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2014年 10月 14日

盥に雨を聞く夜に

都落ちして一歳半,瑣事に押し流されつつも大要平穏に日々を過ごしておりますが,
ここのところ少し騒がしさを見せた身辺が落ち着いたのを機に雑文を叙しています。

とんとこちらもご無沙汰ですが,特段足を洗って真人間になった訳では毛頭なく,
萬屋的な職制な上に書き仕事が増えたこともあり,感想を記す手間を厭ってしまう
(あとは左党としての活動機会も増加した)現状にあるというだけのことでして,
若さと身代を失う代わりに目方と蔵書ばかりが無駄に増えていくという有様です。

とはいえ次の異動に備えた蔵書の処分計画は遅々としながらですが進行しており,
ようやく持ち込んだうちの8割ほどを処分対象として確定するに至りました。
ここで驚いたのが801小説の量の多さで,段ボールの箱数の3割以上を占めており,
801コミックと合わせると余裕で過半数に達するほどで,他に雑誌がありますから,
予想以上にこの業界に深く関与していたなあとこの歳にして感慨を新たにしました。


放置してきた1年分以上の感想をレビューするだけの記憶力も失われて久しいですが,
トピック的にいくつか特筆しておきたいものはありますので,以下列挙しておきます。

・コミックでは梶ヶ谷ミチルに辿り着けたのが最近の最大の収穫でした。onBLUEは
 基本的に好みとベクトルがずれているのでついチェックが疎かになっていたのですが,
 この作家は若さと衝動(特に高校生ものの『成長痛』に顕著)を爽やかかつ切なげに
 しかもエロく描いていて,久々にかなり萌えることのできる佳作に出会えました。
 最新作に見られるようにちょっと話の運びやノリが軽めなのが難点でしょうか。

・同じくonBLUEレーベルの紀伊カンナ『海辺のエトランゼ』もなかなかの良作です。
 CRAFTで始まった連載もトラウマを抱えていそうな2人の接近に目が離せませんが
 こちらは付き合い始めてからの2人が自分と互いを見つめ直す過程が描かれていて
 読後感の清々しさもなかなかでした。ただ惜しむらくはお互いが好意を持つまでの
 心境の変化が省かれているところで,唐突に両思いになっている感は否めないかと。

・他にはヨネダコウ『それでも、やさしい恋をする』は言うまでもなく傑作ですし,
 コガマユミ『らら,うららか』は初心なかわいさが余さず滲んでいて微笑ましく,
 せのおあき『ねてもさめても』もどこか壊れたキャラと軽妙なやり取りが魅力的で,
 あべ美幸『Super Lovers』の零くんは相変わらずツボのど真ん中にいるのでした。

・小説では,まさかの続編が出て驚いた菅野彰『毎日晴天!』シリーズを筆頭に,
 近作はありませんが『春恋』の2人の幸せな結末を『秋色』で描いた朝丘戻。,
 小説Dear+では『初恋ドローイング』で画家志望の高校生の瑞々しさを鮮やかに,
 『ビューティフル・ガーデン』で身体先行のリーマン同士の熱愛を描いた安西リカ,
 といったあたりが特筆すべきかと。渡海奈穂と一穂ミチの安定感も相変わらずです。
 (渡海奈穂は昨年の小説Dear+アキ号『運命かもしれない恋』が出色の出来でした。)


書き始めると意外と長くなるのが私の性分のようですが,さすがにネタも尽きました。
次に書き込むのはやはり異動先ということになってしまうんですかね・・・。

by bonniefish | 2014-10-14 00:23 | 801雑記


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