まっているのですが,
そうするともたげ出すのが逃避癖と言うのは海外生活を経ても全く変わらないようです・・・。
ふとした思いつきで,当地から通販で購入して実家に送りつけている書籍の実情について
調べてみましたので(購入履歴って便利ですね),更新を兼ねて挙げてみたいと思います。
昨年7月某日から本日までの購入冊数・・・224冊
内訳(購入点数が多い順):
一般コミックス・・・74点
ライトノベル・・・47点
801コミック・・・34点
801雑誌・アンソロ・・・26点
一般小説・・・21点
801小説・・・19点
一般アンソロ・・・3点
予想より点数が多く,また一般コミックやライトノベルの冊数が多いことにも驚いています。
極力手を広げないようにしているのですが,それでも好きな作家の新刊を押さえるだけで
こうなってしまうのかなと。また中には百合ものや801作家の作品も含まれていますし。
またやはり801系,特に小説の購入点数が減っているのは顕著というほかないなあと。
以前なら月に10冊以上買うことも珍しくなかったのですが,自他の変化は激しいですね。
コミックは大分選別を厳しくしているので月4冊ペースというのはまあ妥当な所かなと。
801雑誌やアンソロは,渡米を機に『GUSH』や『BE×BOY』等の購読を辞めたのですが,
月刊の『Dear+』,いつの間にか隔月刊になった『Canna』,隔月刊の『Rutile』,
季刊の『小説Dear+』『CRAFT』を押さえるだけでそれなりの点数になってしまうようです。
ちなみに一般アンソロというのは何を隠そう百合系の新書館『ひらり、』でございます。
まあいずれにしても三十路を大きく回った者の買物としては微妙なものがありますし,
斯様な物が月2回ペースで送りつけられてくる実家の両親からしたらたまらないでしょう。
私が不在なので私の部屋に一応まだ空間的余裕があることと,両親ともに絶対に
勝手に包装を解かない性格であることがまだ救いかもしれませんが・・・。
これも良い機会ですし,震災を受けて給料が大幅に下がったこともありますので,
今後はさらに購入対象を絞っていきたいものですが,はたしてどうなるやら・・・。
801系の購入作品については,次の記事でタイトルだけですが一覧にしたいと思います。]]>
訳あって異国にいる
http://tanbi3.exblog.jp/16463410/
2011-08-25T13:30:00+09:00
2011-08-29T12:45:47+09:00
2011-08-25T13:30:19+09:00
bonniefish
身辺雑記
諸事情がありまして,私は今禄を食みつつも米国中西部の空の下におります。
諸々の制約から,「その日,僕たちの爪と歯は。」と「放課後は秘密のふたり」のみを
持ち込む予定だったのですが,幸いにも在米中も801環境には恵まれそうでして,
諸々の幸運ににただ感謝するだけの毎日です。持って生まれた幸運だけは多いようで
我が人品の貧しさに鑑みるとただただ申し訳なく思うばかりなのですが・・・。
環境の激変を前にして,管理が困難であった一部書籍の処分を始めたのですが,
業はやはり深いようでなかなか売却や処分への思い切りをつけるのが難しく,
しかも一部の新刊についてはいまだに購入を続けていますので(実家に送付),
出国中も楽天の「プラチナ会員」が余裕で維持できそうな状況です(笑)。
自分が環境の変化に(経験したことがないことに)弱いことに驚いていますが,
ともあれ,生活が落ち着けば余暇はむしろ増えるものと予想されますので,
ここを閉じることなく何某かを記載していきたいとは思っております。
・・・最近私事での筆禍が多いので気をつけたいところですが・・・。]]>
気もそぞろ
http://tanbi3.exblog.jp/15671080/
2011-03-16T23:25:00+09:00
2012-11-23T17:43:32+09:00
2011-03-16T23:25:15+09:00
