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2004年 11月 28日

夢も酔いも醒め・・・

マイケル・ムーアのDVDを観てたりしたら案の定ペースが崩れました。
本当に逃げたいときは文章をものするだけの落ち着きすら得られないようで。


真先ゆみ『ロマンスのレシピ』はテンプレに従いバランス良く纏めた中高生向け作品か。
いきなり一目ぼれした男の元でバイトを始め、距離が近づくもふとしたことで諍いになり
力づくで奪われるも最後は誤解も解け両思いになってよかったねと。続編もお約束系。
一人称でそこそこ悩みながら前向きに動くと最後には事態が好転して行く訳だから、
読み手としてはそうはストレスを溜めずに読み切ってしまえる訳で。それだけですが。
浅いといってしまえば終わりなのだが、そういう物として見れば悪くは無いものだろう。
ただし後半に載っている話はちと酷かったか。ちょっと諸々の設定が適当すぎる。
余りにも書きたいネタにあわせて形だけの職業や家族設定を持ち込みすぎていて
破綻も何もそもそも屋台骨が出来ていない感じ。細部を作りこめと言う気はないが
これでは余りにも脳内度が過ぎる。妄想に当てられ読み続ける事が出来なかったし。

まあ昔の作品らしいから多少は進歩したのが表題作だろうと好意的に解釈してみる。
恐ろしいことに裏見返しを見たらどうやら私は他にもこの人の本を読んでいるらしいし
後書きを読むと前作と同じ世界で話が進んでいるそうなのだが、全く記憶に無い(笑)。
(しかしこういうシリーズ化って以前から良くあるけどいい加減何とかならないのか?)
思うに、始球式よりはマシだが話が浅かったりテンプレだったりする小説については、
読み飛ばしてしまうため読後に全く印象が残らないようで、そのため作家名も覚えず
次作もとりあえず購入してしまっているようだ。こんな不経済は改めないとなあ・・・。


金丸マキ『恋はある朝ショーウィンドウに』は受の心情描写をストーリーが台無しに。
いきなり冒頭から過剰に羅列される服飾用語にドン引きなのに、行きずりでHされて、
那由他の彼方に本をすっ飛ばしそうに。ただその後ある主人公のモノローグ等は
幼いとは思うがそれなりに描けてはいるので、最後まで話を追いかけられたというか。
まあ半分以上はこういう自意識過剰系な語りへの親和性が高いからなのだろうけど。
それにしても妙にグルグルしたり思い入れる受は朝チュントリオ辺りの専売特許で、
昔からよく読む傾向の作品なのだが、本作は受の気の強さや薀蓄語りが目に付いて
若干不快感も覚えてしまった。説明過剰というか自己正当化が強すぎるように思えて。
無駄に華やかにしようとしたり薀蓄を詰め込もうとしたりした結果の粗なのだろうか。

あと攻をあまり魅力的に描けていないとも。前半など無神経な成金とも読めてしまう。
後半分かる攻が受に惚れた理由が「偶然」受のけなげさを知ったためというのも脱力。
ストーキングしてゆきずりでHしてから100万単位で金使うんですかそうですか。
若手実力派の小説家ですか。文学賞の受賞歴もあるんですか。若者に人気ですか。
まあ村山由佳が賞を取るご時勢ですから、不毛で的外れな突っ込みはやめましょう。
とかくもろもろの過剰さにクラクラさせられ、突っ走るキャラにもついていきにくかった。
さらに後書きを読んで絶句。『BL版なんクリ』ですか? 一体あれをどう読んだの?

最近とんと食指が動く801がなくて適当に比較的マシそうなのを買っているのだが、
やはり食指が動かないものはそれなりなのだということを再確認するに留まる始末。
このままメインストリームとの乖離が続くようだと先も長くないなあ・・・。


朝丘戻。『恋心詩歌』は寓話的で読めるのは従来通りだが、少し倦んできた感じが。
主人公と薬師の出来上がったキャラに頼った内輪受け的一幕が多いし(笑えますが)、
肝心な所で心情描写や展開をはぐらかして徒にオチに繋げる傾向も強まっている。
この作家の方向性を見せつつも分かりやすく話を纏めたいからなのかもしれないが、
読んでいてアンバランスというか肩透かしという感じになり、それまでの言葉を選んだ
描写により出来上がりかけていた作品世界が壊れるばかりか嘘々しくも見えてしまう。
濃やかに、悲観的に、内省的に物を捉え描写するのがこの作家のスタンスなわけで、
それを崩さないのであればそれにそぐうストーリーを描くほうが良いのではないか。
逆に明るくライトな話を書くのであれば地の文体から旗色を鮮明にすべきではないか。

話や登場人物と真摯に向き合い作品世界を構築するという姿勢が、初期作品からは
強く感じられたのだが、今は何だかどことなくこれらを突き放しているようにも思える。
勝手な邪推で恐縮だが、自らの話は全てハッピーエンドだと語る作者のどこかに、
いわゆる「ハッピーエンド」への過度の警戒、嫌悪、嘲弄のようなものがないだろうか。
ハッピーエンドな話を書くことに恥じらいなり躊躇いなり悪意を持っていないだろうか。
確かにハッピーエンド作品には安直さに堕した凡百のものが多いことは否定しない。
がこれはあくまでも作品なり作者なりの安直さの罪であり、形式によるものではない。
この作家の旺盛な自意識とプライドが誤った指針をもたらしてはいないだろうか。
以前から何度も言っているとおり、この作家であれば、ハッピーエンドでありながら
ご都合主義にも安直さにも堕さない作品、説得力ある描写が読者の感動を誘う作品を
書けるはずだと思い勝手に期待をしているのだが、微妙かもしれないなあ・・・。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-28 08:48 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 11月 22日

