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Ethos-Annex

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2005年 01月 01日

あけましておめでとうございます

斯様なへたれサイトではございますが、本年も倍旧のご贔屓をよろしくお願いいたします。
・・・といってもこの文章を書いているのは2004年暮れも差し迫った大晦日なのですが。
帰省先でのアクセスがなぜかうまくいかずに、やむなく感想のみを記している次第です。


崎谷はるひ『目を閉じればいつかの海』はハーレクインな展開とお約束にお腹いっぱい。
冒頭の超ステロでありがちな別れ話から心情描写が妙に過多で女々しいのに困ったし、
いきなり話が10年後になる辺りでも飛びすぎだろうと引くとともに警戒信号が燈って。
そして「運命の再会」で砂を食まされ、次の劇的な告白&抱擁に到り飛ばし読み確定。
さらに受に好意を持つ店員達の行動の青臭さや利己性、それを正当化する描き方には
一旦表紙を閉じざるを得なくて。恋愛至上主義&ハーレクインという二大地雷ですか。

個人的な値観の相違ですが、女性店員の設定や発言等には嫌悪感すら覚えましたし。
私が抑圧的に生きている故の八つ当たりかもしれませんが妙に腹が立ってしまって。
作者の意図が理解できないというか、ある意味凄くイタイのではと思うのだがどうか。
20歳にして男遍歴を重ねている設定もどうかと思うし、そんなキャラに妙な人生論を
ぶたせている点も謎。その設定が発言のの説得力に寄与するとでも思ったのか?
馬鹿な事をしておいて「自分は故に普通の人より物を知っている」と嘯く愚者は多いが
この作者にもそうした思考回路があるのだろうか。ならば笑止だがとにかく理解不能。

そして話のオチも捻りもない勘違いで、誤解が解けて濃厚なHをして甘甘で終わりと。
とにかく徹頭徹尾趣味に合わず、読了した自分を褒めるべきではとすら思ったり。
同じレーベルの『形状記憶衝動』は割と好みだったので少し積極的に買っていたが
眉唾作家の仲間入りさせた方が良い気が。こうして買う作家が減っていくのね・・・。


葉澄梢子『きみと恋の途中』は、一昔前のノリ&中高生向きのダブルパンチに眩暈が。
学園ものだし、内気な受がけなげに攻に片思いしている描写などは好みだし悪くない。
受の心理描写が結構女々しいが、まあいじましさ故と好意的に解することもできたし。
そして攻がアプローチを開始し受がその真意に気付かない展開も、ありきたりだが
今後に期待していたのだ。しかしその次が攻のデートの下見へのお付き合いって・・・。
それだけならまだあり得なくも無いかも知れないが、賢明なる読者のご想像通り
当然下見なぞに留まるわけなくデートめいてくる訳でねえ。しかも動物園とかだし。
この21世紀も5年目に入った時代にまだ何の捻りも無くそんなベタなネタを使うかと。
同性を女役に見立ててデートコースを回る意味があるのか、ちらとでも考えたのか?

そして気付くとクリスマスで、しかも向こうから告白されて両思いと分かり街中で抱擁。
さらに攻が予約済のシティホテルにタクシーで乗り付けHですか。高校生の男2人が。
やはりこういう辺りは何の違和感も覚えずに読み進めねばならないんでしょうかねえ。
心理的には幼いのに取りあえずHしたがる高校生の生態が描かれてるとでも評せと?
あんまりにあんまりでは? エロに至る物理的な過程よりも書くべき事はあるだろうに。

続編でも当て馬のベタさやすれ違いのステロさに呆れを通り越し感動すら覚えてたら
挙句には受をかけてのテニスマッチと来たもんだ。昭和40年代か? どういうセンス?
さらに試合展開までお約束の超逆転劇で、おまけに試合後はちゃんと部室でHですよ。
コンドーム常備ですか。受の感想が「ラブホでもいいからシーツの上が良い」ですか。
最近の学園ものというのは性欲に走りエロ描写を重ねる事の免罪符でしかないのか?

そもそも「高校生は性欲魔人」的設定を何の疑いも無く使うのは止めて欲しいのだが。
社会に出ていない未熟さが織り成す恋情の機微や、責任を負わない故の身軽さから
恋愛に全力を傾けることが容易だという辺りが学園ものの醍醐味ではなかったのか?
仮に若い肉体なり制服なりへの関心故としても、学生であることに必然性はある筈だ。
しかし近時の作品ではただ単に性欲が強ければ学生である必然性がないものが多い。
先の「高校生=性欲魔人」というコードが濫用された結果だろうが、浅ましいなあ・・・。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)

by bonniefish | 2005-01-01 00:08 | 小説感想


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