<   2004年 06月 ( 6 )   > この月の画像一覧


2004年 06月 27日

捨てる神あれば

読むべきではないときほど読むペースが上がるのが人の常・・・。


水壬楓子『ミステイク』はボディーガードもののシリーズ第3作。人気なんですなあ。
今回の作品はへたれっぽい攻と女王様系の受の微妙な関係をうまく描いているので
割と楽しんで読むことができた。まあ展開が過去を引っ張りつつ進んでいくので
やや安直な思わせぶり演出に醒める部分もあったことは否定できないが。
自分勝手に思い込んだ上で動いているキャラが実は多い割に、あまり自己中さを
感じないのは処理がうまいからなのかねえ。つるりと読めてしまう佳作ですな。
しかしこのシリーズも続くねえ。皆美形でホモのボディガード会社ですか。やれやれ。


烏城あきら『慰安旅行に連れてって!』は秀作『許可状をください!』の続編。
実は恋愛絡みのストーリーはベタだし心情描写なんかにも拙い面が目立つのだが、
化学工場絡みのある意味無駄な書きこみや綿密な設定が全てを寄り切っていて。
職場とそこにおける人間描写が豊かだから、全体としても読めてしまっているわけで。
ちょっと今回は安直にエロに走ったり、心理描写が足りなかったりするのですが、
まあ前作ではまった人間にとっては続編として楽しめるレベルであることも確かで。
・・・こんだけ男だらけの職場が舞台なので、サイドストーリーでホモ量産というのは
最も避けて欲しい展開なのですが・・・。でも誂え向きなキャラもいるしなあ・・・。


松前侑里『階段の途中で彼が待ってる』はもう松前節全開としか言えませんなあ。
キャラも言動も行動も設定も全て一面的にしか描かれてないのに、小説として読むと
それなりに読めてしまうのは最早マジックとしか言い様が無く。特に今作は割と良いし。
まあ私がこの作家に慣れてしまっただけなのかもしれませんがね。何なんだろうか。
雰囲気が良いのかなあ。あと本作は主人公の弱さや身勝手さに嫌らしさが少ないか。
みんな不思議ちゃん、設定はご都合ばりばり、三角関係なのに心理描写が少ない。
松前侑里好きにはよい作品ですよと言うしかないのであろうか。評価に困る作品。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
[PR]

by bonniefish | 2004-06-27 01:43 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 06月 25日

進歩しない生活・続き

染井吉乃『恋のしくみ』はパレットだから仕方が無いとしてもちょっと酷すぎる。
主人公の環境や性格に付いての描写が足りないし、猫の失踪という事件も唐突。
ましてその捜索過程で知り合った相手やその友人についても説明が不足しているし、
更には読者をミスリードしようという思惑が空回りしていて読んでいて話が掴みづらい。
伏線や隠語の使い方も悪いし、重要な影響を及ぼす事態を偶然任せにしているし。
読者にサプライズを与えるために主人公をつんぼ桟敷に置くこと自体が陳腐なのに
その処理が愚かしいのでは読んでいて騙し討ちというか拍子抜けしか感じなかった。
絵に騙されてはいけませんなあ。読み飛ばす作品には最近あたっていなかったのに。


秀香穂里『チェックインで幕はあがる』はエリートもので、嘘臭さが少ない点で希少か。
どうしても説明が過多で固くなってしまうのを受の優秀さゆえと乗り越えてしまえば
ストーリーとしては誘引力を持っているだろう。攻の有能らしさはまあ出せているし。
もう少し互いの緊張感を水面下に忍ばせ会話のやり取りを洒脱にすればスマートな
恋の駆け引きを演出できるとも思うが、あえて心根の愚直さを失わせないことが、
却ってこういう浮世離れしかねないストーリーに現実味を与えているのだろうか。
まあ攻の方もお約束とは言え強姦しているし、ある意味お互い様か。お熱いことで。


高遠琉加『天国が落ちてくる』は、カリスマの挫折を偶然に救ううちに恋情が生まれる
逆シンデレラストーリー(違うか?)のようなもので、個人的には好きな形態である。
(この辺が私の脆さや醜さの証左でしょうなあ。感想には色々な物が表出することで)
攻が受を振り回す理由が不安や甘えからであることや、尊大な仮面の下の描写等は
類似の作品とは異なり空疎とは感じられない。安直に堕すことなく良く書けている。
受も単なる気弱とかうじうじとしたキャラにはなっていないので悪くないかと。
ただ受にまで天才性を匂わせるには正直くどさを感じた。トラウマ判明でさらに倍。
互いに支え合いぶつかり合って心も恋愛も育てる話と思われるので評価したい所だが、
特に受のトラウマを安直に解決したり逆に放置するようなことがあれば大幅減点かと。
まだ1巻なので期待を持って続編を待ちたいが、だれることのある作家だからなあ。