bonniefish
801雑記
ようやく諸々に慣れ始めて落ち着きを取り戻しつつある中で此度の惨事の報に触れ,
哀悼の意と今後の情勢への不安感と実際の日常生活上の若干の支障などの影響で
気がそぞろになることを防げずにいる今日この頃です。一刻も早い回復を祈念します。
私も自宅まで職場から2時間弱歩いて帰宅したり,部屋の本が結構崩れたりしましたが,
特段の被害はなく,残業自粛令に従い自宅で布団に包まり積ん読本を消費しています。
注文した本は楽天のシステムトラブルや今般の輸送情勢等もあり到着が遅れていますが
それでも積ん読本を消費しきることはおよそ無さそうでして・・・。どうしたものか。
年明け以降の801の状況ですが,チェックしていなかったGATEAUレーベルのコミックを
たまたま買ってみて,なかなかに好みの佳作が揃っていることに驚きまして,慌てて
各通販サイトを回って既刊を買い集めて読みふけり,一人で悦に入っております。
遅れて創刊したアンソロは迷走の度合いが高いようですが,今後には期待大かなと。
ここにきて『CANNA』や『BOYS BLUE』などのそれなりに粒ぞろいのアンソロや雑誌が
立て続けに創刊されていまして,業界の動向がどのようなものか気になるばかりです。
あと気になっているのが秋葉東子の『オレンジデイズ』のセリフに出てくる英語ですね。
連載当時も気になったのですが,中学英語の短文の中に複数の間違いがありまして・・・。
まあ主人公の高校生のヒアリングの問題?の解答?として話している英文ですので,
わざと間違えている可能性も無くはないとは思うのですが。ちなみに以下の文章です。
"It take me about twenty minute to go to get to school."
『学校に行くのに20分ほどかかります』という和訳がついていますが・・・。
"It takes about twenty minutes for me to go to school."ではないかと。
(三単元のs,meの位置と前置詞,複数のs,謎のto getという感じでしょうか。)
しかし相変わらずの重箱の隅をつつくネタは人格の歪みの賜物としか言いようもなく。
ただ編集の方も気づかなかったんでしょうか。結構こういう点のスルーは多い気もして。]]>
新年のご祝詞
http://tanbi3.exblog.jp/15264672/
2011-01-02T16:46:00+09:00
2011-01-02T16:47:10+09:00
2011-01-02T16:46:06+09:00
bonniefish
漫画感想
本年は諸事情あって実家でのんびりと新年を過ごしております。束の間の平穏でしょうか。
今月末には内部異動がありますので,何かと気ぜわしいような更に暇になるような・・・。
さて,年明けらしく,昨年読んだ801漫画及び小説の各十傑をまとめてみようと思います。
とはいえ細かい順位まではつけませんので,基本的に順不同なものとご理解ください。
一応各作家につき1冊という縛りはつけた上で,適宜コメントしていくスタイルを取りました。
また,楽天の購入履歴を元に記憶喚起していますので,他のサイトから購入した書籍は
選考対象から漏れてしまっている可能性も否定できませんが,まあご愛嬌ということで。
〇コミック
・平喜多ゆや『ミラクルだとか恋だとか』
全作品が良い作家ですが,表題作のカップル2人の初々しさと,本人的には微妙らしいが
太い描線が非常に官能的で好みな「駆けて恋して」が入った(受の暴走も良い)本作を。
・志々藤からり『この恋に落ちてこい』
801的な運動部ものには弱いのですが,この自意識過剰でツンデレな主人公があっさり
攻に懐いた上,双方が意識しあって恋に落ちていくまでの流れがもうたまりません。
・宮城とおこ『遠い日の蝶』
「G線上の猫」シリーズの番外編は,全く大人になれない年上組の痴話喧嘩もの(?)。