ため息に埋もれて

まだ忙しく、火曜日の徹夜は避けられなさそうですが、一山超えると手が止まりまして。
いい年こいて嫌な事を続けてこなせないのは情けない限りですが、まあ適当に行くしか。


【MAGAGINE BE×BOY 12月号】 テンプレ元を見るに読者は多いみたいだけど・・・。
■星野リリィ『夜に生まれた』:▽ 話としては読めたが絵も話も男である必然性が・・・。
■蓮川愛『恋愛操作』:▽ 目元がぼけているのがどうも。自意識過剰さにお腹いっぱい。
■こうじま奈月 『僕らの王国』:▽ みんなこの絵なら話はどうでもいいんだよね?
■不破慎理 『YEBISUセレブリティーズ』:スルー1 内輪受けすぎ。読者を嘗めてる?
■九州男児『課長の恋』:スルー2 最後のページで今後も読まなくていいことを再確認。
■大和名瀬『ペット・お仕事中』:スルー3 ベタネタが続いていそうで。
■水上シン『前世と現世と君と俺』:スルー4 タイムトラベルラブねえ・・・。
■神葉理世『愛人★淫魔』:▽ ギャグにしては捻りがねえ。
■龍川和ト『星陵最恐物語』:スルー5 上が無かったら連続スルーの新記録だったなあ。
■寿たらこ『SEX PISTOLS』:スルー6 でもページ数にしたら160ページスルー・・・。
■梅太郎『十六枚の告白』:△ 企画として微妙ではないかとの気はしてきたが。
■ねこ田米蔵『神様の腕の中』:△ 描いてて楽しいだろうけど、もう少し現実味を・・・。
■あじみね朔生『わがままロメオ』:▽ どんな話だったかまだ思い出せません。
■山田ユギ『山田ユギショート二本立て!!!』:△ 捻りが足りなすぎ。つうか何の企画?
■阿部あかね『愛の呼ぶほうへ』:△ 絵がなあ。ネタもベタだし。雰囲気はまああるか。
■藤崎こう『任侠-ラヴァ-』:▽ つい読んでしまった。絵は×だが、ラストに免じて。


【Dear+ 12月号】 後半に名作を集めるのは何故? あと次からセバスチャンが復活!
■南野ましろ『チビッコギャング オールスタアズ』:▽ ・・・どこへ行く? どこまで行く?
■南野ましろ『うさしくん』:△ 和むけど少しネタ切れかしらん。
■蔵王大志『僕たちは明日に向かって生きるのだ』:× キャラが脳内過ぎて理解不能。
■宮本佳野『Heat』:▽ 消化不良なまま終わられた感じが。絵もねえ。
■一之瀬綾子『スタンバイ。』:▽ 割と好みだが絵の乱れと展開の分かり辛さには閉口。
■佐久間智代『傾国ミューズ』:▽ エピソードがごちゃごちゃしすぎ。焦点を絞っては?
■高永ひなこ『冬が来る前に』:〇 捻りのなさや恋愛描写の乏しさが気にはなるが。
■麻生海)『君のプライド 僕の憂鬱』:△ 動きが無くてちと漫画にはきつい絵かも。
■門地かおり『生徒会長に忠告』:スルー 多方面展開に対応できず。
■ネオ・スナオ『Every day』:〇 こういう小ネタは好みなので。新奇さもあるし。
■カマタアツキ『Love Border』:▽ これも801として見るにはきつい絵かと。
■高群保『JAZZ』:× 些事にすぐ動揺する展開に飽きました。
■西田東『影あるところに』:× 話を明るくするよう指示でも? 3話位まで良かったのに。
■松本花『がっこうのせんせい』:△ 和むが河童は流石に。キャラが口閉じない辺りも。
■えみこ山『懐疑は踊る』:× どういう展開にしたいのだろうか。
■窪スミコ『いちばん☆キラリ』:◎ 祝続編! ノリも好い。ただ受はいつ好きになったの?
■北村瑞葉『愛の奴隷です。』:◎ 絵も展開も独自色があるし、描写もなかなか。


やまがたさとみ『スリークオーター』:◎ キャラと雰囲気が秀逸。ちとフェミニンすぎだが。
生嶋美弥『愛される人』:◎ 本編の展開はありえなさげだが、続編(特に2編目)に敬服。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-22 00:19 | 漫画感想 | Comments(0)
2004年 11月 18日

だだ漏れモード

なんだか更新に規則性が出てきていますね。今後も続くかは疑わしいですが。
実生活のほうも一山越えてまた一山という感じでして、今日はちょうど谷間なので。


夢乃咲実『業務命令は「駆け落ち」』は普段買わないタイプだが已む無く購入したもの。
そう期待していなかったためかさらりと読み終え、後には何も残らないといった感じ。
何せ「財閥の御曹司と業務命令で男同士の駆け落ち」ですからねえ、推して知るべし。
この設定をスルーする寛容さを持って読む限りにおいて読み飛ばすことが出来たかと。
キャラの行動には奇怪なものが少なくないと思うのだが(部屋でのキスなど)、
作品世界に鑑みるとまあ許容範囲かなあとも思えてしまいスルーできてしまった。
オーラスのハッピーエンドぶりに不信感を感じず本を閉じたときには我ながら驚いたし。
それでもオチの温泉H(最近はやっているのか?)にはかなり脱力させられたが。
まあ疲れたときなどに何も考えずに軽く楽しむには悪くないと言えるのではないかと。
(・・・偶然だが今この本がゴミ箱に落ちてしまいその暗合に思わず微苦笑。)