崎谷はるひ『形状記憶衝動』は、BEaSTからルビーに行った作品だしとにかく派手。
偶然出会った魅力的な高校生に興味を持って関わり出したことで、今まで女性とは
形ばかりの付き合いをしていたエグゼクティブに衝動的な恋愛感情が巻き起こると。
攻視点では受の若さやしなやかさ、可愛さ、けなげさ、美しさの描写が繰り返され、
地の文や受視点では攻がいかにスマートで男らしく金持ちであるかが綴られる。
こういうありえなさもここまでがっちりと書きこまれるともうお見事という他無いかと。
お好きな向きにとっては存分に夢想に浸れる作品ということになるのでしょうかね。
特に続編ではラブラブ振りやHの辺りが綿密に描写されますから至れり尽せりかと。
受の描写については趣味と相俟って私も高得点をつけますが、その他はげんなり。
あとルビーの読者を想定すると文体が硬くて説明過多と言うことになるんだろうなあ。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
[PR]

by bonniefish | 2004-06-25 00:00 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 06月 24日

進歩しない生活

まあ試験まであと二週間ありますからね。酔いに任せてと。


夜光花『月を抱いた』は再会もの。受が攻から逃げる理由が中々明かされないので
それに引き込まれて読んでしまえる感じか。まあ攻の執着についても書きこんでいて
さりげなく狂気めいている辺りについてはうまく表現できていると思ったが。
しかし攻の妹が受に執着していた原因やその態様というのがやや陳腐かつ安易かと。
散々受が追い詰められた(そう移入できる表現ともなっていなかった気もする)挙句が
勘違いというか周囲の配慮に基づく誤解だったというのには些かならず拍子抜けして。
読めなくは無いしエロも適度に濃いしカタルシスも得やすいストーリー展開なので
お気楽好き以外では楽しめる向きも多いであろう。全般にあと一味といった感じか。


久我有加『何でやねん!』はなあ、いい加減この人の関西弁にも飽きてきたというか。
良くある話で、トラウマを抱えた表面上気が強いが実は繊細な受の頑ななガードを、
攻が好きだ好きだと叫ぶことでほだして越えていってラブラブになるというものだが。
もともとトラウマ系の話自体は嫌いではない私でも、流石に長年801を読んでいれば
食傷というものは自ずと生じてくるわけで、本作などはそれを感じてしまった作品かと。
理由を考えるに、関西弁で迫る攻とかトラウマの原因となった人物の偶然の再会とか
勝手に理解して茶化す友人とか相手を思ってのすれ違いとかのお約束の集積以外に
付加的な何かを見出すことができなかったからではないかと。要は新奇さが無い。
私の趣味の問題もあるのだろうが、どうも計算してバランス良く書かれただけの印象を
拭い去れないばかりか、さらにそれを関西弁でごまかしているような邪推まで生じたし。


名倉和希『ずっと、初恋』は良くも悪くも懐かしいというか無難というか。
長年の初恋がお互いの努力と偶然により実っていくのだが、受攻いずれについても
性格や恋情が古風だし、筆使いも穏当に進むし、ライバルも最後は紳士に動くしと
古き佳き「やおい」成熟期の佳作を読んでいるような感じだった。絵も赤阪RAMだし。
こういう筆致だとお約束が多いこと自体のみでは減点対象にはならないんだなあ。
まあ例によって受が無自覚にもて出すのはち蛇足だったかなと。あと最後の話も。
わざわざ横恋慕してる高校生視点でよろめきやHの目撃談を書くのは悪趣味では?
まあ上述のごとくの筆致なので酷いわけではないが、ちょっともにょってしまったり。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
[PR]

by bonniefish | 2004-06-24 01:22 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 06月 14日

逃避続き

花月咲夜『恋愛引力レベルMAX』はよくある明るい攻の勢いに受がほだされるもの。
受の内向性がトラウマ起源であることは当然として、明るく振舞う攻めの方にも実は
心の傷があるとなれば、お気軽な読者の心はがっちり鷲掴みでしょうなあ。
まして受のほうが自らが教師であることを気に病んでいったん自ら身を引いてしまい、
その上で慕情に身を焦がすんだからもう完璧。最後は当然甘甘のハッピーエンドで。
続編ではしっかり掻き回されてくれる辺りも「せつなさ」とやらの演出に役立ってますし。