まあどこまでもこの作家らしさを貫いた上ですべてが大団円ということでよろしいかと。
・やまかみ梨由『アンチロマンティストの憂鬱』
まだ話が途中なのですが,原作由来と思われる受の心情の揺れやら攻の言動の描写が
絵師の表現力もあいまってなかなかの好作かと。野守絵で見たかった気もしますが・・・。
・二宮悦巳『ももいろ倶楽部にようこそ(1)』
これまた漂流するなりに激濃な萌えが詰まっていてなんともコメントに困る作品ですね。
力量がある人が楽しみながら描く作品はやはり強いなあと。理屈抜きで楽しんでます。
・つげ雨夜『愛をください』
この作家にもこんなにハマるとは思わなかったなあ。全ては『兄弟日和』からなんですが。
独特の明るさやライトさに恋情の機微やさりげないエロが良いアクセンとになって良い。
・菊屋きく子『甘い恋の育て方』
この人独特のかわいい感とぐるぐる振りは社会人を描いても変わらないし,それはそれで
ありかなと思わせる辺りは流石かと。個人的には学生ものの魅力がたまらないですが。
・大月クルミ『初恋カンタータ』
この辺りから好みが強くなってきますが,この人のあっけらかんとしたエロが結構好みで。
キャラも魅力的だしエロさもあるし,原作付きでシリアス系のとか描かないだろうか。
・ぢゅん子『キミノート』
キャラのぐるぐるした可愛さにそぐうHシーン(しかもエロい)にはなかなか得難いものが。
年寄りには眩しい面も強いですが,最近これはこれで別次元で愛でるようになった感が。
・しのぎじゅん/飛柳槞『恋は放課後に』
こういうスタンダードなネタを,良い意味で古さを残した絵で描かれるとかなりツボだなと。
学生ものが中心で,懊悩と青さが感じられるあたりも良いですね。野球少年には悶絶。
上記の他にも,新作がコラボ1冊に留まった三池ろむこや,雰囲気色やネタでの勝負感が
強まったのが惜しい日の出ハイム,ベタでギャル臭もするが好感がもてるやしきゆかり,
強いショタ色の中にも懊悩とエロを活写した牧本一子,やはり古めの絵で描く濃厚なエロが
個人的にツボな月河ユウヒ,お馬鹿さと淫猥さが奇妙に同化するタカヒサ亨等が出色かと。
次は小説についてですが,記事を改めましょう。とりあえずタイトルのみを(後で消します)。 ・松前侑里『はちみつグラデーション』
・斉藤まひる『色褪せた世界で君と出会い』
・水原とほる『氷面鏡』
・朝丘戻。『あめの帰るところ』
・須和雪里『花芽と狼』
・一穂ミチ『おとぎ話のゆくえ』
・杏野朝水『蒼い鳥』
・杉原理生『夏服』
・絢谷りつこ『天使のハイキック』
・真崎ひかる『硝子の筐』
・渡海奈穂 崎谷はるひ 坂井朱生 榊花月 砂原糖子]]>
熱発
http://tanbi3.exblog.jp/15066508/
2010-11-28T23:59:00+09:00
2010-12-04T16:42:46+09:00
2010-11-29T01:15:18+09:00
bonniefish
小説感想
週末は基本的に寝るか横になるか毛布に包まるかという生活でした。未だ微熱等が・・・。
おかげで月曜が締切り予定の仕事が碌に進んでおらず,周囲にはご迷惑を掛けそうです。
最近法事が続いたのですが,そこで従姉妹の子供達(7歳と4歳)のお相手をすることに。
本格的に子供と遊ぶのは,大学のサークルにOBとしても顔を出さなくなって以来なので,
もう8年ぶりくらいなのですが,とりあえずはスキルがまだ通用するようなので一安心。
ただそれなりに酔った状態だったのに,2人から激しくせがまれた結果一緒に入浴して
面倒を見なければならなかったときはかなり心身ともにへとへとになりましたが・・・。
さて,体調が悪いにもかかわらずあえて更新をしているのは,先日鷺沼やすな女史の
同人誌を購入していたところ,改訂版を作られたとのことでわざわざご送付いただき,
新旧の原稿を読み比べて文章の美しさの妙と心情描写の深まりに悶絶したためでして。
以前まんだらけで『その日,~』の後半部分「僕たちの宝の地図」が掲載されていた
