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Ethos-Annex

tanbi3.exblog.jp
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2004年 07月 08日

No concentration

とりあえず一山は越しましたが、まだレポートが残っていたり。まあ人生逃避ですから。


じき一応夏休みに入るので、多少はコンテンツを充実させようかとは思っています。
個人的に評価の高い本について感想をものしてみたりしようかと。あとは業界雑感とか。
商業のショタ本の歴史なんかも語れますが(笑)、過去に引かれたことがあるので・・・。
本当は何かアウトプットが為せれば良いのですが、時間、精神、才能等の点で困難かと。


烏城あきら『LinS』はちょっと古めだが『許可状~』との関係で購入してみる。
・・・『金の鳥の秘密』を読んだ時にもちらとよぎった感想だが、ゲイ臭い小説だなあと。
攻の表面上の体温の低さと独特の粘着っぽさや謎めいた辺りは良く表現できているが、
(というかこういう描写になってしまったのか?)ふさ十次の濃いイラストとも相俟って
なんだか読後感だけが濃厚な印象を受けた。残念ながら文章が濃厚なのではなくて。
自分のゲイネスに鈍感という設定は散見するが、異性(しかも同性愛者)のお膳立てに
嵌まってから気づくというのは珍しいというか少しもにょりましたがね。伏線殆ど無いし。
他にも周辺のキャラが妙に立ちすぎているし、主人公へのブラインドのかけ方が下手で
作品から引いた目でしか読めなかったのも事実。主人公が受身過ぎる点も助長したか。
独特の癖がある興味深い作家だとは思うが、まだしばらく慎重に様子を見るべきかなと。


久我有加『無敵の探偵』は前作よりは読めたが、受攻のスタンスが基本的に同じなので
やはり感想としてはもう少し基軸を弄ってくれとしか言いようが無い。あと関西弁か。
強気でクールに見え実はウェットな受を一途でへたれっぽいが実はしっかり者の攻が
硬軟使い分けたアプローチで落としハッピーエンド。続編はお互いに振り回されると。
まあどちらも一般読者層の人気を取っているのだから仕方が無いんだろうけどなあ。
しかしこういう量産される王道物ばかり読む読者層というのは飽きないのだろうか?
それとも一時期に嵌まって飽きて去っていく読者こそが最大の購買層なのだろうか。


六堂葉月『容赦ない愛と欲望』は、個人的には篁釉以子を思い出させられた作品。
イラストが史堂櫂な上に、エロ重視で暴走型のいわゆるハーレクインタイプですから。
とにかく設定と行動が派手で暴走的。受も攻も才能に溢れ交錯する事でより高めあうと。
お互いのプライドから素直な恋愛関係には中々なれずとも、常にお互いを意識し合い、
最後は誤解も解けてハッピーエンド、互いに仕事等でもより高い階梯を上るという訳で。
共に施設育ちでその後義兄弟として育てられていた点とか、職場を同じくしていたりとか
目新しい点はありますが、やはりこれは典型的なハーレクイン型の一でしょう。
購入を避けている類型なのですが、ストレスから購入意欲が高まっている時期に
書店に行ったので購入してしまったのでしょうなあ。久しぶりにクラクラさせられました。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)

by bonniefish | 2004-07-08 11:46 | 小説感想


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