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2005年 01月 28日

本末転倒とは思いつつも

今週も結局801小説を2冊(かなり無理をして)買ったのみで。いやはやこれほどとは。
流石に始めから明らかに楽しめなさそうと分かるようなものを買う趣味は無いのですよ。
過去の感想を省みるに作品を批判することが主になっていることは否定できませんが、
あくまでこれは結果的なもので始めから批評目的で801を読んでいる訳ではないので。

流石に切羽詰ると小説の感想は書けません。3冊読了してますが気長にお待ち頂きたく。


【MAGAGINE BE×BOY 2月号】 売れているのは分かるんだが・・・。
■猫田リコ『少年ビューティー』:△ 雰囲気はあるが特異で個人的に入り込み難い感じ。
■志野夏穂『倉科先生の受難』:▽ 好きな人には良いだろうがテンプレてんこ盛り過ぎ。
■神葉理世『愛人★淫魔』:▽ 男性向けエロの悪しき所が採用されてしまってる気が。
■鈴原ひろの『にび色ベイビー』:△ 捻りも見ては取れたがやはりお子様向きだよなあ。
■立野真琴『HERO・HEEL-英雄と悪漢-』:▽ ネタに付いて行けない(行きたくない)し。
■河井英杞『王子と乞食』:△ ストーリーとしての必要性を超えて陰鬱なのはどうかと。
■天王寺ミオ『眼鏡越しの空は』:▽ 受がキモ気味というか東野裕と重なってどうも。
■小鹿涼太『こんな雨の日に見る夢は』:〇 感情のあわいを描こうという点は悪くない。
■中井ニコ『アンタに恋、愛に願掛け。』:△ 絵がなあ。独特のノリは好みな方なんだが。
■川唯東子『O/D』:▽ 最後声上げて泣きださなければねえ・・・。
■田中鈴木『幸福の王子』:△ こんな変な妖精出さずに恋愛の過程を描いてくれれば。
■水上シン『覚悟決めんかい』:スルー 2p目のありえないヤクザの描写でサヨウナラ。
■梅太郎『十六枚の告白』:△ もっとページ使って丁寧にまとめて欲しかったなあ。
■高久尚子『はつ恋』:〇 ただ冒頭の係決めが伏線かご都合か判断が付かなくて・・・。
■日の出ハイム『L'INTERDIT』:〇 好みだが801以外の描写にページ割き過ぎでは?
■九州男児『課長の恋』:スルー シモネタで引っ張るのはもう限界でしょういい加減。


【ショタみみLOVE Vol.6】 気合が入ってる。ショタでこの質の高さは特筆すべきでは?
■松本ゆうか『守ってやるぜMyBrother』:△ 設定が浅いならエロに力点を置いては?
■乙里玲太朗『ハッピーダンク』:◎ いきなりHはご都合だが心情も程よく描けているし。
■カメイ与五郎太『狐の魂呼い』:△ 色々上手い。まとめて読んだら評価が上がりそう。
■星逢ひろ『お荷物』:△ オチが唐突なのがちょっと。話を重くしなくとも良いのでは?
■かたぎりあつこ『ツママレギツネ』:〇 最近多いが変異物はどうかと思うんだが・・・。
■牛乳リンダ『タイミング』:〇 これも引っ張りに見合うエロとオチが欲しかったかと。
■BENNY’S『九九とタオルとタラバガニ』:△ 好みからはズレますが頑張ってますな。
■柊柾葵『クーロ君の華麗なる日常』:× 紙面的にエロを濃くしたいのは分かるがねえ。
■nicoco『私立けものの学園』:▽ ちょっと今回は遊びすぎでは?
■水内繭子『うしろの正面』:◎ これも程よい心情変化とくどくないエロがたまりません。
■ハイドロ『くらがり』:◎ 稚気と濃密な閉塞感の混淆が醸し出すリアルな子供像に感服。
■秋緒たかみ『放課後個室倶楽部』:△ これも私の好みよりサービス過剰ですがまあ。
■犬丸『変身少年怪盗バニィ』:△ ネタとして割り切れば良いだけだろうけど。
■かわだ章吾『われも恋う。』:〇 ただなぜ再録? 新作を期待していたのに・・・。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-28 01:19 | 漫画感想 | Comments(0)
2005年 01月 22日

紙袋を持たずに帰宅

先週今週で801小説を1冊ずつしか買っていません。他も雑誌3冊とコミック1冊のみ。
特に今週は一般コミックやラノベも併せて4冊しか買わず、2249円を支払ったのみで。
大学生の頃は週3~4回は本屋に行ってましたし、社会人になり週1ペースにしてからも
毎回1万円以上買う(一般書等含む)のがざらだったことを考えると隔世の感があります。

まあ趣味が狭くなったことやストレスから本を買うことが減ったせいでもあるのですが、
やはり801業界の動向と私の趣味が乖離してきていることの証左でもあるのかなあと。
こんな風に時間がない時期には丁度良いとはいえますが、少し寂寥感のようなものも。


【GUSH 2月号】 中身も本体も薄くなって来てますなあ。コミックリンクス創刊がとどめ?
■緋色れーいち『COLD』:× ・・・こんな医者いねえ・・・。
■越智千文『breath』:▽ かばって刺された直後で終わり? 色々片付けて終われよ。
■高永ひなこ『恋する暴君』:〇 ベタですが笑えたし。でも絵が雑になってないか?
■小路龍流『君がこの手を離れるなら』:▽ 中身無さ過ぎ。少年絵は好きだが大人は。
■金沢有倖『神の子-セブンス-』:スルー 目に入った最後のページだけで逝けますよ。
■みろくことこ『恋のヒキガネ』:△ 好みだけどベタだし展開も唐突だし女っぽいし・・・。
■日高ショーコ『君と恋をする』:◎ 話がしっかり段階を追っているのは良いかと。
■葛井美鳥『熱愛コンプレックス』:× 捻りない展開と女ストーカーの嫌らしさは秀逸。
■桜川園子『花もいばらも!』:スルー 何度見ても男には見えないよなあ。
■鳩村衣杏/金ひかる『絶対に負けない恋愛』:スルー 試験後には読みたいなあと。
■深瀬紅音『ポケット・センチメンタル』:〇 ちょっと心情が浅くて安直に過ぎないか?
■羽崎やすみ『学園ルンバ』:× パターンにネタを当てはめるだけになってる気が。