小説Eclipseを購入し読んだ際にも思ったのですが,彼女の改稿は本当に鬼神の技で
それまででも十分に情景を活写し心情の機微を濃やかに捉えていたにもかかわらず,
改稿後の作品を読むと,この描写・文章・作品の完成形はもうこれしかないという程に
ただ感じ入ってしみじみと読み耽ってしまいます。読者としての至上のひと時です。
こればかりは直接体験していただくほかは感得し辛いであろうことは認識していますが
完璧と思えていたものへの修正があるべき所に納まりより壮麗になる様を見るにつけ
その描写力とセンス,さらにはより高い完成度を求める姿勢やそれを成し遂げる力量に
惚れ惚れとしてしまう訳です。本当に風邪など吹き飛んでしまいそうな贈り物でした。
私も一応職業柄文章の作成が欠かせないのですが,表現力やそれを支える思考力には
常々苦労させられていますので,このプロ意識には本当にあやかりたいものです。
(もっとも私の場合ごく一部を除いて文学色は必ずしも要求されないのですが。)
そもそも人生全般に漂う「バイト感覚」的な部分を払底する方が急務な気はしますが。]]>
小閑
http://tanbi3.exblog.jp/14988871/
2010-11-16T02:11:00+09:00
2012-04-20T15:39:15+09:00
2010-11-16T02:11:39+09:00
bonniefish
801雑記
比較的穏やかに過ごしています。とはいえ早ければ来年2月に内部異動なのですが・・・。
先週末には日直を急遽交代してもらい鹿島臨港線に乗りに行けたのは収穫ですかね。
また,鷺沼やすな女史のサイトが移転され,オリジナル小説が充実して嬉しい限りですが,
さらには通販が再開されたことから,早速未入手の同人誌を注文して読み耽っております。
特に『夢の卵』の番外編については,各登場人物の後日譚(一部は前史)となる日常が,
等身大で濃やかに,共感性を持って描かれており,とても懐かしい彼らと再びめぐり合い
しばし同じ作品世界と時間を共有する喜びを,心ゆくまで堪能することができました。
まだ総ての本を読みきってはいないので,残りの購入分を読むのがとても楽しみです。
さて,またぞろ畏友から百合の本を借りて読みましたので,簡単に感想を挙げておきます。
最近なぜ801の感想も書かず百合の感想ばかり挙げているのか理由を考えたのですが,
単に借りた本を返却する前に感想を書かなければならないという身も蓋もないものでして,
締め切りという物の持つ偉大な効用に改めて感じ入った次第です。我ながら怠惰な・・・。
流石に反省はしておりますので,年内に朝丘戻。や上記同人誌の感想は書きたいなあと。
まずは『つぼみ vol.7』。厚い割には個人的には読み応えがあまりなかった印象かなと。
やはり一番面白く読めたのは水谷フーカの『ロンリーウルフ・ロンリーシープ』ですかね。
一見タイプが違うがシャイさなどが似合いの二人がぎこちなく距離をつめる描写はお見事。
今後2人が親交を深めていく様子がどのように描かれるか非常に楽しみになる作品です。
流されるままに読み始めた百合ですが,水谷フーカを巡り合えたのは幸運だったかなと。
既刊の単行本3冊も各々ジャンルが違うのに彼女らしい持ち味が出ていて楽しめましたし。
きぎたつみの『ロンサム・エコー』は中篇ということもあり後篇で話がどのようになるか
興味は惹かれつつも,少し説明が少ないというか設定に甘えているような節もあるような。
とりあえずは次号が待たれますが,きれいには纏まりきらないような予感がします・・・。
ナヲコの『プライベート・レッスン』は,慕っている従姉に親しい先輩がいることを知り,
これを機に自分の気持ちや相手との関係を見直し始めるという展開はなかなかですが,
やはりどうしてももう一段深い描写や展開を期待してしまうのは勝手な祭り上げですかね。
先輩のピアノ演奏の描写や,主人公が先輩との会話を受けて自分の心を見つめ直す姿は
もっと描き込んでも良いのではないのかなあと思いました。それでも満足していますが。