よく私は細かい設定や描写にけちをつけるが、逆にトンデモ設定や浅い描写であっても
スルーしている場合があるのも周知の通りで、この差がなぜ生じるのか考えてみた所
作者が目指すリアリティ、または文体や雰囲気、内容から要求されるべきリアリティと
実際の描写により現れるリアリティとを比較してみて齟齬がある場合にはじめて、
リアリティが無いとかあり得ないとか言っているのではないかとの仮定を得た。
もちろんこの齟齬は私が勝手に感じているものに過ぎないのだが。


椎崎夕『弟の親友』は、801小説における悪しきテンプレ集とでも言おうか、
時々現れるあまりに臆面の無いベタネタの提示にこちらが恥じ入ってしまうような作品。
要は、受攻の感情がすれ違う中で体の関係だけがある、というベタな設定において、
すれ違いの元となった受の聞き違いが余りにも単純で露骨過ぎとしか言いようが無く、
そんな勘違いをする奴がいるか、と思わず読書を中止して天を仰ぐことしばし。
さらに女性絡みで受が受けた勘違いを妙な思い込みから解けず(この時点で相当ベタ)、
攻が暴力的なHに至るあたりに差し掛かった時は思わず読書を中止してしまった。

よく身代わりに抱かれるというネタを見かけるが、冷静に考えてみてゲイでもない男が
身代わりとはいえ好きでもない男を抱けるということに違和感を覚えないのか。
仮に男がゲイであったにしても、ずいぶんと即物的な認識であるとしか思えない。
読者のニーズもありなんとしてもエロに持って行かなければいけないのは分かるし、
自分を好きではない片思いの相手に抱かれるというシチュが、受の感情を描きやすく
また読者からの同情なり移入なりを受けやすいというのも理解できなくは無いのだが、
やはりこう頻々と読ませられると飽きもするし不自然さが目立つというか。
正直このネタを801で、特に攻がノーマル設定なのに使うのには無理がありすぎる。
今までは暗黙の了解として余りこの点を突っ込まずに801作品を読んできたが、
本作くらい露骨にベタネタを振りかざされるとさすがにスルーすることが出来なかった。

さらには受の同僚の悪性の描き方の恣意性も気になる。ストーリーの展開において、
受と攻の再会の原因となったり、双方が思いを確認するきっかけになったりと、
重要な役割を果たしているのは確かだが、必要以上に嫌悪すべき人物として描かれ、
読んでいて無駄に不快感を覚えさせられてしまった。主人公らに害意を持つキャラを
あまり登場させたくないのは分かるが、だからといって一人だけに盛り込むのは無茶。
そもそもここまでの独善性や下世話さを描く必要性があったとは到底思われないし。
さらには彼を論破する主人公側の言動にも自意識過剰さや自己陶酔が見えて、
思わず篁釉以子を思い出してしまった。流石にあれほど浪花節は入っていないが。

こうなると私としては小ネタが気になりだすのは上でも述べた周知の悪癖で。
年代が明記されていないので言いがかりかもしれないが、9年前の交通事故なのに
大学生が運転中に携帯電話を使用していたのが原因というのは時期的に微妙では?
当時の携帯は若葉マークの大学生が持てるような代物ではなかった気がするし。
さらにはかかってきた携帯電話の番号表示が九桁というのを見た際は笑ってしまった。
どうしてこんな間違いを起こすのだろうか? いまどき作者は携帯も使ってないのか?
とかく本作はあまりにベタなネタや展開が多く、しかもそれを臆面も無く曝け出しており
801業界の悪しき現状をある点において克明に反映してしまっている気がしてならない。
単なるテンプレ小説を読むよりも数倍の負のエネルギーを受けてしまった感じがした。
描写力自体が無いわけではないのだから、流石にもっとマシな話を作れるのでは?

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-18 02:39 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 11月 15日

計画性の欠片もない・続き

【GUSH 12月号】 もし立ち読みが出来る環境&神経だったら買わないな、もう・・・。
■葛井美鳥『熱愛コンプレックス』:× 出来上がった後の第三者絡みの話には飽きた。
■かんべあきら『焔の鎖』:▽ 顔歪んできてない? 攻の不遜さが強すぎる気も。
■越智千文『breath』:▽ うまいとは思うが、ここから円満解決したらご都合では?
■志野夏穂『内緒にしてよ?』:〇 ライトな学園王道ものはツボなので。捻りがないが。
■金沢有倖『神の子』:スルー 心の準備無く1ページ目が目に入りフリーズ・・・。
■緋色れーいち『Amazing Grace』:× 展開が粗雑な上エロだけでむしろキモさすら。
■扇ゆずは『浴びる純情』:▽ 古くてキモめな絵は嫌いなのだが所々妙にエロいのが。
■羽原ちより『言葉よりもキス』:〇 くっつくまでのエピソードとか終わり方が良いかと。
■祐也『ろくでなしの恋』:▽ 色んなところが吹っ飛んでいてついていけないというか。
■深瀬紅音『ポケットセンチメンタル』:◎ ベタですが、受の心情の描き方が良いかなと。
■羽崎やすみ『学園ルンバ』:▽ 読みなれてる身には笑えなくも無いけどねえ・・・。
■鳩村衣杏『絶対に負けない恋愛』:保留 完結してから纏め読みするたちなので。