【GUSHmania 12】 当たり外れが号ごとにも号内でも激しいなあ。本誌よりましか。
■徳丸佳貴『月と蛇』:▽ こんなパスポート偽造はないって。教師の設定が無意味だし。
■日の出ハイム『ブルーブルーラグーン』:◎ ドギツめだがきっちり心情もあって良い。
■猫魔乱吉『冷たい雨と体温とその関係』:▽ 乱入には絶句。相変わらずはしたないし。
■真行寺罪子『皆殺しのメロディ』:× というか全然ついていけなかったんですが。
■新也美樹『世界は愛に満ちている』:スルー ギャグなんだよね? そうだよね?
■楢崎ねねこ『恋愛過剰注意報』:〇 こういう強引な攻ってどうなのかねえ。
■橋本あおい『夜にやさしく』:△ 唇がキモくないか? キャラも素っ頓狂だし。
■たちばなれい『バージンロードで奪われて』:スルー 結婚式に乱入する時点で始球式。
■安南友香子『音のない雨』:スルー 最後なのでめくる手間が省けました。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-22 01:28 | 漫画感想 | Comments(0)
2005年 01月 17日

憂愁の暦は酢え・続き

あとこの機に『BBG』と『Daria』を切ることに。書店で『BBG』に手が伸びなくて。
ついでに『LOVEX』と『D-Pri』についても思案中。前者は前回のショタブーム以来
唯一生き残っているアンソロ(前回のブームの火付け役でもある・当時は『XX』)なので
そうやすやすとは切りたくないのですが、いかんせん最近の低調振りではねえ・・・。


【Daria Winter】 長らく買ってきましたがもう読まなくて良いかなと。
■えのもと椿『メインディッシュ~初恋~』:スルー 話に有意な差があるのだろうか?
■石丸博子『LOVE/KNOT』:▽ 新味が出せていないよなあ。絵も古い感じだし。
■角田縁『アイはどこいった?』:▽ 女性絡みで自らの地位に不安を抱くのも頻出で。
■富士山ひょうた『てっぺんのひまわり』:△ キャラやホモや説明が多すぎなきゃ・・・。
■速瀬みさき『ひよこ道場』:△ 無難に笑わせてくれますが。しかしこの人も長いなあ。
■花村優『トラブル★スター』:〇 絵も間も雰囲気も好きだがこのネタとベタさはネック。
■果桃なばこ『恋は一夜にしてならず』:スルー 表紙のカマキリ見て読む気になるか?
■あき『believe in』:〇 これも好きなんだが受の好意や天然さが少し唐突過ぎて。
■東里桐子『LOVE RECIPE』:スルー 描いてる方は楽しいんでしょうがね。
■かんべあきら『ビタースイートカフェ』:スルー ベタな話と萌えのない絵ではねえ。
■石原理『羊たちの番人』:スルー 全くついていけず。
■緋色れーいち『目を閉じておいでよ』:× 総ホモ含めあり得ない展開に目が泳いで。
■天羽宥貴『CELLULOID HEARTS』:スルー 今のこの絵は受け付けません。
■なると真樹『恋の味見は一度だけ』:△ ベタだが無難に読めるので。


【LOVEX 8】 この間も書いたが、これもやはり購入を止めるべきか・・・。
■美輝妖『僕のもとへ』:スルー だからなんでミキヨウが巻頭カラー?
■羽柴紀子『こねこ注意報!』:× こねこって言われてもねえ。何がしたいのか。
■悠木りおん『いつまでもいっしょ。』:△ 子供の設定が強引かと。目も大きすぎでは?
■くるみぎくるみ『ヒミツのクマ王子 完結編』:▽ このラストは反則だろう。ご都合すぎ。
■しおせ順。『お兄ちゃんとボク』:△ 攻を妙な設定にしなくとも良かったのに。
■あきばじろぉ『わがまま純情王子様』:△ 無難なんだが萌えが少ないかな?
■樹要『きみといる魔法2』:▽ 過去を引っ張るならそれなりに処理して欲しいんだが。


●池田乾『戦う!セバスチャン 4』:◎ やりすぎ感はあるけど。業務日誌がまた秀逸で。
●鹿島田しき『見えないたまご』:〇 エロはさておきベタネタや妙な動物ネタはどうかと。
●街子マドカ『光の街』:〇 雰囲気と脳内の微妙なあわいか。もう少し穏当ならなあ・・・。
●村上左知『ソフトロマンティック』:〇 内輪感がない点は悪くないが、時々展開が飛ぶ。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-17 18:54 | 漫画感想 | Comments(0)
2005年 01月 16日

憂愁の暦は酢え

怒涛のレポート提出が終わったら試験が間近に迫るという忌まわしいコンボでして。
流石に本の購入も手控え気味になろうかというものです。全然食指が動かない・・・。


桜木知沙子『教えてよ』はこの人らしくうまくまとめているが自分にはやや食傷気味。
そもそも第1篇を雑誌で読んだときには「・・・落としたのか?」と思ったくらいで、
話も短めだし主人公が相手の助教授に惚れる理由もあまりに唐突かつあっさりで。
親身になって教えてくれた人に惹かれるというのは攻の惚れる理由としては珍しいか。
優秀なオスに征服されたいと思うのはまだ動物的だろうが逆となるとどうなのか知らん。