後はお調子者の主人と尽くす家政婦というベタなりに楽しめたかずといずみ『めとらば』,
勘違い系編集と対人スキル0作家のかみ合わせが面白いコダマナオコ『レンアイマンガ』,
味のある絵と会話の妙で女子高生同士の微妙な関係を活写した由多ちゆ『わたしの花』,
キャラの動きがわざとらしく見えるのが惜しい三谷知子『ニックネーム・アパート』
といった辺りには触れておくべきかなと。やはり琴線に触れた作品は少ないですね。
逆に,大朋めがね同様男性読者に受けそうな磯本つよし,暴走ぶりが顕著な玄鉄絢,
相変わらずなカサハラテツロー,吉富昭仁,といった辺りが売れ線なのでしょうが・・・。
続いて『つぼみ vol.8』。これは水谷フーカが掲載されていない分さらに印象が薄くて。
きぎたつみの『ロンサム・エコー』はまさかの百合カップル間のDVネタから一気に展開し
最後には主人公2人が明るく笑い会うコマで大団円を迎えるという割と力押しな感じに。
この理事長の孫娘的な真っ直ぐな怒りというのは紺野キタの『Cotton』でも描かれており
個人的には好きなネタなのですが,ちょっとこちらは尊大に過ぎるし権力を笠に着ていて
正直若干マイナスかなあと。あくまで個人的な好みですし魅力的なキャラでもありますが。
ナヲコの『プライベート・レッスン』は先輩からまさかの心境告白を受けるという話に。
主人公のぐるぐる感も唐突な印象があるのですが,先輩が数回会っただけの主人公に
最大の秘密を割とあっさりと話してしまうという展開には若干の違和感も覚えたり。
特に先輩がなぜ恋情を抱くようになったのかはどこかでフォローしてもらいたいなと。
全般にあと1.5倍くらいのページを使って描写が尽くされればより良いように思います。
宮内由香の『夏の思い出』は幼時に年長者の気まぐれに翻弄され取り残された側の感傷を
淡々と切り取った佳作で,回想の独特の妖艶さと主人公の透徹した哀しみのよう心情が
リアルで芳醇な余韻を残すものでした。それぞれの初登場コマの顔の影が良いですね。
由多ちゆの『神様とあめふらし』は美少女側のキャラが作り物めいてややあざといが,
雨女の等身大のキャラには好感が持てるし,2人の交流についても独特の間合いと空白を
うまく使ってよい雰囲気で描けている辺りは悪くないかなと。今後の成長に期待ですね。
あとは先号とかぶらない範囲でのみコメントしておくべきものについて簡単に触れると,
主人公が反省するというベタな展開だが大団円で安心できたかずといずみ『めとらば』,
編集者のお見合いに揺れる所で終わり次が気になるコダマナオコ『レンアイマンガ』,
やや苦手だが目を引く独特の絵と壊れたキャラが印象に残る鈴菌カリオ『花と星』,
辺りかなと。あと小川ひだりはやりすぎですし,縞野やえも男性読者には受けそうか。
やはりこれだけ読んでも『ひらり、』の方に親和性を感じることは否めないのですが,
次号は水谷フーカが載りますし,鈴木有布子や関谷あさみも載るということなので,
とりあえずは読んでみたいと考えています。ただ,肝心のナヲコ作品が載らないので
畏友が同号の購入をためらっているのが問題なのですが・・・。若干出資しますかね。
(自分の場合はマニア根性から手を出したアンソロは総て買い揃えてしまうので,
同種の問題は生じたことがありません。これはこれで財布と本棚に厳しい訳ですが。)]]>
狂乱の日々は朽ちて
http://tanbi3.exblog.jp/14637565/
2010-09-20T23:51:00+09:00
2010-10-25T23:55:48+09:00
2010-09-21T00:18:16+09:00
bonniefish
小説感想
主にニコニコ動画でショスタコーヴィチのいろいろな曲を探して聴いていたのですが,
BGMに『レニングラード』を使っている動画をたまたま踏んでしまったのが運のつき。
ソ連の権力闘争の前半部分を大変分かりやすく説明していて面白かったのですが,
