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2005年 03月 31日

脳髄が鼻から流れ出そう

鼻が詰まるとものもろくに考えられませんね。そのくせ飲みに出かけてたりすればもう。
ましてや車谷長吉なぞ読み返して自らの卑俗さに討たれておれば時は疾風の如く去り、
生来の無気力と相俟って未読の本が積み上がるばかりです。春休みもあと僅かなのに。
色々な意味で自他にとって結果的には適度な冷却期間にはなったかとも思いますが。
しかしまだまだハイシーズンは続きますから如何様にこれを乗り切ればよいのか・・・。

とりあえず小説の感想文よりは楽な漫画の一行コメントでお茶を濁させて頂きたく。
(漫画は知識も絵心も無いために印象を述べるのみなわけで、いわんや批評をや。)


【GUSHmania Vol.13】 面白かったがテーマとずれている作品が少なくない気も・・・。
■カムロコレアキ『tempest』:▽ 芸術性(?)と恋愛がイコールなのはどうかと。
■あきばじろぉ『勝負師の恋』:× 主人公がホストで闇の花札賭博されてもなあ。
■柚摩サトル『艶色熱視線』:△ 真ん中で話が切れていきなりHという展開は・・・。
■天城れの『玄人童貞』:〇 ギャグが強いがリアルだし告白劇もエロもなかなか好み。
■栗栖ひとみ『神童は失速する』:◎ この人のエロは圧巻。餞別でというのはベタだが。
■木鳩ねね『日々、美味しく』:〇 ロリであざとい受けだがお馬鹿系はツボなので
■羽柴紀子『パンドラの恋』:△ 話は悪くないが絵(特に目)が急に歪んできてないか?
■安南友香子『くもりのち晴れ』:スルー 
■あさとえいり『逢引』:× 漫画なら良いけど小説でこの展開だと無理が際立つかと。


【D-Pri 18】 多少好みに戻ってきた感はあるが巻頭カラーがあれでは・・・。
■美輝妖『ボクのトリコ』:スルー 油断して裏表紙を見てしまい鬱・・・。
■セナユキヲ『温かな雪』:△ 動物ものは。エロへの持って行き方もぎこちないか。
■吉田チエ『つたえびと』:〇 設定と微妙な童話絵が△だがエロは頑張ったようだし。
■おおきぼん太『僕のご主人さま』:△ あまりに王道だがショートだし問題もないかと。
■羽柴紀子『BROTHER!』:△ 話は悪くないんだがやっぱり目が歪んできてないか?
■桜でんぶ『殿!2』:× この人の内向キャラはリアルすぎてキモいんだよなあ。
■鹿島田しき『誰にも言えない』:〇 画面やエロのくどさがね。設定の省略ぶりは中々。


●夜桜左京『ラブ、ライン、アロー』:▽ 表紙より顔が長いのと直截なエロが肌に合わず。
●一之瀬綾子『ゴーゴー僕たち』:△ 勢いはあるし面白いが冷静になると?という気も。
●藤井にや『おにいちゃんイヤ』:× 試験明けに本屋に行ってはいけませんね。ただH。
●赤名芽衣子『見つめる瞳』:△ 古い絵がウェットに過ぎる気が。最近は好きなんだが。
●カメイ与五郎太『狐の魂呼い』:〇 やっと筋が通った。途中から連載は止めて欲しい。
●日下孝秋『ナチュラリストの彼』:△ キャラの無茶さが話の成立を侵し始めてないか?
●びっけ『真空融接』:◎ ただ続けて読むと突っ込み所は多い。国単位ってのはどうよ?
●ねこ田米蔵『神様の腕の中2』:▽ かなり設定頼みで話が動いてないし良く泣くし・・・。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月13日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-03-31 23:58 | 漫画感想 | Comments(0)
2005年 03月 21日