そして第2編以降になると桜木キャラのテンプレが露骨に見えてしまい個人的に諦観が。
肝心な所ですぐに頭に来たり誤解したりして勝手に身を引くキャラをいつまで使うのか。
そして肝心なことは何も言わずに余計なことばかりに言葉を重ねる相手方という設定も。
特に本作は上の傾向がかなり極端なので、読んでいてデジャビュとあり得なさ感に
引いてしまうし、都合の良い友人が偶然現れるというその後の展開まで読めてしまって
かなりの読み飛ばしモードに突入してしまった。初読ならともかく類作が多いんだから。
しかもそれを2編目と3編目で2回やるってどういう神経? 何の捻りも無いじゃないか。

特に3編目は受の言動が酷い。誤解して関係が冷えるストーリーにしたいのは分かるが
こんな説明の仕方するような言語能力ならそもそも助教授になれる訳が無いだろうに。
相手が激しているのに何の措置も取らず出て行かせるとは。落ち着くまで放っておくと。
前の2話での教訓を全く生かせてない訳だし、でまた偶然でくっつく訳だからねえ・・・。
他にストーリーが作れないということを作家自ら露呈しているようなものだと思うのだが。

相手が冷たい言動をとったとしても、その真意は全て自分を思ってなされたであって
関係が冷えたわけではなかった、と言う話は多いですが、これは読者なり作者の中に
実際もそうだと思いたい願望があるから、それに応えているのではないかと邪推すら。
いずれにせよ趣味ではなく、テンプレまみれの下手な展開とのダブルパンチにただ辟易。
経験ある作家だし基本的には破綻なく読ませるレベルにはまとめてるんだけどねえ・・・。


真崎ひかる『恋より甘く愛より熱く』は中高生向けのエロ&ベタなテンプレ話でお腹一杯。
冒頭の過去シーンではベタなりに読めるかとは思ったのだが、直後に同級生の女子を
描く辺りからテンプレ臭がプンプンで、登場する攻が新進気鋭の写真家の時点でFAと。
そして2人暮らしに移行する理由のあんまりさに絶句。高校1年生の子供がいながら
趣味で海外移住する親なんて居たとしても非常識の極みだろう。それをギャグでなく
「常識的な親」として描いている辺りにトンデモを感じたのだが感覚がおかしいだろうか。
交通事故とか海外勤務とかのよくある安直な理由にしたくなかったのかもしれないが、
ご都合感は出ないにしても逆にあり得なさ感が出ては全く何の意味も無いだろうに。

そして同居開始早々攻の料理のうまさが描かれ受が給仕され惚れ直す辺りもベタか。
本当に801には料理のできる男は多いなあ。女性の理想なんだろうとしか思えないが。
美形の男性に料理や給仕までしてもらいたい! という尽され願望の結晶なわけか。
その後も誘われて興味で務めたモデルで絶賛されシンデレラ願望をも満たしているし。

受が酔って攻に詰め寄るシーンがあったが、時間軸が錯綜して読めたものではない。
地の文章で書き分ける力が無いんだからこんな妙な構成を取らなければいいのに。
このすれ違いだって結局は「全てを知った当て馬の演技」で解決されるんだからねえ。
どうせ攻がベストなタイミングで現れるだろうなあとの予想は欠片も外れないわけで。
そして気持ちを確認したら当然即エロ(?)。動物的で分かりやすくてよろしいですな。
これまた当然に感じまくるあたりも外してくれませんからね、目が滑ること滑ること。

で続編になると手が出されなくなるというこれまたお約束振りには脱帽で。もう天晴れ。
一度ライバルが出てきただけであっさり誤解してしまう辺りのあり得なさ感は特級品。
なにせ手錠かけるんですからやることが違います。何考えてんの? ギャグのつもり?
当然誤解はすぐ解けるが「歯止めが効かなくなりそうで抱けなかった」というのもねえ。
それに対して「繋がれてもいい」といって自分達を手錠で繋ぎ直すクサさもなかなか。
そして当然そのまま手錠プレイ。もうエロ至上主義というかただの変態カップルかと。

好きだから独占したいという理屈が当然に通るのは独占されたい読者が多いからか?
最後はドベタなバカップル描写で甘甘エンディングと。虚脱感だけが残されただ嘆息。
これもまあ中高生が読んだりベタさを愛でたりギャグとして読めば楽しめるのだろうが。
ストレスから守備範囲を広げた自分のミスと分かりつつもここまで新味がないとどうも。
エロだけは割と頑張ってる感はあったけど感じすぎだし。まあサービスなんでしょうが。


可南さらさ『雨が過ぎても』はサービスも説明もくどくどしくてまともに読めなかった。
受が「両親の交通事故」により「連れ子同士」で「同居」し「世話女房」役であるのだが、
(この時点でのお約束てんこ盛りの臆面の無さも相当ですが)、その状況の説明を、
昼飯時の友人との会話を使って13ページもかけて延々しているんだからたまらない。
平板で不自然で説明チックな質問と応答の羅列に耐えられず、本を放り出し暫く放置。
その後も平板で説明過剰な地の文と伏線にしては不自然極まりない出来事の連続に
何度も読書を中断するしかなく、1週間以上かけて無理やりに読むしか手がなかった。

