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2013年 06月 30日

梅雨寒身に染む

気が付けば今年も上半期が終わりということで,いつもながら愕然としております。

この4月から異動となりまして,「一山百文」の地へと東下ることと相成りました。
業務の内容も9割以上変わり,あたふたとしているうちに3か月が過ぎた感じです。
ちなみに宿舎を頂いたのですが,家族用の3LDK(しかも対面キッチン!)でして,
寒々しいほどの広さをただ持て余しながらリビングの片隅で無聊を託っております。

家が広くなったのを良いことに,蔵書の整理と処分をすることを決意しまして,
まず801雑誌やアンソロについてようやく一応の仕分けを終えたところです。
1996年頃からのMBBやGUSTがどっさり出てきましたが,買取もなかなか無く,
古紙回収に出すしかないのかなあと思案していますが,いかんせん量が・・・。


心理的な多忙さもあってか,時間がある割には購入意欲も余り湧かないのですが,
年明け以来読んだ801作品で比較的良かったものを備忘録的に書き留めておくと,

・たうみまゆ『このよのはじまりこのよのおわり』 才が時代物で開花した感が。
・志々藤からり『お星様キラキラ』 タイトル作も可愛いが旧作や番外編が◎。
・サガミワカ『君が大人になる前に』 話は浅いがリーマンものはなかなか。
・加東セツコ『オーバーテイク』 タイトル作の少年の若さで精一杯な所が。

といった辺りが挙げられるかと。買って手元に残しているものが多くないなあ。


あと,『小説Dear+』が50号(!)を機に先日リニューアルしたのですが,
一穂ミチのアナウンサーもの『イエスかノーか半分か』がとかく出色の出来で,
キャラも立ち設定も描写も見事で大変楽しめました。主人公のダメさも見事。
個性的なキャラ同士が自然と心を寄せて行く様子をエピソードを積み重ねて描き,
背景の事態の進行ともどもとてもリアルで,すっかり話に引き込まれました。

本誌は唯一購入を続けている小説誌で,平均した質の高さは相変わらずですが,
最近の新書館に共通の状況として,新規企画に関しては迷走も否めないかなと。
最近新書館はアメリカのスラッシュものを文庫化し売り出そうとしていまして,
遂に本誌にも作品が掲載されたのですが,翻訳文体の堅さに眼が滑ってしまい,
どうにも読み進められませんでした。悪い訳とは思わないのですが全く無理。

私は個人的な趣味として萌えにも一定の文章の質を要求する傾向がありますが,
文体というのも没入する要素として重要なのだなあと改めて実感しました。
元来外国ネタはかなり苦手で余り読んでおらず,素養がない所為もありますが。
ただ,外国ネタでパロディという二重苦のような作品ですら私を引き込んだ
鷺沼やすな作品という例もありますので,全ては筆力に帰着するのでしょうか。

by bonniefish | 2013-06-30 23:56 | 身辺雑記


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