高城響・鷹匠早紀『たぶん、きみが好き』はもう芸能界内部の話という時点で割引が。
話自体ただの浅い甘甘系として括ってしまえばそれまでだが、受の職業が指揮者では
こちらとしてもさらに突っ込みが激しくなってしまうし。もう少し音楽の素養を出そうよ。
この若さで正指揮者ということのありえなさや、曲についての説明の少なさについては、
いくらなんでもどうよとため息をつきたくなってしまった。ていうか全てが芝居くさい。
いちおう「センシティブ」な共感を描こうとしているし、こういう分かり合い方を書くことは
個人的に評価していいことだと思うんだけど、他がこれじゃあなあ。もにょりすぎました。


鈴木あみ『フェイクでシュールなドラマ』は、日陰の身から新たな恋人に救われるという
よくあるパターンのストーリーに終始するのかと思ったら、三角関係に裏があって
トラウマが絡んだり攻の能天気な行動に伏線があったりと意外と読ませられてしまった。
どうしてもこの作家にはエロ重視というイメージが固まっていたのだが、本作を見るに
若干は軌道修正しないといけないかと。まあ続編の方ではどエロに終始していたので
修正の幅はそう大きくないであろうが。つうか新婚旅行ネタは止めて欲しい。切に願う。


月上ひなこ『君が思うよりずっと』は、義兄弟もので、依存性向が強い兄視点で動く話に
ついていくのが少し辛かった。この主人公が美形で天然で実は気弱とかという設定な上、
攻も含めて素直に進んでいかないため、読んでいてこちらも振り回されてしまう。
ストーリー上のイベントは多いし、割と早期から互いに好きあっているのが伺えるので、
多少の安心要素はあるのだけれど、やはり微妙な居心地の悪さのようなものを感じる。
そのファンキーさを許容できるのであればなかなか読める作品として評価できるだろう。


小塚佳哉『武装の麗人』は受と攻のコンボで一定の売れ行きが保証された作品か。
なにせノリは軽いが情に厚い実力はで男前のバンドヴォーカルと、超絶的な美貌を
怜悧な表情で押し隠した優秀なボディーガードですからねえ、垂涎ものでしょうなあ。
攻からの体の要求にあっさり応じながらも巧みにもたらされる快楽に翻弄されたり
気がつけば幼児的な一面に情にほだされ、しかもベタでストレートな愛情表現に甘え、
最後には訪れたピンチから救ってまで貰えるというフルコース。もうたまりませんなあ。
挙句に海外に去ろうとする受を空港まで追いかけ抱擁し同行を図るというおまけつき。
何も考えずにエンターテインメントとして読むには非常に適している作品かと。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
[PR]

by bonniefish | 2004-06-14 05:41 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 06月 13日

逃避と徹マン

もはや自らの心の弱さには感嘆すら覚えるしかないですが、まだ狂騒は続くようです。


また溜まっているので非常に簡単にいきましょう。

剛しいら『見知らぬ男』はAの方のもの。続編だが読ませることは事実。
ただやはり初読の衝撃がない分だけ微妙にだれというか、設定への甘えが見られる。
特に、役に完全になりきるという攻の行動が主眼で受が翻弄される前半は楽しめたが、
終わり近くなって急に脈絡無くラブラブっぽくなってくるのは正直どうかと思った。
あとやはり芸能界での挙動について書かれ出すと、個人的には嫌悪感が募るので、
前作を高く評価する身としてはもう少し安直さを脱した形で続編をものして欲しかった。


渡海奈穂『放課後は秘密のふたり』は、個人的にツボにくることが多い作家なので
期待していたのだが、やはりその期待を裏切らないでくれたので非常に評価は高い。
お互いにただ見つめるだけの関係から徐々にお互いが枠を踏み外していく様子を、
これだけ切々と書いてくれる作家はそういないと思う。読んでいて身もだえしてしまう。
さらにようやく出来上がった後であってもお互いの遠慮や躊躇いぶりを描いてくれて。
特に受のけなげさなどは感涙ものとしか言いようが無い。一家に一人欲しいねえ(爆)。
こういう(特に受の)遠慮を描いたものだと、いわゆる「朝ちゅん」作家に見られるような
自らへの甘えというか傲慢さ、幼さなどが鼻につく場合が多いが、この作家の場合は
そうしたエゴの押し付けは感じられず、むしろ自ら距離をおいていく様が描かれている。
私はこういう受の方が好きだなと。朝ちゅんは移入できなくなると辛いものがあるので。