なんともはや・・・

【Dear+ 3月号】 1月遅れ・・・。しかし安心して読めるがいまいちカラーが掴めない気も。
■梅太郎『頼光くんごめん』:△ キャラの性格や展開がご都合で整合的でない気が。
■麻生海『君の愛 僕の愛』:▽ コミック化したメリットがどこにも見出せないんだが・・・。
■志水ゆき『是―ZE―』:▽ 敵に救いが無いし、妙なオチ付けるし、身内受けの匂いも。
■二宮悦巳『猫になりたい』:◎ あざとい気もしたが、首筋を愛咬するシーンには悶絶。
■月本てらこ『惑性.'s』:〇 こういう展開ならこの能天気さは素直に笑えて良いと思う。
■南野ましろ『明聖テクニカル猫パンチ』:× 『月と専制君主』の頃が懐かしい・・・。
■依田沙江美『ブリリアント☆BLUE』:スルー ていうかあんた本当に何がしたいのさ?
■一之瀬綾子『スタンバイ。』:△ 展開が急すぎ。キャラも派手だし受けるとは思うが。
■珠莉朱夏『てのひらシンパシー』:◎ 王道ながら安直に陥っていない点はなかなか。
■吹山りこ『チェリッシュ スピリット』:〇 キャラの脳内感がなく読めるが受が乙女過ぎ。
■高群保『JAZZ』:スルー なんか受がタカラヅカめいて見えるんですが・・・。
■こいでみえこ『唇に甘い毒』:× 顔のバランスは改善されているようにも見えますが。
■松本花『がっこうのせんせい』:△ ベタだし細かい突っ込みどころが多い気が。
■えみこ山『懐疑は踊る』:スルー 第18回ですか。どこまで続くのやら。
■藤田いちか『若草の誘い』:スルー この絵はないでしょう・・・。
■右往左往『近くても遠くても』:△ 肝心の恋愛部分の描写が無いとねえ。
■杏庄由衣『glow』:スルー これも目が・・・。


【ルチル Vol.8】 最近季刊誌を読んでいなかったのでペースが掴みきれない感じも。
■木々『ラヴ ミー テンダー』:スルー 全くの趣味の問題ですな。
■さかもと麻乃『シークレット ガーデン』:〇 恋情が募る様があればなお良いかなと。
■有間しのぶ『青い芝生と甘い水』:〇 4コマを通してのストーリー展開が上手く好み。
■街子マドカ『ハッピーエンドの約束』:▽ 出会い方もオチの付け方も唐突過ぎで。
■田中鈴木『転校生・神野紫』:スルー 目は通しているのだがやはり話に入れない。
■富士山ひょうた『ディア・グリーン 瞳の追うのは』:△ やはりキャラも展開も独特だ。
■花田祐実『恋におちたら』:▽ 絵に動きがない気が。平面的な展開もちょっと。
■テクノサマタ『草の冠 星の冠』:△ いきなり過去話は・・・。単行本買って読むか。
■あきよし菜魚『水面に三日月』:△ 初回なのでまだ判断が付きにくいというか。
■シマダマサコ『69』:〇 かわいい系で好きなんだが絡んでくるキャラなどがなあ。
■吹山りこ『コイ、フワリ』:▽ 泣いて甘えて駄々こねる21歳男って繊細で可愛いか?
■一ノ瀬綾子『ゴーゴー僕たち』:〇 ナース服ですか。しかしハイテンションな・・・。
■秋葉東子『秘書の恋』:〇 小ネタがテンポ良くまとまっていてよろしいかと。
■福山ヤタカ『こうそく日和』:スルー この目では・・・。
■藤崎一也『I NEED THE SUN.』:△ ビニールハウス作って終わりですか・・・。
■星野リリィ『ハートのダイヤを奪取せよ』:▽ 唐突な話だが番外編なのか?
■吉田もろへ『いつもとちがうかえりみち』:◎ こういう何気ない一コマはツボでして。
■南野ましろ『真綿の王国』:△ やはり独自色が強いとは思うが、これは楽しめるなあ。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月13日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-03-21 04:43 | 漫画感想 | Comments(0)
2005年 03月 20日

いやはや・・・

もう色々バタバタでして・・・。

麻生玲子『水の化石』は前作同様オーソドックスなほんわか系の少女小説っぽい作品。
やはり友人関係やアルバイトといった本筋と関係のない話が若干多すぎる気はするが、
レーベルや、キャラクターに厚みを与えている点を考えれば仕方ないだろうし。
こういった、特段の大きな事件やハプニングに頼ることなく、日常の生活の中における
さりげない一コマを通して恋愛感情が育まれていく様子を描く作品は貴重だと気付いた。

相手が感情の機微に疎いという設定になっているため、主人公が自分の感情をあえて
言葉にしたりするのだが、これが素直で青いながらも地に足が着いていてうなずけたし、
また相手が見せるボケ振りもあざとくないし、またボケゆえに時折吐く直截なセリフも、
実はベタなのだがツボを押さえていて、読んでいて庇護欲めいたものを覚えてしまった。
しかしこの相手方のクールビューティーさが影を潜めて可愛い系のキャラになるのって、
実は割りとあるパターンだとは思うのだが、きちんと描写されると違和感が出ないのか。