とにかく作者の意図が見えすぎて気持ち悪い。エピソードでも主人公の感情描写でも。
叔母がいけ好かないち散々描写しておきながらその言動に振り回される必然性が無く
無駄に不快感を受けるのみだったし、お互いの誤解も超単純かつあり得ないレベルで、
しかもそれをくだくだしく正当化されても碌に移入などできる訳も無く醒めるのみだった。
最後に誤解が解けて見えてくる相手の心情も単純すぎるというか不自然に思えたし。
居ないよこんな男。女々しいなんてレベルじゃなくて3歳児程度。「可愛い」で括れるか?
痴話喧嘩も説明過剰だし。会話文でしか物事を説明できない筆力は酷すぎる。

そもそも好きになってることを前提にくっつくまでの出来事だけ書くのはどうかと思う。
シチュが書きたかったのかもしれないが、にしては状況にリアリティが無さ過ぎるし。
とにかく説明が下手で過剰で会話に頼りすぎ。読者の想像力を否定したいのか?
続編もわざわざぶりっこな女の子を出して双方に誤解させる道具にする辺りが不快で。
女性読者の共感を得るための仮想敵だろうが、話に不要だし作者の悪意が透けて醜い。
どうして作中でこのように女の子を貶めようとする801作家が後を絶たないのかしらん。
それにその女の子を残酷に切り捨てた口で愛を囁かれても不安にはならないのかねえ。
その後にいくらエロとべたな惚気を続けられても個人的には醒めるしかなかったのだが。
過去の作品には読めるのもあったんだが濫作に走ったのかねえ。もう買えないなあ・・・。


榊花月『恋になる』はレーベル(花丸文庫)ゆえか榊節が過剰になりすぎている感じ。
交通事故(しかしこればっかだ)で将来が絶たれた故の苦悩の書き込みはうまいんだが
ここまで書いては読者が鬱になるしそもそも必要が無いはず。特に従姉妹を襲うあたり。
それに好きになる理由も碌に書き込まれずいきなり好意を総括されても付いていけない。
当て馬もずいぶんご都合な登場&使われ方だし。エロ要素を増やしたかったのかねえ。

2人が離れる理由となるエピソードも唐突だし、フォローも無くいきなり距離を置く感じで
別れのシーンも再会のシーンも描写が少なく移入する前に話が進んでしまう感じだった。
割と細かい日常描写は濃やかなのに、肝心の部分があっさり過ぎてバランスを欠く感じ。
最後も男子寮の応接室にドアが無いと説明しておきながら、そこで告白劇するんだから
むしろ「ばれるんじゃないの」というほうが気になってしまったし(笑)。本末転倒かと。

続編もなあ、女性2人の絡め方はうまいがちょっとご都合な感じは否めなかったし。
花丸らしいといえばそれまでだが、変に分かりやすくしようとして失敗しているというか
もともと微妙である榊節がさらに歪んでしまってぎこちなさが倍増したような感じだった。
それでもやはりそれなりには読めはしたが。作風は好みだし筆力もそこそこはあるし。
まあ花丸文庫自体が相当に厨化しているので殆んど買わなくなって久しいのだが、
もしかしたらリーフやラピスのように作家買いすら拒むレーベルになってきたのだろうか。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-16 18:54 | 小説感想 | Comments(0)
2005年 01月 09日

人として

尻に火がついてすら腰を据えられないのは我ながらどうかと思うのですがねえ・・・。
流石に小説は殆んど読めていません。読了3冊と未読4冊についてはお待ち頂きたく。


【ルチル vol.7】 全般にA級の香りがしないが個人的には好みか。連載陣がねえ・・・。
■星野リリィ『スーパーダブル』:△ 女体化していないので。上手いとは思うがなあ・・・。
■花田祐実『sugar and dry』:▽ 全体の中途半端さというか器の小ささがどうもねえ。
■田中鈴木『転校生・神野紫』:スルー 世界に入れず。あと最近この濃い絵に抵抗感が。
■テクノサマタ『草の冠 星の冠』:△ これも話が分からないが、悪くなさそうな雰囲気が。
■高永ひなこ『リバティ☆リバティ!』:△ 分かりやすく可愛く大ゴマで、というだけかと。
■街子マドカ『ハッピーエンドの約束』:× 断言できないが設定に無理があるのでは?
■安東ルマ『僕のお気にいり』:◎ 王道的学園もので惹かれあう過程があれば大満足。
■木々『ラヴ ミー テンダー』:スルー これも途中参加を拒んでるよなあ。
■富士山ひょうた『ディア・グリーン 瞳の追うのは』:△ 描写は悪くないが緩急がなあ。
■吹山りこ『コイ、フワリ』:▽ 世界が狭いというか似たような話が多いなあというか。
■ヤマハ有『帰ってきた初恋』:△ 主人公に惚れる理由が弱いことが気になって。
■こなみ詔子『青天ゴールドフィッシュ』:〇 好みだがノリとか線とか体の細さとか過剰。
■シマダマサコ『69』:△ あまり展開が見られないし過去の設定に頼り過ぎかも。
■一之瀬綾子『ゴーゴー僕たち』:△ この絵は味? 手抜き? 雰囲気は好きなんだが。
■つづき春『今日こそプレイボール』:△ 長編でライトな話って向いてないと思うのだが。
■万福雪太『友情ロマンス』:△ 絵がキャラの魅力を削いで雰囲気を壊しているよなあ。
■藤崎一也『I NEED THE SUN.』:〇 この動きの無さはなに? レーター向きなのか?
■南野ましろ『真綿の王国』:スルー 『うさしくん』以外には付いていけなくなってる気が。


