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2004年 09月 30日
というわけで明日より再び学業に舞い戻らなければなりませんでして。いやはや。 あと昨日雑文をものしておりますので、ご興味があればご笑覧の程を。 もっと色々やるはずだったのですがね(苦笑)。まあ生温かく見て頂けると。 木原音瀬『COLD FEVER』は読めるがやはり方向のずれを感じてしまう作品。 元々内向的な心理描写や偏執的なキャラクターを描く痛い作風で売ってきたわけで そして個人的には割と好みだったり評価も高かったりする作品も少なく無いのだが、 最近作中人物の暴力や狂気の度合、あるいは主人公に襲い掛かる不幸の度合などが 801作品としての許容値を超えてきているような気がしてならないわけで。 本作はまだそれでも狂気が含まれていないため、暴力的なシーンや強姦であっても ストーリーの一部として消化することができるが、やはり滅入ることは事実である。 記憶喪失という安直系なネタをそれなりに料理していたり、2人のすれ違う様を きちんと書ききっている辺りには、筆力を感じないわけではない。 ただそれでも、心情の書き込みが足りないし場面展開も細かくてかつ多すぎるので、 説明的かつ唐突な印象を拭えず作中世界に没入するわけには行かなかった。 最近の木原作品のストーリーやキャラには、以前のような「救い」的なものが少ない。 本来、痛い状況やキャラクターを通じて恋愛の裏側的な側面を描き出すということが 作品の意図であり読者の支持を得た側面であったと思うのに、最近ではむしろ そうした状況を作り動かすということの方がメインになってしまっている気がする。 いつのまにか手段と目的が入れ替わってしまっているというか本末転倒というか。 読者はあくまでも恋愛譚が読みたいのであり、彼女の作品では特異な状況とキャラが 恋愛譚に独特のリアリティや厚みを与えていたから高い評価を与えたのであるのに、 こうした恋愛描写ではなく特異な状況設定のみをエスカレートさせているのは、 自らの長所や読者の意向を読み違えた誤った進路であると断言してもよいだろう。 さらに痛い状況の描写に手間を取られ、本来の持ち味のはずの心情描写のほうが おざなりになっている現状では、信者以外の評価を得ることは難しいのではないか。 まあ読者の方にも、キャラや設定が特異な作品を評価することによって、自らを 凡百な読者とは違い真の恋愛を理解しているのだと思いたい層がいる気がするが。 そもそもこんなことを言い出してしまえば、この801というジャンル自体も、 「男女の恋愛とは違い、同性という障害を乗り越えて成立する真の恋愛を描くもの」 として愛好される例が少なくないらしいので、結局は目糞鼻糞というか何と言うか。 藤井栞『ナチュラルな関係』は久々に楽しめた王道的な学園もので、評価も高い。 トラウマを抱え八方美人を演じる優等生という受のキャラクターは使い古されているが 本作では嫌味や自己中心的な心理描写が少なく、共感を持って読み進められる。 また攻も単なるお馬鹿系や色男系にとどまらず独自の魅力を持つものとして描かれ、 受が好意を募らせていく様にもリアリティを感じることが出来た。事件も適度だし。 トラウマの処理もご都合や安直な展開に紛らわせずに描いている点はポイントが高い。 まあそれでも親がらみのトラウマに食傷的な感覚を抱いてしまう向きはいると思うが 受の性格設定にきちんと影響している点や処理の仕方を見れば許容しても良いだろう。 生徒会が大活躍していない辺りも個人的には高評価なのだが(笑)。いまどきねえ。 とかく先例が多くパターンも出尽くしている学園もので、オリジナリティを出し なにより最後はさわやかにハッピーエンドで締め括った点は評価できるだろう。 上記はこの作者が新人であるという点から若干のひいきがあるかもしれないが、 最近きちんとした学園ものを読む機会に恵まれていなかったのでご寛恕願いたい。 朝丘戻。といい、こうした新人が出てくるならまだ未来はあるかという気もする。 しかしその新人賞を出した小説アイスは休刊だしなあ。どこが拾ってくれるのか。 アイスは本誌はともかく小説単行本のラインナップは悪くないので(シリアスのみ) 今後の動向が気になる。休刊後も編集部が残ってくれると良いのだが・・・。 (初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
by bonniefish
| 2004-09-30 23:38
| 小説感想
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