2004年 03月 10日
長くなりそうなので分割しました。 引越しに伴って買いためてきた801雑誌を整理するかどうか検討中です。 ある種の「文化的価値」(笑)があるから捨てずに来たけど、保管に限界が来ましてね。 現状実家と寮に分散しているものを新居に収めきれるかどうか判らないもので・・・。 下に書いたブックオフで沖田翼のリーフノベルスを2冊買ってきたので読む。 『Kiss me,生徒会長さま』は昔読んだ気もするがライト型ですな。 罰ゲームで告白した相手と付き合ううちに相手の優しさとトラウマを知って好きになるも 最初の告白がおふざけだったことがバレて一旦破局を迎え、再告白してハッピーエンド。 全般に当り障りの無い話だし一人称だし展開も安易でただそれだけの話なのだが、 この人の作品には妙に惹かれてしまう。一体どこがいいのだろうか? 『君がここにいるから』という作品も2冊手許に置くほど妙にツボに嵌ったのですが、 イラストの効果(遠野麻紀嬢)を差し引いても自分の中に渦巻く「萌え」の原因を うまく説明することが出来なかったし。作者と波長が合うのだろうか・・・。 もう1冊の『課外授業は制服を脱いで』も結構よく、ツボに来る感じを久しぶりに味わう。 受が攻を好きになる理由はあまり描かれずにいきなり冒頭から付き合い始めるのだが その後の攻の情動とか受の設定とか関係の進展具合が個人的にかなりよろしいかと。 割とエロが多めで翻弄系なのも否定要素とは全くならないのはどういうわけか。 受と攻の視点が入れ替わるのにも萎えないのだから、もう好みとしか言いようが無い。 今調べたら移転したサイトも見つかったので、暇になった時の楽しみにしておこうかと。 水壬颯子『ディール』は『エスコート』の会社を舞台にした別カプ話ですな。 これはハーレクインっぽい派手さがなりを潜め、互いにトラウマを持つもの同士が それぞれの傷を埋めあいながら関係を深めていく様がスタンダードに描かれている。 個人的には前作よりも本作の方が好ましいが、世間的には逆なんだろうなあ。 義父と義兄から性的虐待を受けてきた受がいきなり拾われて逃げ出すという冒頭や 途中で連れ戻されるのを間一髪で助け出されるのはもう使い古されたパターンだが、 拾った攻もトラウマを抱えていて受をいきなり抱いてしまうという展開や、 受が割りと気丈で関係を切り開いていくあたりはなかなか面白いなあと思った。 しかし考えてみれば義父と義兄の両方に手を出されているというのは珍しいかも。 ただ受の気丈さからして、それを甘受していたという点には説得力が欠ける気もする。 攻と出会って自らのあり方に自信を得て気丈になったとも考えることはできるけど、 だったらその辺りを書いてくれないと、元来気丈だったのではという類推を拭えない。 松浦巽『唇にハードボイルド』は、Hシーンが多く、しかも801のノリとは違う感じ。 受はスポーツ的に身体を交えていくし、強姦的に犯されても快楽を貪っていくなんて、 ゲイポルノに近いのではないかという類推(読んだこと無いのでねえ)が働く。 というか登場人物にホモが多すぎるし、ストーリーは骨組みだけであとはHシーン。 そのくせ掛け合い漫才めいたり妙に笑えるマッチョが話をかき乱したりともう破天荒。 そもそも主人公カップルの馴れ初めが描かれないうちから、2人は1度寝たことがある 顔なじみとして話が進んでいくなんてのは、ある意味商業として横紙破りであろうかと。 まあそこがある意味意外性や吸引力となっている部分は否定できないのだが。 しかしゲイフォビアのM青年が被虐心を満たすためだけに男に抱かれるなんて設定、 私の耽美嗜好が思わず刺激されてしまいますね。倒錯性のなんたる的確な表出か! まあでも先述の通り心情描写を二の次にしてハードなエロがこってりというノリなので、 倒錯を弄び反芻して酩酊するなどという方向には持って行きようがないのですが。 (初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
by bonniefish
| 2004-03-10 00:00
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