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2004年 09月 24日
この歳になって自らのテンションの暴走を抑えきれない事態が出来するとは思わず。 とりあえず今夜から旅行に出てしまいますので、その前に一応ものしておきましょう。 ノート自体は持っていくので出先からも書き込みたいと思っていますが。 月村奎『きみの処方箋』は往年の佳作の再販ですがレーターが好きなので再購入。 改めて読むにいろいろな意味で青い作品だなあとしみじみしてしまった。 自意識過剰で、自らが一番可愛く(無意識だが)、世をすねてしか見られないという キャラクターには、かつて共感し、そして嫌悪し、今では一縷のほろ苦さをもって 見守るようなスタンスで読み進むことになる。決して自らが成長したわけではないが 年月だけは経ているので多少は見える物や見え方が変わっているためなのだろうが。 それでもこの主人公ほどひねてしまっていれば周囲からこれほど好意を受けるのは 難しいと思ってしまうが。正直義兄がずっと好きだと言い続けてくれる辺りについて 何とかもう少し書き込みをしておかないと、ご都合な印象は拭えないだろう。 特に主人公が割りとあっさりと改心したあとは己が過去の振る舞いを懺悔するので (その唐突さはどうかと思うが)主人公の魅力が捉えにくくなるから尚更であろう。 反省したからやはり素直ないい子だったんだ、というのでは説得性に欠けるし。 まあ主人公に共感できる読者にはこのようなご都合も含めて癒しとなるのだろうが。 彼の鬱屈を所与のものとすれば非常にリアリティをもって書き込まれているし、 その言動や行動の理不尽さと自己正当化がこれほどよく表されているものはない。 やはり本作は名作と呼ぶべきなのであろう。諸々の拙さや脆さを含めても。 まだ十代だった自分が本作から受けた衝撃に殉ずる青さは拭えていないので。 しかしこのイラスト、すこし雑に見えてしまうのは期待が強かったからなのだろうか。 予告にも使われていた見開きの絵には悶絶したが、ラフ絵っぽい表紙はなあ。 時間が無かったのか知らん。まあそれでも鈴木有布子にはついていくつもりだが。 個人的に碧也ぴんくと紺野キタの印象を受けることが多いのがどうなのだろうか? 六青みつみ『至福の庭』は雑誌掲載時にもにょったのを忘れて購入してしまった。 とにかく受の描写がひどい。とりあえず弱らせて不幸にしておけば良いのかという感じ。 なんだか繊細だと全てが許されるような風潮は世間一般にもあるものだと思うが、 正直この受はウザい。なよなよしすぎ。この世知辛い世の中で生きていけないって。 読者が勝手に移入して感動してくれるとでも思っているのだろうか。嘗められたもんだ。 何より攻が酷過ぎる。前から何度も言ってすっかり口が酸いが、あえて繰り返すと 「愛している」とさえ言えば全て許されるのかと。まあ美形限定なんだろうがね。 身勝手に抱き、しかも自分への逆恨み故の陵辱が起きて記憶喪失にまで追い込んだのに おちおち会いに行って口説くなんて攻にどうやって好評価を下せばいいのやら。 こんな目に会っても好きでいられるなどという受は情緒障害だとしか思えない。 相思相愛になってからも妙なトラウマ出したりびくびくしたりするシーンが続いて そこまでして安直に同情を買いたいのかと呆れてしまい、ストレスが全く減らないし。 ろくすっぽ仕事の描写もせずに有能なビジネスマンだというお約束もたまりません。 受の兄もカウンセラーとはチャンチャラおかしいとしか言えない無知と私情丸出し。 それにやたらに怪我したり病気になったりするのもどうかと。不幸のフルコース? この作者は何らかの犠牲を伴わない好意は信じられないとでも思っているのだろうか。 イラストもキモイし完全な始球式作品。放出決定ですな。 というわけであまりの不快感に絶えられず久能千明『野良猫』のタイトル作を再読。 この作家もかなり微妙だとは思うのだが、この作品は作者の奇矯さがうまく作用して 説明過多ではあるものの設定が非常におもしろくかつツボに入った作品なので。 (初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
by bonniefish
| 2004-09-24 12:52
| 小説感想
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