【ヒミツの少年痴戯 1】 一水社って方向性変えたよなあ。それなりに読めるようになった。
■星逢ひろ『あにおとうと』:〇 ただ家庭不和からHするって微妙に現実性が強い気も。
■ちくま屋『ちがうカンジ』:× あまりにノリが違いすぎる。
■諒英『くすぐりテンプテーション』:△ 導入をエロ故と割り切れば萌えもあるし。
■有頂天『ないしょのめざまし』:▽ エロいとは思うんだがセリフ回し等が好みでなくて。
■パルコ長嶋『まちのねずみ いなかのねずみ』:▽ 展開やオチが趣味とずれる感じ。
■一条かるね『ハッピーメディスン』:× ミキヨウ先生と同じ匂いが。
■夏木佐市『かくれんぼ』:〇 受をここまで淫乱にするのはどうかと思うが。
■しげみやきょうへい『イタズラなニャンコ』:▽ 絵がねえ。話も酷くはないがベタだし。
■葉月妖之助『君に夢中症』:△ 線が強いというか。あと話を膨らませて欲しい気が。
■宇佐美ミオ『今日でおしまい』:× 絵と思い込みの強いキャラが好みでない。
■目黒霖雨『血より濃い赤』:△ いきなりHや妙にシリアスぶるのは嫌だがエロに免じて。


【ショタみみLOVE 5】 それなりの質でまとめていますなあ。さすが松文館。
■カメイ与五郎太『言ノ葉』:〇 ベタだがキャラが生きている。エロ抜きで他で描いては?
■牛乳リンダ『ラブってバニー』:× ちゃんと描き上げようよ。ギャグも微妙だし。
■犬丸『ダークサイド・オブ・ザ・スター』:▽ 設定が分からないし白いし。
■nicoco『うさずきんちゃん』:△ ギャグとして読んでるなあ、自分・・・。
■乙里玲太朗『キャンディボイス』:〇 心情描写が悪くないかと。ただエロはいらんなあ。
■松村直紀『遠い日の歌』:△ ナヲコの劣化版か。もう少し明るいといいんだがなあ。
■かたぎりあつこ『ホットミルク2』:▽ まともにエロ描く気はないのかねえ・・・。
■星逢ひろ『夜明けを待つ子供』:スルー 設定が意味不明で。
■秋緒たかみ『ごちそうさま』:▽ 人気あるようだが、エロや萌えのツボが致命的に違う。
■水内繭子『苦いシロップ』:〇 何かが◎をつけさせない。話の展開か? 絵か?

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-15 11:34 | 漫画感想 | Comments(0)
2004年 11月 14日

計画性の欠片もない

レポートや日銭稼ぎに追われていても書き込む訳で。来週末はテンパること確実です。
後から来た仕事ほど断りにくく条件も良いし、先の仕事も放り出せず自縄自縛な感じ。
12月7日に1科目ある中間テストを考えると鬱ですが、自業自得でもあるし・・・。

先週は書店に赴いたものの食指の動く801小説が無く購入を見合わせる始末。
それでもストックは4冊、読了も1冊有りますが、この状況では・・・。


【GUSHmania 11】 この表紙でも購入できた自分をいっそ褒めるべきでは?
■金沢有倖『咲く華』:スルー ゴミ並の起用といい海王社は何を考えているんだ?
■松本テマリ『若様、御免!』:△ 十二頭身以上あるコマが・・・。ロリ絵だけにしとけば?
■あきばじろぉ『雪月花』:▽ この絵に加えて新撰組ネタで大減点だが、オチに免じて。
■星野リリィ『和ね恋罪』:×× 男である必然性が欠片も無いし、タイトルから脳内だし。
■真行寺罪子『キング・オブ・ルーキー』:▽ くの一? エロも唐突でギャグも意味不明。
■栗栖ひとみ『おぼれる月の下』:〇 絵がやんちゃ向きでないくどさを持つのが欠点か。
■安南友香子『忘れじの庭』:スルー 何でいる? 大ゴマも無駄だし画面もごちゃごちゃ。
■徳丸佳貴『紅葉ヶ淵』:▽ 絵に動きが無い上に話も浅いし。


