2010年 09月 20日
前回書いたカンピロバクターで臥せっている間,ヒマなのでネットサーフィンをして 主にニコニコ動画でショスタコーヴィチのいろいろな曲を探して聴いていたのですが, BGMに『レニングラード』を使っている動画をたまたま踏んでしまったのが運のつき。 ソ連の権力闘争の前半部分を大変分かりやすく説明していて面白かったのですが, 何せ使っているキャラがかの『アイマス』のものだった訳で,人生至る所に罠あり。 夏休み明けのヒマにかこつけて早く帰宅した際にうっかりキャラ名で検索したら プレイ動画があっさり見つかり3日かけて全部見た辺りが一番やばかったでしょうか。 こういう麻疹のかかりかけは迂闊な挙動をすると本格的に戻ってこれなくなるので 興味の赴くままに諸々の動画を漁っているうちに,今度は『アイマス』の曲をBGMに 使っている酷道走破動画に運よく辿り着きまして,そちらを中心に見るようになり, 三十を超えて『アイマス』にはまるという失態を演じずに済んだ訳です・・・。 ここ数ヶ月私事のごたごたの後遺症からか,百合を読んでみたりなんだりと我ながら 挙動不審気味なのですが,ここにきてまさかの大ホームランを打つところでした。 まあ初めに見たキャラ以外はあまり性に合わない感じのキャラが多かったことと, 当該キャラなどの一部を除き歌唱力が・・・だった(曲も・・・)のが救いでした。 それにしても今回の騒動は個人的にも予想外でしてこちらにも紹介する次第です。 前回話題にした朝丘戻。の『猫のためいき。』を読了。これもハッピーエンドもので 悪くはなかったですが,前作以上にリハビリというか暗中模索な感は否めないかなと。 攻の受への恋情がデフォルトになっていて,しかも物凄く後ろ向きな言動を取るので 受が攻を好きになる過程が若干分かりにくいし,何しろ全体にぐるぐるしすぎる感じ。 持ち味の切なさもしっかりありますし,ほんわかとさせられるシーンも多いのですが ちょっとこの攻の年齢にそぐわない幼稚なマイナス思考ぶりにはげんなりもしました。 あとがきで作者自身書いている通り,出来上がったカップルが愛を深めていく様子を 書いた作品であるところ,凡百の続編のように安易に当て馬や家族バレのネタなどを 使うことなく作品を仕上げているところは評価できます。しかしこのコンセプトは 普通に書いてもかなり難しいはずで,これまで『一生に一度の出会いだけ』を描いて ある意味『愛』を描いていなかった作者が取り組むにはいささかハードルが高く, それ故の攻のアンバランスさだったり全体のぎこちなさだったりするのではないかと。 実は一番気になったのがあとがきでして,その中で作者は以下のように述べています。 『最初から最後まで幸せなふたりのお話は,心に残るのだろうか?』 この点だけは作者に対し大きな勘違いだと言いたいですね。物語を舐めていまいか。 物語が心に残るのは読者の心を動かすためと思われますが,悲劇や別れのみではなく 相互に理解と愛情を深め困難を乗り越える姿も十分心を動かすのではないでしょうか。 心に残すために悲劇に頼るとしたら安直に過ぎます(昨今の『感動』ブームしかり)。 確かにハッピーエンドものには読み捨てられるしかないような安直な作品も多く, そういったテンプレものや思考停止ものとは一線を画したい気持ちは理解できますが, そこで出た答えが『心に残すため悲恋ものにしよう』というのではお粗末に過ぎます。 もし過去に悲恋ばかり描いていた理由がこれだったなら正直幻滅の感は否めません。 しかしそれでもやはりこの作者の作品には繊細で切なく狂おしい程の情動があり, 読者の心をわしづかみにする力があって,そこがファンを魅了してやまない訳でして。 楽しみや仕事として描くのはなく,描かねばならない人なのではないでしょうか。 これからはいたずらに悲恋に固執することなく,心に残る作品を,さらに願わくば この作者にしか描けないピュアで真直ぐなハッピーエンドを描いてほしいなあと。 何か勝手に祭り上げるような文章になってしまいましたが,好き故の暴走ですね。 次作の『あめの帰るところ』は現在通販で注文中なので,届くのが楽しみです。 あと須和雪里がまさかの復活を遂げていたので,次回には併せて紹介したいかと。
by bonniefish
| 2010-09-20 23:51
| 小説感想
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