【JUNK! BOY ふゆやすみ号】 買った目当ての作家は良かったが全体としては・・・。
■こうじま奈月『奥宮さんとシグレくん』:▽ 社会人でここまで弱気にされてもねえ。
■沢内サチヨ『天神地祇』:▽ 絵が好みではないしネタを活かしきれていないかと。
■門地かおり『メロメロのしくみ』:スルー 萌えうるのは分かるんだが付いていけず。
■かゆまみむ『ヒミツのせんせ。』:スルー 見えた範囲では多少は改善されたかも。
■しょうおとあや『秘密で、花園。』:〇 しかし『VS』の絵をもっとまともに描いてくれ・・・。
■中井ニコ『罪と切腹』:スルー 絵とノリが趣味ではなくて。
■天城れの『俺の下であがけ』:スルー 流行りなのかも知らんがBLゲーの漫画化は。
■松木加斎『桜色のリグレット』:〇 説明過多か。ハッピーエンドでも良かったのでは?
■三島一彦『世界はテメェでまわってる』:▽ 奇人に振り回されるってのもベタだよなあ。
■すがはら竜『5/5企画』:スルー のっけから付いていけなかった。脳内では?
■月本てらこ『ぼくらは胸にきみの名を』:〇 ベタなりに良い雰囲気。もう一捻り欲しいか。
■橘アキヲ『純愛バラ色デイズ。』:スルー 表紙と1ページ目でもういいかと。
■びっけ『真空融接』:◎ キャラや関係の深まり方が良い。ただ多角展開はねえ・・・。
■鈴原ひろの『そこはお伽の国』:△ こういうあざとさもギャグならまあ良いでしょう。
■みなみ遥『メイドくんのご奉仕な日々』:スルー コスプレ特集でみなみ遥じゃあ・・・。
■不破慎理『テーラーFUWAへようこそ!!』:スルー このネタで引っ張るの止めようよ。
■島崎刻也『変態的指導』:▽ 捻りがなさ過ぎる。
■夏目かつら『有明恋物語。』:▽ エロへの流れが強引だよなあ。
■和田繭子『雪華』:スルー 男花魁という時点でねえ。
■帆場瑛明『SWEETS』:スルー 黒い画面を目が拒みました。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-09 21:47 | 漫画感想 | Comments(0)
2005年 01月 06日

勝者なきチキンレース

新年早々自らに欠片も成長の兆しの無いことを再確認しつつ逃避を重ねております。

取りあえず今年に入って上げた文章については恥ずかしながら若干修正を施しました。
他人様の文章をあげつらう割には余りにお粗末に過ぎるものとなっていましたので・・・。
手を加えたからといってイタさやあんまり感が希釈されているとも思えないのですが。


友人に仕入れてきてもらった鷺沼やすな嬢の同人誌に読みふけり悦に入っております。
新年早々彼女の輝石のような文章を6冊も読めるとは過分の幸福以外の何物でもなく。
同人誌ゆえ詳述は避けますが、特に昨年末刊行の最新刊『ラブラブショウ』所収の短編
『真夜中、太陽は庭からやってくる』は高校生ものの告白譚で、小品ながら秀逸の一言。
褒め言葉ではないかもしれないが、彼女の文章は学生を描く際に際立つように思うのだ。
独特の硬質さとしなやかさ、微妙なゆがみや未熟さが、青少年の有り様に良く映えて。
本作もエピソードと会話のみで、誘い受の少年の溌溂さややんちゃさと一縷の恥じらい、
主人公2人のあえかで甘やかでどこか切実さを帯びた関係が見事に描き出されており、
彼らの感じたであろうときめきを存分に共有できたと。読者冥利に尽きる至福のひととき。
こういう作品にまみえることができるからこそ、801読みはやめられませんなあ・・・。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-06 01:53 | 小説感想 | Comments(0)
2005年 01月 05日

年の初めの大批判

甫刈はるひ『鎌倉茶寮恋物語』は筆力負独で雰囲気が出せず、破綻すら来している。
くどくどしい設定の説明を避けようとしたのかもしれないが、冒頭からあまりに唐突で
主人公が祖父の死に慟哭する理由も謎だし、そもそもなぜ家出をしているか全く不明。
その後も料理やらの細かい説明や各シーンでのキャラの立ち回り等は描けているが
肝心のストーリー展開についての配慮がお粗末で、読んでいて筋が全く見えない。

確かにだらだらと不自然に説明的な文章やセリフが続くのには萎える。だがしかし、
骨となる背景や必要なキャラの設定についての情報が示されないと困ってしまう訳で。
他にも主人公が家族や職業につき抱く複雑な思いや、受との理解を深めていく流れも
断片的かつピント外れに描かれ、気が付くと変わっている心情には戸惑うしかなかった。
特にカップル成立についてろくな描写が無いのはどうかと。いきなりキスされてもねえ。
そして次にはベッドインが済んでピロートークになってるんだからもう付いていけない。

作家としては、ベタな設定紹介やテンプレ的な感情描写を避けたいのかもしれないが、
筆力がそういった上級テクをこなせる段階に達していないので話が破綻しかけている。
基本的な国語力はあるし、個々の文章をきちんと書けるだけ割と頭も良いのだろうが、
いかんせん全体が見えていないため、非常にぎこちなく無味乾燥な印象を受ける。
こんな萌えもそっけもない文章で断片的にエピソードや心情を散らされるだけでは、
話を理解することすら困難だし、キャラについても歪なディテールが誇張されるのみで。

そのうえ肝心の恋愛感情の描写について碌に力が割かれていないというのでは、
まともに読めるべくもない訳でげんなり。現実味というものが凡そ感じられなかった。
練りこもうという意識はあるのかエロシーンだけは妙に濃厚な雰囲気を出してはいるが
やはり感情描写が足りず萌えなどを覚えるべくも無いし、義務的で偏執的ですらある。
ストーリー自体も山場を迎える前に突然2年近く飛ぶ上に、その間に深まった関係を
描くことなく最後の団円を迎えるため、全く理解の仕様も無くただ流し読むだけだった。