【BE-BOY GOLD 12月号】 正直B5サイズである必然性が感じられないのだが・・・。
■新田祐克『ジャメ・ビュ』:▽ キャラの絵も行動も濃すぎてついていけない。
■やまねあやの『ネイキッド・トゥルース』:△ 絵は綺麗だし今回は電波度が低いかと。
■松木加斎『架空の庭』:〇 こういう思わせ振りは悪くない。読者に媚びていないから?
■日高ショーコ『リスタート』:△ モデルですかそうですか。絵や雰囲気は好みかも。
■こだか和麻『絆-KIZUNA-』:スルー もうホームドラマはいいから。
■本仁戻『DOG STYLE』:〇 やはり本仁ツボがあるようだ・・・。実はノリが榊花月的?
■みなみ遥『花色バージンソイル』:▽ 展開が浅すぎだしありきたり。ただのエロ漫画。
■宮本佳野『手をつないで、空を』:▽ 描写が足りないから絵のキモさが先に立って。
■荒井サチ『友達OVER』:▽ 大口。キャラのステロさや破天荒さばかりが目に付いて。
■CJ Michalski『心の鍵を見つけて』:× 話が脳内っぽい上オーバーリアクションだし。
■西村しゅうこ『舞い降りた恋人2』:× だから何でこんなに絵が荒い? 話も素っ頓狂。
■夜桜左京『LOVE、BRAIN、WASH。』:△ 後編読まないと何ともいえないけど。
■高橋依摘『愛犬家の心得』:△ へたれでお馬鹿な攻に免じて。時々妙にエロいし。
■みささぎ楓李『オヤジ回廊へようこそ』:スルー これはボランティアで仕事恵んでるの?
■かゆまみむ『アンド、煩悩。』:スルー 同上。キモさがエロさと受け止められてるのか?
■東野裕『小説エロティックに溺れろ!』:スルー ピンクにこの裸体絵って殺人兵器並。


穂波ゆきね『凛!』:▽ 善悪の全てが努力する主人公に優しい辺りに天邪鬼が疼いて。
やまがたさとみ『フェイクファー』:〇 H先行なのは微妙だがこの辺も含めてリアルかと。
いくしまみつぐ『恋の花』:◎ 相手のお馬鹿感が堪らない。小ゴマ妙な汚さが気になるが。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-14 11:34 | 漫画感想 | Comments(0)
2004年 11月 12日

放擲願望・続き

水無月さらら『クラッシュ・アイス』は・・・801とはいえやはりぶっ飛びすぎでは?
ラノベで慣れてはいるし、作者自身後書きに書いているから深くは突っ込まないが、
重傷で死に掛けの人間を「特殊な薬品」を使うとはいえ業務用冷凍庫で冷凍睡眠させ、
あげくにそれを解凍するのが「停電による自然解凍」とはいくらなんでもないでしょう。
刺身とは訳が違うんだから、どんな薬を使ってもそんな無造作には生き返らないって。
どうやっても細胞壁はめちゃめちゃになって筆舌に尽くし難いスプラッタになるだろうし。
とりあえず後遺症として吐血してるが、吐血は基本的に呼吸器系か上部の消化器系の
異常を示すだけなので、別に冷凍睡眠と特段の関係なんぞ見出せないんだが。

あとは誤植が酷い。p85で主人公の名前(織人)が「職人」になっていたのには爆笑。
p94では段落の区切りが1行ずれていたし。別にチェックしてたわけではないのだが。
まあ前にアイスノベルスで表紙と中表紙でタイトルが違ってたなんてのもあったので
可愛いほうなのかもしれないが。しかしもっときちんと校正しろよ・・・。
肝心の内容については上述の点に限らず色々と吹っ飛んでいて眩暈を禁じ得ないが、
受の病的な攻(兄)への執着とエロス、互いに貪り合うHなどはそこそこ描かれていて、
そこだけ抜き出せば(他を割り切って読めば)それなりに読めなくはないかと。
まあ独特の古臭さやキャラの幼稚さ、強引な展開などは水無月さららなのでねえ・・・。


【小説LAQIA 秋号】 創刊から最近まで買っていたのですが廃刊とは一抹の感傷も。
              でも今回購入したのは野森美奈の漫画目当てという(苦笑)。
■崎谷はるひ『夢も見れやしない』:▽ 心情の描写がなさ過ぎ。好意を確認するだけ?
                         アイドルが幼馴染に依存ってのもステロだし。
■萩野シロ『それは罪なアナタのせい』:〇 主人公のお馬鹿なりの懊悩は悪くない。
                          攻までお馬鹿なのも面白いとは思うが。
■井ノ原葵『週末の呪文』:▽ OLや彼女等がでしゃばらないリーマン物はないのか?
■岬向津院『処女薔薇にボンテージを』:△ ありえないんだが勢いで読まされる面も。
■佐伯まお『大家はセクシーダイナマイト』:スルー ラキアのお馬鹿系はついていけず。
■稲垣さくら『いつも隣にいたいから』:▽ これも心情描写がない。手出しただけじゃん。
■夜光花『天使の羽がついていた』:△ 自分勝手な攻や幼馴染に受が流されるだけ。
■葉月宮子『星の数だけキスしたい』:× 801の悪いテンプレが凝縮されている感じ。
                        唐突な出会い、キスが報酬、学校間の対立。
■高円寺葵子『お隣同士』:スルー 冒頭2行でサヨウナラ。
■野守美奈『僕の好きな人』:〇 小説に忠実すぎでは? 小ネタ過ぎて面白みがやや。
■水貴はすの『純情可憐なアナタ』:▽ 横からちょっかいかけられてるだけ?

