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2004年 07月 31日

宿題は計画的に

そろそろ感想を片付けないとえらいことになってしまいそうです。8冊ですから。
小・中学生の頃は夏休みの宿題は全て8月30日に終わらせる子供だったのですが、
年を追うごとに怠け癖が酷くなって現在では破綻をきたし始めているわけで。


宮本恭名『愛のかけら』は、視点たる攻の情報が不足していて少し困惑させられる。
やさぐれた生活で追い込まれて財産目当てで受をだましに来たという設定も微妙だが
攻のモノローグが妙に説明的というか単調で話にリアリティが生じていない。
受の性格設定も安直だし、途中から出てくる当て馬の悪役も全然書き込みが足りず
非常にご都合な印象しか受けない。全般に作りこみが甘すぎる気がしてならない。
まあ南の島でのアヴァンチュール、というおとぎ話として読み流すには適当かも。


きたざわ尋子『いとしい罠』はシリーズ4作目だそうで、前作を読んでいない気も。
完全に出来上がってしまった二人の後日談ですからそもそもそうバリエーションが
あるわけでもなく、当然当て馬がらみのドタバタと濃密なHが主眼となるわけで。
まあ当て馬が実父らしいダンディというのはエポックメイキングかもしれませんが。
それにしてもこういう攻が探偵とかボディガードとかいう話は多いなあ。
知性も肉体美も必要だし、いざとなれば受を身を挺して助ける山場が出せるから
話を作りやすいんだろうけど、リアリティがいずれも薄くて参ってしまう。
あとは攻が非常に有能でクライアントからの信頼も厚く女性にももてているとか、
普段(特にH)では傲慢かつ不遜に振舞うのに実は受にめろめろだという設定とか。
まあこういうのもハーレクインの一種だから仕方ないのでしょうがねえ。やれやれ。


内村りんこ『ときめきホームラン』は・・・もう完全に同人レベルでしょう。アホ。
なぜいきなりプロ野球選手が押し掛け旦那になるのかは頼むから説明して欲しい。
受の性格も馬鹿なんだかボケなんだか知らないがご都合としか言いようがないし
さらには受が見合いをした女なんていうのまで絡んでくる。当然ご都合バリバリ。
ギャグとして読めばいいのだろうが、とにかく出てくるキャラが全てご都合で、
ありえない行動ばかり取ってくれる(しかも説明がない)ので眩暈しかしなかった。
タイトルで気づいてしかるべきだったのになあ、何で買ってしまったんだか・・・。


月村奎『いつか青空の下で』は『そして恋がはじまる』の続編だが、続編にも関らず
2人の関係に絡んで展開が進んで行き、精神的にも成長していく話となっており、
それなりに読むことができた。やはり甘いところはあるがやおいなら仕方ないだろう。
受が大学に合格してからの年齢差カップルのすれ違いや家族との葛藤までが、
重苦しくならない程度に書き込まれているし、この作家の主人公に現れがちだった
自己中さもあまり感じられず、攻の穏当さも納得できる書き方がされていたので、
割と好みの作品に仕上がっている。初期の佳作から受のぐるぐるさを引いた感じか。
もしいい方向に脱皮してくれたのであれば作家買いを続ける価値は十分あると思う。


疲れたので後4冊は後日に。また在庫が溜まると困るので早めに済ませますが。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-07-31 00:07 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 07月 30日

負荷のみが肥大化する

どたばたしている間に本が10冊溜まってしまったので気が重い・・・。

小説の感想を書く前にとりあえず一言だけ今読んだ『D-Pri』についてコメントを。
ショタに男性系の出版社や作家が流入して来て二極化が進む中で、このアンソロは
一体どこに行きたいのか。美輝妖なんかをずっと多用しているのも解せないし。
ショタ雑誌やアンソロは近日のお姉さま系との絡み狙い以外はほぼ揃えてきたが
このアンソロについては購入を再考すべきではないかとも思ってしまっている。
・・・鹿島田しきの評価が固まるまでは捨てられないけどなあ。No.12とか見ると。
絵が絵だし近作を見るにまとめて切っても良い気がするがやはり未練が捨てきれず。