勝手な経験則だが、地名などをタイトルに取り入れた作品は避けるべきかもしれない。
対象地域の描写に自己満足や中途半端さ、妙な気取りや内輪意識等が良く見られるし
描写が無駄に風物に費やされて肝心の恋愛譚がお粗末なレベルに留まるものも多い。
自分の好きなもの読者に知らせたいという情動は作家の根本的なエネルギーだろうが
それと描くべきものとをしっかり混淆させた上で作品を仕上げられるような筆力ある人は
大抵801なぞ書いていない訳で、結果として同人臭のする駄作が上梓されることとなる。
こうした現象は残念ながら801においては地名に限らず非常に良く見られるのだが、
どうして皆主食と副菜を取り違えてしまうのか。確かに先人の轍の多い恋愛描写よりは
書くこと自体が楽なことは否定しないが、それこそ801小説としては本末転倒だろうに。

本作はどうしても普通に読み進めることが出来なかったので、緊急避難的な措置として
上述のようなことばかり考えていたが、結果的に本欄を埋めるネタに事欠かないことに
なってしまったわけで、喜ばしいやら哀しいやら複雑な感じ。災い転じて福となしたか。
やはり感想を書くのだという意識があると自ずから読み方も変わって来てしまうようで、
一定レベル以下の作品には、なぜダメなのか理由を考えながら読むようになった結果、
1冊あたりの所要時間が伸びていて。流し読みをすること事態に変わりはないのだが。
以前は読み飛ばしていたものを素直に楽しめなくなっている訳である面本末転倒だが
読みながら感じた喜びや憤りを共有可能状態に置くことで得られる個人的な満足感や、
描くことにより気づかされる視点や自らの感覚もあるので、今暫くは続ける所存ですが。
ただ何より時間がなあ。こんな感想でも1冊30分くらいとられるのでやりくりがなあ・・・。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-05 01:46 | 小説感想 | Comments(0)
2005年 01月 04日

年の初めの大放出

小川いら『雨がやんだら』は薀蓄語りの下手さや設定・展開のベタさに萎えてしまった。
文章から一定のこなれた感じは受けるが、やはり筆力が無いので読んでいて目が滑る。
テンプレ的に進む感じで、家族の設定等も妙にステロだし仕事の描写も説得力がない。
何より会話描写の下手さに脱力。なんなのこの説明チックであり得ないセリフの羅列は。
読解力のない読者には分かりやすいかも知れないが、単に文章の質が低いだけでは?
その癖変に受の心情をだらだら書いたり、中途半端にロマンチックさを描こうとしたような
チープなシーンやモノローグがあったりするので、ちぐはぐという印象しか持ち得なくて。

不倫関係の清算時の心境や同性愛者であることについての躊躇い等も描いてはいるが
地の文章にもキャラの造型にも全く深みが無いため、笑ってしまうくらい説得力が無い。
一歩間違えたらギャグとしてしか読み得ない感じで、全てにおいて未熟さが目に付いた。
攻の強引さも馴れ馴れしさが気持ち悪いだけだし、トラウマの安直さにも眩暈がする。
例によってゲイの友人が現れて攻の秘められた過去を話し2人の仲を応援する辺りなど
中学校の学芸会で水戸黄門を見せられるようなやるせなさに、悲哀すら覚えてしまった。

ダリア文庫は多分中高生がターゲットなんだろうなあ。分かりやすい設定と展開に加え、
行間を全く読まなくていい(読みようが無い)文章で受のぐるぐるした心情を「切々と」描き
エロも濃い目にかつ過剰に意味を持たせて描き、心身ともに満たされてハッピーエンドと。
しかし801にここまで分かりやすい話を求めるようになるとは、時代の変化は著しいなあ。
こんな話を好んでおいて「これが真実の恋愛だ」などと寝言をほざかれては困りますが。


名倉和希『優しい報酬』は上の作品より安直かつ脳内感満載で、始球式に限りなく近い。
いきなり主人公が怪しげな店に連れ込まれ薬を盛られる時点で読みやめるべきだったが
サイトを考え「取りあえず読まねば」と妙な義務感を持ってしまった自分を恨むしかない。
当然通りすがりのエリート然とした美形に助けられ、その高級マンションに連れて行かれ
薬による昂ぶりを優しく処理してもらうと。ここで最後までしないのは近年の流行りですな。
いくら一人Hをしたことが無いという設定とはいえ、情動が兆す前との設定ならいざ知らず
そこまで散々性的に弄ばれて来た16歳なら普通にやり方くらい思いつくはずだろうに。
知らないなんて設定はありえないだろう。普通に人の手が恋しかったとでもすれば良い。
これも「分かりやすさ」の追求なのか。私としてはあり得なさ感に読書を中断したのだが。

こんなどうでもいいことに突っ込む自分が情けないが、この後も一事が万事この調子で。
あり得ない安直展開やキャラのステロな言動、母の病死等浅さに眩暈のする家族設定、
変な所で説明過多なセリフを吐くにもかかわらず肝心なことを何も言わない登場人物等
地の文のてにをはに破綻が無い以外は新人賞で酷評されるレベルの話に目が滑ること。
受がピンチになるシーンもあるが、もうお約束どおりの危機一髪ぶりには敬礼するしか。

一番脱力したのは、これだけテンプレとステロに塗り固めた展開に終始しておきながら、
最後に下記のような笑止千万としか言いようの無いモノローグで話を締めている点でね。
受は攻に会えて良かったと「全ての偶然に感謝し」「明日の光を信じ」「凛と前を向」くと。
お前それだけ無茶苦茶な展開しときながらそれを主人公に「偶然」と意識させるのかと。