また本作では、恋愛感情を意識した主人公が、性欲や独占欲を意識し始める辺りを
かなりリアルかつ濃やかに描いているだが、この辺りは思いっきり私の好みなので、
かなり楽しんで読むことができた。己の情動の兆しにどぎまぎする主人公がたまらない。
ただここまでソフトかつスローな展開だと若干の物足りなさも感じてしまったり。
普段安直にエロに頼ることをあれだけけなしておきながら全くもって身勝手な感想だが。
最後どのように2人がくっついてハッピーエンドを迎えるのかは見届けたくなった。
ただやはり家庭教師先の女の子との話とかが絡んできてしまうんだろうなあ・・・。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月13日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-03-20 04:43 | 小説感想 | Comments(0)
2005年 03月 18日

花粉症こそ恨めしけれ・続き

【少年愛の美学11 メガネ少年】 ショタみみの方は良いのにどうしてこちらは・・・。
◎19号『銀枠の奥の逡巡』: 雰囲気ある絵がたまりません。横恋慕の躊躇いもあるし。
△:さそりがため『Sweet Spice』: 学生が実験で変身ってベタ過ぎだがまあエロいし。
   矢間野狐『君の事が大好きだから』: メガネでもみそっかすという着眼点は中々。
   諸汰鎮孝『まっしろなきみ』: 萌えうるがどっちもここまで偏執的にしなくともねえ。
   ツヅキ真宵『見つケモノ』: 異世界設定は疑問だが、心理面への配慮もあるし。
スルー:海老知里子+紬きゅうた『秘密合体ダイラオン』、土肥けんすけ『ハリ師雀庵』、
     よこやまちちゃ『ぼくぴか』
▽:あらなが輝『愛とメガネ』、犬丸『ヤブノナカ』、星逢ひろ『屋上で待つ』、
   かるま龍狼『先生のメガネ』、秋緒たかみ『眼鏡生活事始め』
×:ぽ~じゅ『白濁』、稲葉COZY『援交少年。』


【LOVEX 9】 やはり創刊から買っているショタアンソロは切り難いが・・・。
■天城れの『放課後理科クラブ』:△ ちょっと展開やエロにあざとさが。
■黄上恵理『灰色』:〇 中学生らしいベタベタした淫猥さと幼さの共存がたまりません。
■やまかみ梨由『おくすりの時間』:△ まあシチュを楽しみたい方には。
■羽柴紀子『そんなこといわないで』:× 絵も歪んできたし話に救いも無いし。
■渋谷花『おしおきしてよ』:△ エロ描写がありえなさ過ぎなんだが切り捨てられない。
■しおせ順。『GO WEST』:スルー 表紙見た時点でさようなら。
■Dr.天『いといとし君』:▽ 夢と現実の混淆が意味不明だし、ネタ的にもやり過ぎでは。
■美輝妖『愛するしもべ』:スルー 最後だとめくらなくて良いので楽ですな。


【CRAFT 23】 目次と内容の不整合を奥付で詫びられるならなぜ直さない? コスト?
■木下けい子『キスブルー』:〇 もう少し相手の心情が分かる描写が欲しいですが。
■夢花李『こころ機械。』:〇 小ネタ2つですがまとまってはいるので。
■宮城とおこ『G線上の猫』:◎ 主人公のキャラが描ききれていなくともエロですから。
■紺野キタ『森の郵便配達人』:〇 落とすなよ・・・。あと少し書き込み不足&ベタかと。
■山本小鉄子『晴れてボクたちは』:△ 違和感の原因はキャラが大きすぎるからか。
■石原理『テッペンカケタカ』:スルー お好きな方だけお楽しみください。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月13日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-03-18 02:14 | 漫画感想 | Comments(0)
2005年 03月 17日

花粉症こそ恨めしけれ

4泊5日で友人宅を泊まり歩いたり裁判所見学に行ったりと思ったより忙しい日常を、
鼻の奥の疼きと目の痒みが苦難に彩ってくれて、甚だ困っている次第であります。
普段は寝不足や酔い覚めに限られるのですが、流石に今年の飛散量には抗えず。
マスクもゴーグルもせずに売薬のみで抑えきるのは不可能に近いのかしらん・・・。