麻生玲子『あなたに落ちていく』は落ちついた文章に受の執着がうまく滲み出ている。
これも割りとゲイっぽい作品だが、気安く体を繋げるというキャラ立てだけに終わらず
享楽的な感覚やそのうちに秘められた純情さや気弱な心情などまで書き込まれており
読みながら妙な現実感を感じさせる作品となっていた。ベテランゆえだろうか。
ただ不倫ネタであるし、それぞれの心情がマイナス面やドロドロしたところまで
書かれているので、あっさりと読み飛ばしたい向きには不向きであろう。
また後半の展開がやや安直であったり唐突であったりするのもやや気にはかかる。
作風を変えようとしての諸々の試みなのだろうが、やや失敗気味と言えるであろう。
従来のこの人がよく書いたしっかりとしているが軽妙で前向きな話を好んできた
年寄りの戯言ですがね。そういう中間的なものは却って読み手が少ないから、
能天気な作品群かエロやハーレクインなどに走った濃い作品かが出てるんだろうなあ。


飛田もえ『南へ向かえ!』はねえ、一読して同人誌の再録かと疑ってしまいましたよ。
なにせいきなりやくざ風の男に当たり屋をされて車に乗り込まれ、手錠で繋がれた挙句
東京から九州までのドライブをさせられ、しかもその途中でカマを掘られている。
それなのに愛が芽生えているというんですからちょっと無茶苦茶ではないかと。
さらに肝心な愛の芽生えが殆んど書かれていないため、受の混乱に付き合いながら
読んでいたら、受が勝手に惚れたなどと言い出しこちらだけ混乱に取り残される羽目に。
レーベルもピアスノベルスだから当然にエロシーンが頻繁に延々と書かれており、
ひたすら読み飛ばすしかなかった。3編目の続編もその違和感は拭えぬまま終わり。
2編目の過去話はそれなりには読めたが、肝心の恋愛感情がやはり書き込み不足か。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-07-30 03:18 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 07月 24日

夏の暑さに

とりあえず充実への一環として、雑誌やコミックについても感想を書いてみることに。
テンプレは某所より拝借。会社いる頃は毎日見てたスレですが最近はご無沙汰です。

【Dear+ 8月号】 後発の割にうまく売っている雑誌だと思う。初期ほど好みには合わなく
            なってきている気がするが、こちらも年だから仕方ないんだろうなあ。
■表紙:高橋ゆう…△ 淡すぎの気が。受がどこ見てるかあいまいだし。
■ポスター:門地かおり…× 雑じゃあ?
■依田沙江美『ブリリアント☆BLUE』…△ 番外編に変なの噛ませても意味ないんじゃ?
■南野ましろ『タカトリキングダムキングス』…▽ 最近のこの人は意味がわかりません。
■南野ましろ『うさしくん』…〇 こっちで食べていけば良いのに。
■門地かおり『生徒会長に忠告…スルー
■蔵王大志『僕たちは明日に向かって生きるのだ』…× 意味不明。『あげまん』はどうよ?
■吹山りこ『Sparkling Romeo』…△ 中身が無いよなあ。ホストのリアリティ0。
■カトリーヌあやこ『SLEEPER』…△ 完結したら読み返すつもりだが…。
■西田東『影あるところに』…△ 絵がなあ。もう少し何とかならないものか。
■高群保『JAZZ』…△ 原作も好きではなかったがここまで薄められても…。
■高橋ゆう『ブロンディ・ブロンディ』…△ 中身が薄いよなあ。絵も薄くなったけど。
■楢崎壮太『やればできるさ2』…〇 割とツボ。当て馬がらみの前半がぎこちない。
■池田乾『戦う!セバスチャン』…〇 最近ネタ切れてるよなあ。好きなのに。
■夏葉ヤシ『ONE COIN KISS』…〇 ありえないけどこういう厨な絵もシチュも好きで。
■えみこ山『東くんの左手』…▽ 家族の設定も心情の動きも良くわからない。絵もアウト。
■真山ジュン『ピカレスク』…△ 割と好きだけどいささかベタ過ぎか。絵も少し…。
■いくしまみつぐ『恋の実』…◎ 昔は絵でアウトだったが最近は嵌りまくり。心情が良い。