何せ使っているキャラがかの『アイマス』のものだった訳で,人生至る所に罠あり。
夏休み明けのヒマにかこつけて早く帰宅した際にうっかりキャラ名で検索したら
プレイ動画があっさり見つかり3日かけて全部見た辺りが一番やばかったでしょうか。
こういう麻疹のかかりかけは迂闊な挙動をすると本格的に戻ってこれなくなるので
興味の赴くままに諸々の動画を漁っているうちに,今度は『アイマス』の曲をBGMに
使っている酷道走破動画に運よく辿り着きまして,そちらを中心に見るようになり,
三十を超えて『アイマス』にはまるという失態を演じずに済んだ訳です・・・。
ここ数ヶ月私事のごたごたの後遺症からか,百合を読んでみたりなんだりと我ながら
挙動不審気味なのですが,ここにきてまさかの大ホームランを打つところでした。
まあ初めに見たキャラ以外はあまり性に合わない感じのキャラが多かったことと,
当該キャラなどの一部を除き歌唱力が・・・だった(曲も・・・)のが救いでした。
それにしても今回の騒動は個人的にも予想外でしてこちらにも紹介する次第です。
前回話題にした朝丘戻。の『猫のためいき。』を読了。これもハッピーエンドもので
悪くはなかったですが,前作以上にリハビリというか暗中模索な感は否めないかなと。
攻の受への恋情がデフォルトになっていて,しかも物凄く後ろ向きな言動を取るので
受が攻を好きになる過程が若干分かりにくいし,何しろ全体にぐるぐるしすぎる感じ。
持ち味の切なさもしっかりありますし,ほんわかとさせられるシーンも多いのですが
ちょっとこの攻の年齢にそぐわない幼稚なマイナス思考ぶりにはげんなりもしました。
あとがきで作者自身書いている通り,出来上がったカップルが愛を深めていく様子を
書いた作品であるところ,凡百の続編のように安易に当て馬や家族バレのネタなどを
使うことなく作品を仕上げているところは評価できます。しかしこのコンセプトは
普通に書いてもかなり難しいはずで,これまで『一生に一度の出会いだけ』を描いて
ある意味『愛』を描いていなかった作者が取り組むにはいささかハードルが高く,
それ故の攻のアンバランスさだったり全体のぎこちなさだったりするのではないかと。
実は一番気になったのがあとがきでして,その中で作者は以下のように述べています。
『最初から最後まで幸せなふたりのお話は,心に残るのだろうか?』
この点だけは作者に対し大きな勘違いだと言いたいですね。物語を舐めていまいか。
物語が心に残るのは読者の心を動かすためと思われますが,悲劇や別れのみではなく
相互に理解と愛情を深め困難を乗り越える姿も十分心を動かすのではないでしょうか。
心に残すために悲劇に頼るとしたら安直に過ぎます(昨今の『感動』ブームしかり)。
確かにハッピーエンドものには読み捨てられるしかないような安直な作品も多く,
そういったテンプレものや思考停止ものとは一線を画したい気持ちは理解できますが,
そこで出た答えが『心に残すため悲恋ものにしよう』というのではお粗末に過ぎます。
もし過去に悲恋ばかり描いていた理由がこれだったなら正直幻滅の感は否めません。
しかしそれでもやはりこの作者の作品には繊細で切なく狂おしい程の情動があり,
読者の心をわしづかみにする力があって,そこがファンを魅了してやまない訳でして。
楽しみや仕事として描くのはなく,描かねばならない人なのではないでしょうか。
これからはいたずらに悲恋に固執することなく,心に残る作品を,さらに願わくば
この作者にしか描けないピュアで真直ぐなハッピーエンドを描いてほしいなあと。
何か勝手に祭り上げるような文章になってしまいましたが,好き故の暴走ですね。
次作の『あめの帰るところ』は現在通販で注文中なので,届くのが楽しみです。
あと須和雪里がまさかの復活を遂げていたので,次回には併せて紹介したいかと。]]>
https://www.excite.co.jp/
https://www.exblog.jp/
https://ssl2.excite.co.jp/