菅野彰&月夜野亮『おおいぬ荘の人々6・7』のシリーズ完結に寂寥と安堵の思いが。
無尽蔵に増えるキャラとカップルの繰り広げるギャグ交じりのハイテンションな寸劇を
割と冷静というか落ち着いた筆致で淡々と描いていく作風は、個人的には嫌いでない。
エクリプスロマンスで1巻が出たときは楽しんで読んだし、数年後になってDear+が
このシリーズを引き取ったときには驚いたが、好意的に受け止め続刊を待ったものだ。

今回の2冊でもおおいぬ荘のいつもの日常が描かれながら、シリーズ終結とのことで
各々のカップルの関係が進展し、ハッピーエンドと言ってよい結末が用意されている。
それでもこの2冊に対し満足感よりも倦怠感めいたものを覚えたことは否定できない。
このシリーズはコンセプトや展開のさせ方という根本に問題を含んでいると思うのだ。

まず、執筆陣が恋愛以外に書きたいことを質・量共に盛り込みすぎている所が辛い。
そもそも801は恋愛譚であって、それを彩るためにトラウマや事件やキャラの成長が
ある筈なのだが、801をネタの受け皿としか捉えていない作品のいかに多いことか。
それでも本作はネタが割と描けている分だけマシな方なのだが、その代わりにというか
描かれる問題が妙に重いため、恋愛譚を脇に押しやってしまっている感じは否めない。
深刻な親子の溝や人格のあり方や真に愛する者を失った喪失感なりを描くこと自体を
闇雲に攻める気はないが、やはり盛り込みすぎだしもっと明快に解決して欲しい気が。

全て愛で癒されてハッピーエンドと言うような安直な作品に反吐が出ることは確かだが、
問題提起した以上きっちりと解決はして欲しい。他のキャラや日常の描写に筆が取られ
2時間ドラマの崖での告白シーンのようにいきなり山場が来てキャラに熱く語られても
状況設定のチープさが説得性を殺いでいることに気付いていない気がしてならない。
或いはこうした重いシーンを誤魔化すためにライトな日常を挿入したのかも知れないが
それが相容れずに作品としてちぐはぐぶなっている場合が少なからず見受けられた。

次にやはり登場人物が多すぎる弊害は指摘せざるを得ないだろう。何せ6カップル。
途中からは「ホモの館」と聞きつけて入居しに来るというキャラも少なくなかったため、
いわゆる「総ホモ化」のような非現実感を覚えたことは無いが、やはり人が多すぎる。
キャラやカップルがここまで増えたのも、作者が語りたい問題を出すためのトラブルを
先に考えた上で、それを担わせるに相応しい人物を出したためではないだろうか。
結果として各話はそれなりにちゃんとした話にはなったが、全体の方向性は薄まり
ある面作者の書きたいことが多すぎる他のキャラに邪魔されることにもなっているし。

結果として恋愛譚とは関係ない「おおいぬ荘の日常」に多くの描写が取られてしまい、
肝心の各人の感情の動きやエピソードへの書き込みが浅いように思えるのはどうか。
確かにその日常が面白いことは認めるが、本末転倒であることも否定できないだろう。
特にシリーズ後半ではトラブルのマンネリ化や執筆陣同士の内輪受けも感じられたし。
いくらトラブルや悩む人間をすげ替えた所で、一人ないしは1カップルのいざこざに
全員がドタバタするというスタイルが続けば飽きも来ることには気付いて欲しかった。

結局は、ネタに特化させようと増やしたキャラの描写に筆を取られてネタを書ききれず、
ネタの重さを緩和させようと軽めにした日常シーンが作品としての統一感を損なうという
執筆陣の意図が裏目裏目に出てしまった点に本作の限界があるのではないだろうか。
別な面から言い換えれば、広げすぎた風呂敷を畳めなくなったとも言える気がするが。

随分批判的に書いてきてしまったが、実のところ私はこの作品が嫌いではないのだ。
愛すべきキャラは多いし楽しげな日常のノリも時折描かれる甘い描写も好みではある。
それでもやはり、むしろ好きだからこそ、上述のような諸点が気になってしまうのだ。
変に欲張ったり暴走したりせず、重いものは重いもの、ライトなものはライトなものとして
各々別な作品を描いてくれたほうが、どちらも楽しめたのではと言う気がしてならない。
10年近く付き合ってきたシリーズの終了である。もっと好意的に受け止めたかったが
それでも自分の中で小さいながらも一つの節目を迎えた思いを感じているのは確かだ。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月13日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-03-17 02:14 | 小説感想 | Comments(0)
2005年 03月 10日