所詮お話には偶然が付き物だし、全てこれを排斥すべきだと思っているわけではない。
偶然を用いることでリアリティの欠如や展開の弱さが生じても、それを補うだけの効果が
あれば良いだけの話だが、私がケチをつけるのは効果の薄い偶然の濫用が多いことで。
それに偶然が続いたとしても、話の展開上ある程度仕方が無いことは分かっているし
偶然に振り回される登場人物に免じて、やむなくではあるがかなり許容しているつもりだ。

しかし当の主人公が斯様に暢気に偶然を自覚し感謝するなどというのは本末転倒では?
偶然を完全にネタにしきったようなギャグならばこうした述懐も理解できる。しかしながら
偶然にこれだけ頼っておきながら最後の最後でこんな風に他人事のように総括されては
ルール違反として憤りを感じざるを得なかった。もっと自分のしたことを弁えてくれよ・・・。
この辺りは個人的な感覚による非難で恐縮だが、とにかく受け入れがたい作品だった。


魔鬼砂夜花『幸せという名の欲望』は悪くは無いが妙に微妙で引かざると得ないというか。
冒頭からぎこちなく妙に思わせぶりな文章で、描写の内容にもどこか違和感を覚えるし
突然男との同居話が持ち上がったり、訳ありの女性が訪ねてきたりと唐突な展開が続く。
ミステリっぽくしたかったのかもしれないが、はっきりいってぎこちなさが拭えていないし。
伏せられていた設定は徐々に明らかにされるものの、現況がつかみにくく移入し辛いし、
特に攻のキャラが最後に到るまで種明かしされないため、かなり奇矯に見えてしまう。
それぞれの抱えるエピソードも救いがないし、起きる事件や解決の手法も素っ頓狂だし、
何より根本的な解決をせずにかなり強引に話にけりをつけている辺りに納得がいかない。

一体作者は何が描きたかったのか。ストーキング等によって心に傷を負ったもの同士が
労りあう話を書きたいなら、変に加害者への同情など容れずにそれらしく組み上げては?
こうした問題は中途半端に扱うと却ってぼろが出たり居たたまれなくなったりするのに。
壊れたもの同士の恋愛を読ませたいとしても、現状では空恐ろしい感じが出てしまって、
もう少し常識への渇望めいたものも入れておかないと読み手の移入を誘えないと思う。
なかなか無い作風ではあるし展開も読めないため、初読ではそれなりに読まされるが
読後に得るものも少ないし、ただの色物としての域を出ていない感じがしてしまった。

実は後書きページから漂うそこはかとない異常性にかなり引いてしまったのだが・・・。
黒枠の中に横太文字とはどうかと思うし、白抜きも垢抜けないを通り越して薄ら寒い。
その上内容までちぐはぐときたらどうしましょうか。いやあ最後まで居心地が悪かった。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-04 01:46 | 小説感想 | Comments(0)
2005年 01月 03日

年の初めの褒めまくり

ここからは本当に新年になってからの記載となります。正月気分などありませんが。
明日の新年会を終えたら地獄の課題漬けですからねえ。天井の梁を見上げますよ。
あと来訪者の多い年末年始を完全放置したツケを早く取り戻さないといけませんね・・・。


渡海奈穂『負けず嫌いな僕ら』は作者らしく互いに惹かれあう過程を巧みに描く好作品。
ちょっとしたエピソードやさりげないセリフ等を通じて各キャラが大変良く描かれているし
互いに相手を理解し好意を深める過程にも説得力がある。描写を尽くす訳ではないが
要所要所での心の動きや理解できない情動を捉えていて、行間で読み手が行使する
想像と相俟って卓抜なリアリティを醸し出している。こうした想像を喚起し易いというか。
受である主人公の性格のあっけらかんとした部分や攻の直情で生意気な部分など、
筆力がなければただのステロに堕してしまう部分も活写できている点も特筆に価する。
両者の掛け合いも微笑ましいし、自然に惹かれあう様子が目に浮かぶように描かれて。

こうした描写の積み重ねにあってようやく2人が互いの好意を確認するシーンに至るが
きっかけとなるエピソードにも無理がなく、自然に告白シーンへと移行する流れは見事。
純粋な好意が喫水線を超えて迸る様子には読んでいて胸がときめいてしまうほどだ。
一気に畳み掛けるのではなく、一旦水を入れてから改めて告白させる辺りも上手い。
キスと会話だけで凡百なエロの100倍は萌えられる。ベタな描写も全く浮いてないし。
そしてその後きちんとB・Cと段階を踏むのも良いし、それが読者をじらすためではなく
しっかりとそれぞれの心情に根ざした、また心情の変化を促すものとなっている辺りも
非常に好感が持てるし、何より現実味があって読んでいてぐんぐん引き込まれていく。
なかなかいないですよこういう作品が書ける作家は。読んでいて頬が緩みっ放しでした。

その後の美術部の描写等は会話に頼り気味でテンプレっぽいのが惜しまれる点だが、
2人が遠恋をして、受が煮詰まって攻の元を訪なう辺りの心情描写はたまりませんね。
双方の青さも若さも愛おしいし、感情の純粋さには読んでいて幸福感すら覚えてしまう。
一旦互いに距離を置いてスタンスを確かめた上で、再度真摯に向き合うという展開も
キャラの成長が見て取れて好感が持てるし、ラストへの盛り上げとしても成功している。
ただ多少気を持たせすぎだし、受の絵の評価などにご都合感が出たのは残念だが。
確かに両立を諦めさせる展開上、中止前に成果が得られなければならないだろうけど
陸上のほうでは絶妙な設定をしていたのだからこちらでも同様にすればよかったのに。

