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Ethos-Annex

tanbi3.exblog.jp
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2004年 09月 02日

TIME LIMIT

ついに9月です。チキンレースの終わりまではまだしばらくかかりそうでして。

一応は最低週一更新といきたいところですが、来週の今頃などどん底でしょうし。
とりあえず1冊読んだので、その記憶を吐き出すためにとっとと感想をば。


牧山とも『せつなさの螺旋』は801業界、特に編集の意識が読み取れる気がする作品。
タイトルからシリアス系を予想しつつ、作家名に漠然とお馬鹿系との認識があったので
軽く読めるかなあと思い購入し、現にそうではあったのだが、いろいろ思うところも。
まずやはり文章が練れていない。少し硬めの文体を目指そうとしているのが分かるが、
持ち込んだ漢語の割には地の文章の係り受けがなっていないというアンバランスさ。
あとがきで作者自身が初めてのシリアスで難儀したと書いていたがまさにその通りで、
あくまでもシリアスを目指そうとしたライトノベルにしかなっていなかった。
まあこれはこれで中高生などには丁度良いのかもしれないが、とても評価はできない。

あとは受と攻の視点が入れ替わりながら話が進むのだが、これまたモノローグが多く、
しかも2人の好意がすれ違うという超王道パターンなのであっさりネタバレという形に。
もちろんそれを承知で2人が誤解を解くまでの過程を書き込んでいくコンセプトなら
面白いと思うが、そんな新機軸など期待すべくも無くただすれ違う様が描かれていく。
要はそれぞれが相手を密かに思いまた相手の真意を汲めずにドツボに嵌まる描写が
何度も繰り返される訳で、相当に萎えさせられてしまった。ギャグならいざ知らずねえ。
しかもだらだらとすれ違いを引っ張っておきながら最後はあっさり相思相愛になるし。
当て馬の使い方も安直中の安直でストーリー的にも殆んど盛り上がりがなかったし。

それに攻がどこでもさかって受を押し倒すのもねえ。この業界ではよくある話だけど
それにしても節操が無いというか絶倫というか。エロ以外では執着を示せないのか?
読者が望むので編集から一定の割合エロを書くよう要求されるとの話をまま聞くが、
本作のようなものを読むとその信憑性がいや増しますな。色情狂ですよこの攻。
特にラストシーンではお互いに相思相愛だと分かり当然締めのHに入るわけだが、
これがまた視点を攻→受→攻と変えて、ラウンドを重ねながら延々と続くんですよ。
もうこれには参りました。たまりませんね。お願いだからやめてくれという感じ。

ここは作者に限らずこういう作品を求める編集側をも責めるべき点だと思うが、
801のエロについてどのような意識を持って書いて(書かせて)いるのだろうか。
恋愛のハッピーエンドの一つとしてのHは分かりやすいし必然性も見出せる。
逆に官能小説のようにひたすらエロを提供するというのもそれはそれでありだろう。
(最近こうした傾向が加速している現状には嘆かわしいものがあると思っているが、
正直そういった作品には余り手を出していないので的確に批判することもできず)
しかし本作についてはビジョンを持たずただエロを垂れ流している印象が拭えない。
まあそもそも一般の801読者層がが801作品のエロに何を求めているのか
私にはいまだに掴みきれないので何とも言えないが。とにかく色々もにょらされた。

試験勉強のストレスもあって普段よりさらに毒舌が加速してしまいましたがご寛恕を。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)

by bonniefish | 2004-09-02 23:50 | 小説感想


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