消化不良

もう休みに入って2週間近いことに驚愕。こうやって無為に日が過ぎていくのね・・・。


渡海奈穂『ブラザー・コンプレックス』はやはりこの作者らしく安心して楽しめる上作。
ちょっとキャラクターのアクが強すぎる(受のボケっぷりと内気さはどうよ)というか、
キャラを作者が御しきれていないような印象があり、多少読んでいてクラクラするが
一連の変化する心情の書き込みや段階を追ったストーリー展開などは流石であり、
適度に移入した上で、心地良く満足感を持って読み終えることができた佳作である。

最近の作家の中では一押しで、安心して読める作品を常に書いてくれるのは有難い。
やはり彼女の描くキャラクターには骨肉が備わっていて納得のいく動き方をするし、
きっちり恋愛の過程や折々の心情を濃やかに書こうとする姿勢は賞揚すべきと思う。
最近の801作家にはめっきり見られにくくなっているが、恋愛譚の基本ではないかと。

しかし本作は結構展開などが初期設定に負っている所が多いし、先にも述べたとおり
受や攻のキャラクターが濃すぎるので、そのキャラらしい行動をとらせた結果として
ストーリー展開が唐突や迂遠になっている所があり、読んでいて振り回されてしまう。
登場人物がそれなりに多いこともあり、散漫な印象を受けることがあったのも事実だ。
しかしHに頼ったりHでごまかさずに恋愛を描き、それでもHシーンに必然的を持たせ、
あまつさえそれが濃厚で萌えられる描写になっている辺りは天晴れとしか言う他無い。

ラストシーンが直前のHシーンの後日談というかエピローグに過ぎない作品が多い中で
最後までエロに頼らず2人の理解が深まっていく様を描いているあたりも見事である。
(最後のHシーンから30ページも話が続くなんて801小説は中々ありませんよ?)
もう少しキャラのアクやエピソードを整理して丁寧に展開してくれればまさに理想だが、
高望みないし好みの問題であろう。十分に恋愛譚として堪能して読むことができた。


秀香穂里『挑発の15秒』はこなれて来たがやはり説明の硬さが雰囲気を殺いでいて。
職業の選び方や描き込みの仕方は上手いと思うが、読み手として遊びの余地が無く、
説明が募るほどに萌えから遠ざかっていく感じ。情報量が多すぎるんじゃないか?
まず恋愛以外の描写が多いし、恋愛についての描写も言葉を尽しすぎる感じで
あまり情動なり衝動なりといったものが温度を持って感じられない気がしてしまい。
理詰めに走ったために薄れてしまう恋愛らしさを、描写を尽すことで取り戻そうとして
却ってぎこちなくなってしまっているのではないか。全ての感情に理由は付け得まい。

受の言動などは知性や照れを示すと言うよりむしろ嫌味っぽくなってしまっているし、
攻は攻で地の文での説明がくどくどしく読んでいて萎えてきてしまうような感があった。
それでも前作程ではないし、国語力自体はあるのでそれなりに興味を持って読めたが。
もう少し間接的な描写を使ったり、全てを説明することを避けて情動の質感を出せれば
結構読める作家だとは思うのだが。商業処女作とかは割と生々しくて面白かったし。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月13日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-03-10 04:54 | 小説感想 | Comments(0)
2005年 03月 05日

有言不実行・続き

【MAGAZINE BE×BOY 3月号】 裏見返しの次号予告に激しく萎えてしまったが・・・。
■石原理『犬の王』:スルー 読んでいてノリが全く分からなかった・・・。
■志野夏穂『倉科先生の受難』:▽ ベタで進展ないし。コマ毎に頭の大きさ変わりすぎ。
■九条AOI『LOVE JACK』:〇 この古くささや止め絵感が意外とツボに来るのでねえ。
■星野リリィ『歌唄い』:◎ いや吃驚。性別受で無い801も描けるのか。雰囲気あるし。
■野火ノビタ『君の顔に射す影』:△ 『センチメント』以来Hに固執しすぎなんだよなあ。
■片岡ケイコ『好きって言うから、聞いて』:〇 いきなり泣くのや画面のへたれ感は微妙。
■田中鈴木『幸福の王子』:△ 山場は好きなシチュだが娘のネタとか妙な妖精がねえ。
■ユキムラ『天然+極楽魔法使い』:▽ 何がしたいのか良く分からず付いていけない。
■寿たらこ『SEX PISTOLS』:スルー 次号「驚異の80p」ですか。脅威だ・・・。
■三島一彦『先生!』:△ 色んなところが分かりやすすぎと言うかやりすぎと言うか。
■川唯東子『O/D』:× 後編の後に完結編ってね。引き伸ばすようなネタでもないし。
■水上シン『覚悟決めんかい!』:スルー 問答無用。
■松本テマリ『とらわれびと、ひとり』:〇 なぜここで一線を越えるのか説明がないのは。
■高久尚子『はつ恋』:△ ネタは悪くないがページ減らして1回にまとめるべきでは?
■本庄りえ『夜が終わるのに』:▽ 作者や愛読者は満足するんだろうが・・・。
■九州男児『課長の恋』:スルー
■浦コハク『愛犬ゲンキ』:スルー