あとトピックとしては、ついに出版社から801雑誌を本名で取り寄せてしまいまして・・・。
引っ越しのドタバタで重複していた本や雑誌について誤って両方とも売ってしまうという
愚挙に及んでしまい、書籍は再購入できましたが雑誌は入手の術がなかったもので。
これでまた一つハードルを越えてしまった気がしますが、まあ既に楽天やアマゾンでは
普通に購入していた訳ですから、実は大したことではないのかもしれませんが。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-07-24 00:04 | 漫画感想 | Comments(0)
2004年 07月 09日

No concentration・続き

洸『緑の楽園の奥で』は深窓のクールビューティーをワイルドな攻が落としていくもの。
全般に無難に纏まっているが、受の頑なさがやや突飛な印象を与えてしまっているのと
展開や作中人物の心情描写などにややぎこちなさを感じてしまった点がマイナスか。
攻の行動は良く描かれていたのに対し心情の深まりが足りなかったからかも知れない。
あと受が弱っている所につけ込む話は多いが、本作では少し露骨に表れ過ぎかなと。


うえだ真由『青い蜜月』は・・・SHYだから出したんだろうと思われますが異色作だなあ。
普通のけなげな受がクールな攻に思い焦がれるうちに手を出されて・・・という話だと
思ったんですよ。冒頭だけ読んでると。しかし以下ネタばれになってしまいますが、
なんせ父親の失踪を機に攻に連れ去られて、拉致監禁陵辱ものになるなんてねえ。
そんな急展開の後は、攻が秘めていた受への愛情が遺憾なく発揮されるわけですが、
当然ながらずれた愛情なわけで陵辱し放題。恋愛の背後に色々な陰謀や裏切り等を
絡ませる話は多いし、どちらかといえば良く読んでいる方ですが、それにしてもこの話は
ちょっと横紙破りが過ぎる気もしてしまったり。親が絡んでるしねえ。

それでもまあ主人公の幸福が虚飾と欺瞞の上に成り立っているということを暴きたてる
シーンなどはカタルシスもあるし個人的には好きですが、それにしても余りに急展開で
受を追い詰めすぎたし、終盤にかけてハッピーエンドに持っていくという話の展開も
中盤を読んだ身には急過ぎて納得がしにくい。それでも全て赦すのが愛だというのか?
ストーリーも受攻の行動・心情共に大きく振れ過ぎで、読んでいて眩暈がしてしまった。
まあ換言すれば吸引力があって飽きさせない濃厚なストーリーと言うことも出来る訳で
個人的に評価は良い方です。それだけにもっとソフィスティケートして欲しかった。

余談ですが、この本にはショートストーリーのコピー本が本屋によって付けられていて、
店員の誰かがイベントで入手してきたのを付けたんでしょうか。初めての経験ですが。
もしそうだとしたらお疲れ様というか公私混同ではしたないのではというか。
それとも版元が配っているのかねえ? だったら良くやるなあと呆れてしまいますが。