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-12 01:19 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 11月 11日

放擲願望

しかも下の本に続けて読んだのが花村萬月・・・。

己が内心など一顧だにする余裕などありませんが、本を溜めても致し方ないので。
(というかこれから諸々のレポートに追われなければいけないはずなので)


榊花月『いけすかない』はやはり榊節で、本編と続編で視点が変わりお腹一杯感が。
もともと独特のボケ突っ込み的なモノローグが売りであるし、嫌いではないのだが、
さすがに受と攻と双方がこのノリの人間として描かれてしまうとくどいかもしれない。
出だしが番外編感を醸し出しているし、展開もやや唐突で急なので面食らうというか。
いきなり押し掛け同居人が来て、手を出され、なおかつそれがトラウマ持ちってねえ。
その後互いに好意が深まっていく辺りのぎこちなさなどはうまく描かれていて良いが。
攻の「遊び人」っぷりも非常にステロな上、相手の女も醜悪に描かれていてやや食傷。

続編も女子高生が受の写真を撮りに来た時点でその後の展開が読めてしまったし。
伏線にするならもう少し描写を底意のないものにしないと展開から浮いてしまっている。
あと受の兄との対決が必要なのはわかるが、それが露骨にHを許すきっかけなのは
個人的にどうかと思わなくもないが、まあ妥当な理由付けであり展開なんだろうなあ。
全般にモノローグが多い割に展開が急いでいるというか分かりやすすぎる気がする。
読者受けを考えてのものかもしれないが、逆に少し粗雑との印象も受けてしまった。


油山浅野『主演男優賞』は小説としては読めるものだったが801としてはちと微妙か。
まず冒頭の交通事故未遂はいくらなんでも強引過ぎ。思わず始球式かと思った。
もともと知り合いだったとの展開だったらこんな素っ頓狂なエピソードに頼らずとも
何とかなったのでは? 確かに鈍い受に「相当の恩義」を感じさせるためには
生命の危機を救うくらいのことが必要なのかもしれないが、だとしてもこれは酷い。
さらには定番の「恋人の振り」の依頼がなされるが、これも必然性が見出せないし。
なんで共学校に通っている男子高校生が恋人役をさせるにわざわざ男を選ぶのだ?
この作品世界が801ワールドだったらもしかしたら説明不要なのかもしれないが、
後で攻を結婚させている(これもどうよ?)くらいなんだからそうではないんだろうし。

話の構成としても無理がある。互いが友情を深めていく中で受が攻への好意に気づく
前半部分は良いとしても、後半に入ったらいきなり時間軸が3年飛んでいた挙句、
攻は結婚と離婚を経ていてしかも離婚した妻は妊娠までしているってねえ・・・。
その後も攻は別れた妻の家庭や娘の面倒を見に行くんだから流石にもにょりまくり。
確かにある種のリアリティはあるし攻の性格描写としても有効に機能はしているし、
これをきっかけに受が感情を爆発させもするので、話の上で意味があるのは分かるが、
801作品の展開として相応しいとは全く思えない。攻にも元妻にも嫌悪感持つよこれ。
まあそれでも受と攻のそれぞれの感情の動き自体は割と細やかに描かれているため、
放り出さずに読み続けることができた。描写力自体は結構ある方だと思うので。
でも相思相愛になるきっかけが隣家のガス爆発で、しかも攻の娘を救うために受が
マンションからダイブしたことと分かった時は流石に一旦本を閉じざるを得なかったが。

最後はきちんとハッピーエンドを迎えるし、キャラの造型も心情の動きもリアルなので
ストーリーには入り込めるし読後に残る印象は悪くないが、いかんせん上述の通り
作品のいたるところにありえなさや納得の行かなさが散りばめられていて微妙かと。
長いスパンで2人がゴールするところまで大河的に描きたかったのはわかるけど、
やはり互いにとって重要な筈の真ん中3年間を飛ばしたのは致命的な失策だろうし、
そもそもキャラの特徴を出し話を展開させるエピソードの選び方が間違っている。
繰り返しになるがあくまで801なんだから分かれた妻関係に描写を割くのはどうかと。
妙なところで視点が移っていたり、無関係の第三者視点でキャラの動きを描いたりと
読んでいて展開に首を捻るところも少なからずあったし、諸々の面で荒削りかと。
もう少し編集がうまく誘導すればかなり読めるものになる可能性もあったと思うが。
まあ本作は商業デビュー作のようなので、今後には少し注意しておこうかと思う。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-11 01:19 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 11月 07日

『白い薔薇の淵まで』

本サイトもようやく2000HITを迎えることができました。有難うございます。
予想よりも相当早かったために諸々の手当てが追いついておらず恐縮ですが、
一応企画めいたことは始めておりますのでご笑覧頂ければ幸甚至極です。

他にも快適に閲覧頂けるよう細かいところを弄っているのですが遅々として・・・。
しかもTEXTの表紙ページを誤って削除し数日間気付かなかったというミスまで招来。
やっつけ仕事で慣れないことはするものではないと再実感しておる今日この頃です。

タイトル作はご存知の方も居られるでしょうが中山可穂の山本周五郎賞受賞作でして、
いわゆる女性同士の全身全霊をかけた濃密な同性愛関係を描いた恋愛小説です。
文庫化を機に読んでみたのですが、展開にも描写力にも感銘と共に衝撃を覚えまして。
自分が801小説に求める要素の相当部分が本作に含まれているように思えたのです。
それが何かを探って意識下を巡ることはまだ時間的にも精神的にも出来ていませんが、
近時曖昧と惰性に堕している感の強い自らの801嗜好を捉え直す機軸になるのではと。
この辺りの深層の澱みを文章化の手法で掻き乱してみるのも面白そうですが・・・。