それでも、あり得ないスーパーマンが跳梁跋扈して萎える801作品が氾濫する中で、
主人公に絵と陸上の両立が無理だと悟らせた辺りはかなり思い切った好決断だと思う。
このことが作品にもキャラにも現実味を与えている辺りは作者のバランス感覚に敬服。
描写を尽すべき所を抑え、他はうまく行間を読ませて作品世界を構築している気がする。
最後のHシーンもきちんと幸福感に溢れているし、控えめな描写がまた萌えて好ましい。
読後には満足感と爽やかさが残り、久しぶりに心から楽しんで801を読むことができた。

2004年の私的ベスト作家を考えるとやはり筆頭は文句なしに渡海奈穂を挙げるかと。
実は彼女の商業処女作と思われる『おうちバイバイ』をその余りの脳内ぶりと下手さに
放擲した過去があるのだが、そこから考えれば本当に嘘のように成長した作家だと思う。
とかく濫作に走りテンプレに溺れ目先の流行に流され堕して行く801作家の多い中で、
しっかりと成長する作家は本当に貴重であると思う。特に近作にはハズレが少ないし。
今後のさらなる成長を祈るばかり。妙な編集に当たらぬよう祈るべきかも知れないが。
昨年の私的ベストも彼女の『放課後は秘密のふたり』だし、「様」でもつけようか(笑)。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-03 01:46 | 小説感想 | Comments(0)
2005年 01月 02日

あけましておめでとうございます・続き

松岡裕太『先生だって我慢できない』は良くも悪くもオヴィスらしいお馬鹿Hの一点突破。
ストーリーは要約すると1ページで終わる程度で、あとはシチュを膨らませ延々とエロ。
いくら字が大きく行間も詰まっていないとは言え、1話から50p以上エロを描かれては
流石に白旗を揚げざるを得なかった。良くやるなとは思うが、まあ好きなんだろうねえ。

キャラは超ステロに動くし(何の疑いも無く男を好きになる話を久しぶりに読みました)、
展開もご都合なのだが、このような所をあげつらってもまったく仕方が無い作品な訳で。
これだけストーリーを最小限に纏めひたすらエロに徹したのは敵ながら(?)天晴れとも。
ただやはり2話目3話目となると強引さも気になるし胸焼け&あり得ない感も相当なので
一話ずつ日を改めて読むと比較的毒気には当てられずにすむかも。とにかく参りました。
なんだかまともに感想をまとめることも出来ない感じで。アホエロ好きにはよろしいかと。


高遠琉加『天国が落ちてくる 3』は多少ステロさは否めないが無難に話を纏めた感じか。
攻の辛い過去が暴かれて芸能界から干される辺りも下手に感情移入せず処理した結果
割とうまく描けていたし、その後の再会譚も互いの心理を良く捉えながら展開できている。
多少のご都合さは終焉に向けての予定調和として、それなりに爽やかな読後感だった。
それでも一旦受が身を引こうとした所に件の女性シンガーが発破をかけにやって来て、
それであっさりと受が自分の「本当の気持ち」に気付くという辺りはひと工夫欲しかったし
攻が日本に戻ってくる際の業界描写があまりに攻に都合よい辺りには萎えてしまったが。
受のトラウマの克服についても、解決を急いだなあというマイナス評価は否定できない。
偶然レコーディングがうまくいく辺りやライブ出演を強引に取り付ける辺りは安直だし、
事故で攻が死んだかもしれないと受に思わせる展開のあざとさに不快感すら覚えた。

それでも解決までに十分な時間と葛藤をかけた点は全体の説得力に寄与しているし、
何より最後の最後でサブキャラのエピソードを効果的に交えて話を纏めている点は
うまいなあとうならされた訳で、この1点のみでも本作に好評価を与えて良いとは思う。
しかしその後の甘甘後日譚が本当余計だなあ。せめて前に入れてくれれば良いのに。
最近良くあるパターンだし、主人公2人が出来上がって幸せに暮らしているという描写が
読者の要求があるのは分からなくないが、全てを描くことがベストとは限らないのでは?
優れた話ほど余韻の中で話を終え各自の想像に任せた方が雰囲気を損ねないろうに。


うえだ真由『じれったい衝動』はうまい作品だが所々のベタさとサービス過多が気になる。
営業業務のリアルさは特筆しても良いだろうが、書込みが過剰すぎて却って萎えを誘う。
量ではなくさりげなく知識をストーリーに織り込めば一級のリーマン物になり得たろうに。
あと例によって受の二重人格ぶりや有能ぶりなどの描写がステロタイプでくどくどしい。
クールビューティーにしたいのは分かるし成功もしているのだろうが妙に移入しにくくて。
くっつくまでの攻の心情描写の過剰さも気になる。描き急いだためか展開が妙に速く
結構簡潔な文章で描かれているため、エピソードが多すぎて目まぐるしい感じを受ける。
心情描写でも割と結論を急いでいるので、各出来事ごとに攻の感情を示されてしまうと
ずいぶん説明臭くまた即物的で薄っぺらい人間だなあという感想に到ってしまうわけで。

それでも文章力の無い作家ではないし、互いのちょっとした駆け引きめいた会話とか
好意を確認してからHに及ぶまでの流れなどはうまく、それなりに読ませられたのだが。
ただやはりその後のエピソード等も十分練りこみをせずに書き飛ばしている感じがして
後半の山となるすれ違いも妙にステロだし、最後の纏め方もありきたりに留まっている。
全般的な描き飛ばし感と妙な描写の細かさがかみ合わず無機的な印象を与えていて、
読ませる部分もある割には全体に味気なく、読後に倦怠感めいたものが残ってしまった。
エピソードを削り、個々の心情等をゆっくり書き込めば結構読めただろうに・・・。


一旦ここらで休みましょう。まだ6冊もある・・・。レポートもあるのに・・・。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2005-01-02 00:08 | 小説感想 | Comments(0)