須坂蒼『挑発する視線』は、これまた展開の早い作品。人物が割と突き放されているし。
スタンスとプライドをかけてぶつかるうちに互いの大事な物が変わってくるという辺りは
こなれていて筆力をうかがわせるし、エロシーンも上手く散らして効果的に使っている。
まあ展開がとにかく急だし、特に受の設定が割と唐突に現れるのに書きこみが少なく、
読みながら醒めてしまったことも事実。そもそも割と作者がキャラに距離を置いてるし。
というか色々描写が足りない気がする。受攻それぞれのキャラへの肉付けが筆頭で。
職業も書き込み振りが微妙。もっと表層的にファンタジーとして割り切って書くか、
逆にしっかり書きこむかした方が読み手としてはリアリティに疑いが生じにくい気がする。
あとは受と当て馬の関係がおざなりになっているのはある意味致命的ではないかなと。
当て馬が告白したのも唐突に思えたし、それを受が断ったのにも理由付けが足りない。
全般にプロット先行で行ってしまったのかなあという印象を受ける。評価はするのだが。
私が良く言う「芝居の書割」っぽさがあったかなあと。CDドラマにしたら良いかも(笑)。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-07-09 11:06 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 07月 08日

No concentration

とりあえず一山は越しましたが、まだレポートが残っていたり。まあ人生逃避ですから。


じき一応夏休みに入るので、多少はコンテンツを充実させようかとは思っています。
個人的に評価の高い本について感想をものしてみたりしようかと。あとは業界雑感とか。
商業のショタ本の歴史なんかも語れますが(笑)、過去に引かれたことがあるので・・・。
本当は何かアウトプットが為せれば良いのですが、時間、精神、才能等の点で困難かと。


烏城あきら『LinS』はちょっと古めだが『許可状~』との関係で購入してみる。
・・・『金の鳥の秘密』を読んだ時にもちらとよぎった感想だが、ゲイ臭い小説だなあと。
攻の表面上の体温の低さと独特の粘着っぽさや謎めいた辺りは良く表現できているが、
(というかこういう描写になってしまったのか?)ふさ十次の濃いイラストとも相俟って
なんだか読後感だけが濃厚な印象を受けた。残念ながら文章が濃厚なのではなくて。
自分のゲイネスに鈍感という設定は散見するが、異性(しかも同性愛者)のお膳立てに
嵌まってから気づくというのは珍しいというか少しもにょりましたがね。伏線殆ど無いし。
他にも周辺のキャラが妙に立ちすぎているし、主人公へのブラインドのかけ方が下手で
作品から引いた目でしか読めなかったのも事実。主人公が受身過ぎる点も助長したか。
独特の癖がある興味深い作家だとは思うが、まだしばらく慎重に様子を見るべきかなと。


久我有加『無敵の探偵』は前作よりは読めたが、受攻のスタンスが基本的に同じなので
やはり感想としてはもう少し基軸を弄ってくれとしか言いようが無い。あと関西弁か。
強気でクールに見え実はウェットな受を一途でへたれっぽいが実はしっかり者の攻が
硬軟使い分けたアプローチで落としハッピーエンド。続編はお互いに振り回されると。
まあどちらも一般読者層の人気を取っているのだから仕方が無いんだろうけどなあ。
しかしこういう量産される王道物ばかり読む読者層というのは飽きないのだろうか?
それとも一時期に嵌まって飽きて去っていく読者こそが最大の購買層なのだろうか。


六堂葉月『容赦ない愛と欲望』は、個人的には篁釉以子を思い出させられた作品。
イラストが史堂櫂な上に、エロ重視で暴走型のいわゆるハーレクインタイプですから。
とにかく設定と行動が派手で暴走的。受も攻も才能に溢れ交錯する事でより高めあうと。
お互いのプライドから素直な恋愛関係には中々なれずとも、常にお互いを意識し合い、
最後は誤解も解けてハッピーエンド、互いに仕事等でもより高い階梯を上るという訳で。
共に施設育ちでその後義兄弟として育てられていた点とか、職場を同じくしていたりとか
目新しい点はありますが、やはりこれは典型的なハーレクイン型の一でしょう。
購入を避けている類型なのですが、ストレスから購入意欲が高まっている時期に
書店に行ったので購入してしまったのでしょうなあ。久しぶりにクラクラさせられました。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-07-08 11:46 | 小説感想 | Comments(0)