ちょっといろいろ手直しがあったついでに加筆してみようかと。
しかし昨日今日で10冊ほど小説を読んでいるのですが、読んだ順に内訳を記すと

・ユルスナール(澁澤龍彦訳) 『三島由紀夫あるいは空虚のヴィジョン』 河出文庫
・岩井恭平 『ムシウタ04 夢燃える楽園』 角川スニーカー文庫
・榊花月 『いけすかない』 ディアプラス文庫
・中山可穂 『白い薔薇の淵まで』 集英社文庫
・若竹七海 『サンタクロースのせいにしよう』 集英社文庫(再読)
・秋田禎信 『エンジェル・ハウリング10 愛の言葉』 富士見ファンタジア文庫
・大倉乾吾 『日本廃線鉄道紀行』 文春文庫PLUS
・水無月さらら 『クラッシュ・アイス!』 ビーボーイスラッシュノベルス
・須賀敦子 『地図のない道』 新潮文庫
・喜多みどり 『半神の女剣士 西風の皇子3』 角川ビーンズ文庫

という感じでして、さすがに自分でもクラクラしてくるというか。分裂症か? 

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-07 00:41 | 身辺雑記 | Comments(0)
2004年 11月 04日

As time goes by

全てが笑うしかないくらい後手後手ですが、笑い飛ばして良いものか・・・。


松前侑里『水色ステディ』は主人公の受に非常に都合のいいお話というか何と言うか。
濃縮小説を窺わせるような話の展開の中で一人称の断片的な内省や場面描写が続き
目新しい印象は受けたが、地の文からの現実感が薄く読んでいて腰が落ち着かない。
松前流の段取りを端折った(作者本人には分かる感覚だろうが)落ち込みや思い込み、
当意即妙だか電波だか分からない比喩やら慰めやらに直に襲われるわけだから
当然といえば当然だろう。読んでいてクラクラしてしまい、松前マジックを再実感。

描写力などは確実に上がってきていてなまじ作品世界に入り込めるようになったが、
そのくせ話も感情も荒唐無稽に発展していくので読んでいて振り回されてしまう訳で。
正直今感想を纏めようとしても印象が千々に乱れており書くことに困ってしまう。
ただまあ受が自分の感情についてひたすら言い訳をしている話だなあという印象が。
友人への思い、親への思い、恋心などを自他のせいにしながら説明し続けるというか。
凄く自意識過剰な、あるいは言い訳が過剰な話になっていて倦んできてしまう。
話の展開自体2人を手玉に取るような感じなのに反省も無く自己を正当化し続けるし
さらには当の2人もそれぞれ受を異常に優先して身を引いたり出迎えたりするし。

揺れる思いを描いてそれなりに悩みも悲しみも感じた上での大団円となっているが
見方を変えれば周囲に甘やかされて浮気を重ねる我儘な主人公でもあるわけで。
これだけふらふら周囲を振り回しておきながら甘々のハッピーエンドを迎えられても
釈然としないものを感じてしまい、読後の印象は非常にやるかたないものであった。
事態ではなく人の動き方が特異なので、「ご都合」だという印象は強くないのだが、
受の理想に沿ってまとまる話ゆえに「ありえなさ」が強烈に感じられるのだろう。
趣味の問題もあると思うが、作者が説明を尽くせば尽くすほど違和感がつのる感じ。
最近のこの人の話は客観的には以前より読めるものになっていると思うのだが・・・。


うえだ真由『水槽の中、熱帯魚は恋をする』はベタながら安心して読める佳作というか。
美形でクールな攻にボケな受が絡むパターンは王道中の王道だが、それに留まらず
攻にもコンプレックスや弱さがありそれを自らも薄々察しているという設定がうまい。
攻が超人化して受を弄ぶ話には心底辟易しているので多少の欲目もあるだろうが。
関係の深まりもきちんと描けているし、攻の過去の行状にもそれなりの理由をつけ、
安直に肉体関係に持ち込まず、その後も相思相愛になるまで一捻り置くあたりは流石。

続編では受を活躍させすぎというか、攻の家族との融和はご都合に近いかと思ったが
ただバカップルにするのでも当て馬を出すのでもなく互いへの思いを強めさせる点は
評価して然るべきかと。傑出して素晴らしいという評価ができるわけでは決してないが、
オーソドックスでかつ一定のクオリティもある好作品であることに疑いは無い。
ディアプラスに来てから成長が目立っており、抑えておくべき作家と言えるだろう。
安心して読める話を恒常的に書いてくれる作家が少ないのでねえ・・・。


麻生玲子『一万年+3日』はこれまたオーソドックスな少女小説BL風味といった感じ。
相手(受?)が美形でかつ奇人風ではあるものの、登場するのは普通の大学生だし、
地に足の着いた展開の中で穏当に恋愛感情を育んで行く雰囲気も非情によろしげで。
恋愛と関係ない大学生活や友人の話などが多いのはコバルトゆえ已むを得ないが、
たまにはこういうスタンダードでぬるい恋愛譚に浸るのも悪くないかと。筆力もあるし。

ただどうやらシリーズ化されるようで、そうなるとベタな展開に陥りそうな気がするし、
あるいは上述の友人や家庭教師先等でのトラブルでも仕込むつもりかと勘繰ったり。
これ以上801風味が薄くなるのは困るし。主人公の日常描写のみで楽しめる程の
魅力あるキャラにはできていないし、そもそもそこまで移入する気もさらさらないし。
描かれるキャンパスライフも所詮「古き佳き」ものだからなあ。嫌いではないのだが。
続編を買うかどうかはかなり微妙だが、本作自体は楽しめたかと。あっさり読めるし。