【GUSH 3月号】 どんどん薄くなる気がするんだが・・・。文庫創刊もどうなのかねえ。
■裕也『ろくでなしの恋』:× 話もキャラも一人よがりすぎて。
■桜川園子『花もいばらも』:スルー 最後のページの肩幅の2割しかない頭には失笑。
■高永ひなこ『恋する暴君』:× あとはほだされるだけなんだろうし。
■金沢有倖『神の子~セブンス~』:スルー 
■トジツキハジメ『クライマックス』:△ 描写抑えたんだし攻をここまで煮詰まらせずとも。
■羽原ちより『恋かもしれない』:▽ 絵がねえ。あと絆される辺りはもう少し描いて欲しい。
■タクミユウ『惑乱セクレタリー』:× 部長が重役で秘書が付くんですかそうですか。
■楢崎ねねこ『ハツコイ純情系』:◎ ドベタな設定でも好みなのでね。上手く纏めてるし。
■緋色れーいち『COLD~絶対零度の恋人~』:▽ 嫌だよこんなケバイ医者や看護婦。
■深瀬紅音『ポケット・センチメンタル』:△ 空回りにHを絡めるのはなあ。攻イモ臭いし。
■羽崎やすみ『学園ルンバ』:× なんでこんな金太郎飴になってしまったのかねえ。
■洸『優しい復讐』:スルー 前作も読んでないなあ。単行本で買うことになるか?

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月13日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-03-05 03:20 | 漫画感想 | Comments(0)
2005年 03月 04日

有言不実行

・・・とりあえず消化を心がけるのみです。はい・・・。


高遠琉加『この胸をどうしよう』は新味は無いがバランスよくまとまっている佳作かと。
冒頭に続く過去のエピソードで、よくある内気な受と王子様的な攻の話かと思いきや
さっさと攻がゲイ宣言して、その上で受を親友に据えるというのはなかなか興味深い。
芸能ネタもお約束ではあるがさわりだけなので破綻も無く背景として許容範囲かと。
受へのちょっかいの出され方などベタ過ぎるきらいもあるがあっさり流しているし。

当て馬の使い方もご都合ではないし、2人のすれ違いにも一応の説得性はあるし、
心情描写もややベタだが適度な重みで、心地良く最後まで読み進めることができた。
ありきたりな所も少なくないし、ライトにまとめたなあという感じもしないではないが、
作品全体として傷が無く全般に無難にまとめているから安心して読めたのだろう。
思い立ってふと801を軽く読みたいと言うときなどには誂え向きの作品かと。


久能千明『キイワードは雨』はシリーズものとは知らず購入したが普通には読めた。
共学校の寮を舞台とした話なので、男女ないし男同士の恋愛描写が多くなっている他
それ以上に学園小説的ノリが強いが、まあ少女マンガのノリで読めるものではあるし。
流石に途中で学園推理小説のノリになったときには読み慣れていないので驚いたが。
作者の若さに対する地の語りのようなものが見える辺りなどもどうかとは思うのだが、
筆力はある作家だし描写や話に破綻もないし、基本的には801系「青春活劇」として
読むことはできる作品だった。それでもネタや文章にオバサン臭さを感じてしまったが。

あとは何より攻の設定の無理さがねえ。高校生とは思えない設定は腐るほど見るが、
具体的な描写まで高校生に見せないというのは横紙破りかも。壮年期の熊かこいつ。
あとエロシーンが妙に双方盛り切っているのもどうかと。若々しさが感じられないし。
なんというか描こうとしているものと作者の文体や雰囲気があっていない感じはした。
最後までしっかりと読ませる割に読後にしっくり来ない感じが残ってしまうと言うか。
第1作目からきちんと読んでいればこうした違和感は少ないのかもしれないが・・・。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月13日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-03-04 03:20 | 小説感想 | Comments(0)