朝丘戻。『雫幻想歌。』は801ではないので簡単に。やはり寓話めいていますなあ。
一話目の靴のエピソードは思いっきり先が読める描き方をしていてどうかと思ったが、
キイロ君の天然ボケで皆が心を許していくという寓話として読めば楽しめる作品かと。
ただ患者である女の子の母親が妙に薄っぺらい。家を出る動機などは納得がいくが、
それだけで出て行くには弱すぎるし、また帰宅を決意する辺りも逡巡が無さ過ぎる。
まあ寓話として読めば良いのだろうがやはりご都合というか安直に思えて引っかかる。
そんなにあっさり過ちを認めそれが許されてハッピーエンドってねえ。感動の安売り?
・・・この辺りは昨今の「感動」ブームを蛇蝎のごとく忌み嫌っている所為もありますが。

しかしこの作家は色々な意味で自意識が相当に過剰で芯も強いんだろうなあと思ったり。
後書きとか奥付の自己紹介とかにそんなに配慮されても却って底意が透けるというか。
自分としても人のことなど全く言えたものではないとはいえ、程度は弁えてもいい気も。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-04 01:03 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 11月 01日

エスケープ病・続き

秀香穂里『虜』は悪くは無いが設定等に力を入れ過ぎて萌えに欠けてしまっているか。
どちらかというと麻薬取締やそれぞれのトラウマの処理ばかりに描写が割かれており、
それが直接的に恋愛に絡んでいるとは言いがたいため、筆力もあって読めるのだが
あまり801作品を読んでいるという感じはしない。というより801色が薄いため
一般小説的な読み方になってしまうと、さすがにご都合や適当さが目に付いてしまう。
「801作品の背景設定としてのリアルさ」と「小説のネタとしてのリアルさ」では
当然求められるレベルが違うのだから、作者をここで批判するのは筋違いなのだが、
感覚的には微妙な中途半端さを拭うことができなかった。つまり801として読むには
萌えや恋愛が足りないし、一般小説として読むにはリアリティや描写力が足りなくて。

まあ全くこうした描写と恋愛が絡んでいない訳ではないのだが、やはり薬物絡みでは
主人公の負うトラウマも重くなってしまうし、関係者の帯びる悪性も強すぎてしまい
これらをキャンバスとして描かれる恋愛描写をどうしても真っ当に受け止められなくて。
それだけ複雑な忸怩たる思いを乗り超えてまでも相手を愛するという描写はないし。
一番肝心の心理描写がはぐらかされてしまっているため、ご都合的というかあるいは
「芝居の書割」的な印象を覚えてしまい、読後にもにょる物を抱えてしまった。
ストーリーとしては悪くない組立てだし、文章力はしっかりしていて読み応えもあるが
801作品として評価する限り上述のような問題は指摘せざるを得ないだろうと。

・・・昔はこういう背景や筆力がしっかりした作品は無条件で評価していたのだが、
最近では書きたいものが801からずれている作品には厳しい見方になっていて。
菅野彰などが典型だろうか。まあそれでも初期作品はその輝きを失わないが・・・。


坂井朱生『夕闇を待たずに』はキャラの説明口調と過剰設定にお腹いっぱいな作品。
そもそも主人公の自意識過剰ぶりは特筆すべきで、いくら顔が良くてもこんな人間は
まともに相手にされないと思うのだが。少なくとも恋人としてどうかと思うのだが。
攻の設定も非常にご都合かつ謎だし、受の周囲にもあり得ない友人たちが多すぎる。
さらにはおそらく書き飛ばしたゆえだろうが本文までプロットをなぞっただけのように
だらだらと進んでいった挙句、受が「気が付いたら好きになっていた」というだけで
恋愛に陥ったことになり(受の一人称だというのに!)、しかも最後には攻までもが
「実は一目ぼれだった」といってハッピーエンドですか? 御伽噺じゃあるまいし。
死んでしまった恋人なんてものまで絡めているんだから、心理描写はいくらでも
膨らませようがあっただろうに、オチを見た瞬間にはあやうく始球式しかけたわけで。
オマケのエピソードもベタだし。露天風呂でHですかそうですか。勝手にしてくれ。
そんなにバカップルが読みたいのか? それも親父な下ネタしか思いつかないのか?


北川とも『傍若無人なアプローチ』は強引な攻が受に強引に迫り振り回す定番もの。
前作でこの作家の評価を上げていたためチェックを甘くしたのが悔やまれてならない。
攻のあまりの身勝手ぶりには完全に醒めてしまい途中から飛ばし読みモードに。
野性味と肉体美溢れる男には強姦されても良いというのが801の不文律らしいですが
こればかりは欠片も受け入れられませんからなあ。読んでいて苛立たしさを覚える。
反発が全て空振りする受の視点で描かれている以上こうした感覚は当然抱きうる筈で。
私の性格もあるのだろうが、いくら攻が魅力的と描かれてもやはり受け入れられない。
ましてやきゃんきゃん騒ぐライバルのゲイなんてものが登場したらあなたもう。
挙句の果てには受を追いかけて来日する当て馬なんてものまで。もう勘弁して。
後書きにもある通りこういう話はアホ系統として読めばよいのかもしれないが、
アレルギー反応が出てしまい如何ともし難かった。やはり精選が必要だなあ・・・。


あと3冊ほど読んではいますがまた日を改めて。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-11-01 22:25 | 小説感想 | Comments(0)