のもまりの『ストリッパー』はホストものではあるが、ど派手さと強引な攻めだけで
話を進めるのではなく、それなりにうまく転がしていたので悪くは無いと思った。
受の設定や行動などはありきたりになってしまいがちなのに、それでも読ませるのは
構成力や筆力のせいなんだろうなあ。漫画に倣ってしっかりプロットを立てたのか。
それにしてもホスト物には毎回のように「若くて才媛で豪気なパトロネス」が出てくるが
いったい何故なんだろか。攻のライバルになるから男が出せないというのは分かるが。
女性読者はどう読むのかねえ。自らの仮託だったらどうしようかしらん。


黒部千世『愛の罠、恋の蜜』はなあ、芸者屋という舞台の特殊さや攻が女装したりと
なかなか破天荒な設定だし、酔って関係を持ってからも中盤で妙なイベントが入り、
後半までトラブルが引きずられるというのも長編の展開としては珍しいだろう。
実は密かに文章のテンションが高いことや、軽いように見えてそれなりに心情移入が
できるように書いている辺りが悪くないので、あわせて一本という感じの評価だが、
ストーカー騒ぎや中盤の一夜等、妙なイベントを入れた割に処理できていないのが×。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
[PR]

by bonniefish | 2004-06-13 05:41 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 06月 05日

放置はいけません

心理的な余裕の無さに紛れてまたご無沙汰してしまいました。いやはや。
生半可な覚悟で目指すべきではない道に安直に入り込んでしまったことが不安を生み、
しかもそれに翻弄される未熟さと怠惰さには自分ながら嫌気がさしてしまいますが。

というわけで相当数感想を溜め込んでしまったので、以下一言づつ。


剛しいら『ホテルに隠れましょう』は、AともBともつけがたい感じ。
章間に挟まれる本編と関係ないモノローグはどうかと思ったが、話は動いているし
設定の派手さにため息をつきつつ読むことは出来た。ネタの割には文体が堅いかも。
画家の設定のご都合ぶり(天然が知性派の仮面を被るって・・・)にはクラクラきたが。


阿川歌織『灼熱の視線』は前半はオーソドックスなリーマンものとして読めたけど、
続編に入るに付け「濃密愛」(要はドエロなだけ)が鼻についてくる羽目に。
まあ当て馬に翻弄される場面での懊悩をぐちぐちと書かなかった辺りはましかと。
文章もそれなりに整っているし、読み物としては無難に楽しめるのではないか。


中原一也『タイムリミット!』は年下に翻弄されるリーマンものの王道を行っている。
受のほうを予めゲイとしていたり、昔の男の使い方が悪くなかったりするので、
読んでいて不快感は覚えなかったが。結末のご都合大逆転はご愛嬌ですかねえ。


飛沢杏『愛より深く』は受の陵辱ものだが、攻が陵辱する理由付けが割りと明確だし
それをお互いに乗り越えていこうとする話でもあるので、陵辱ものにしては読める。
まあかっこいい男とドエロが書けるという理由だけの安直な話が多いですからね。
心情描写からカタルシスを得る読者と余計な描写と感じる読者とどちらが多いのか。


うえだ真由『みにくいアヒルの子』は男子高校生のほのぼのベタベタ系ですな。
自分だけが良さを知っていた攻が格好良くなったのに焦る受というのは悪くない。
攻のボケや何気な鬼畜っぽさなども効いているし、小奇麗にまとまった佳作かと。

榊花月『でも、しょうがない』は榊節全開で。微妙にずれた面々の微妙にずれた日常。
独特の切り捨て方とテンポは嫌いではないし、キャラも多いが割りと立っているので、
動きある話を楽しみながら追うことが出来た。落ちも好みではないが効いているし。
この人はこのずれを抑えて書いたシリアス物のほうが味があって好きなのだが、
それでは売れないだろうしなあ。こういうポップなものでも楽しめるから良いのか。
まあ合わない人には合わないだろう。読んでいてめまいがしてくるもの。


月岡くらら『海までお散歩』は、幼馴染同士がボケボケながら互いの好意に気付く
ベタベタストーリー。大きな事件も無い中でゆっくりと気持ちが固まっていく展開は
割と好みな方なので、こうした毛色の作品にしては珍しく高めの評価となっている。
たまには甘酸っぱい懊悩めいたものに浸りたいというときもあるわけですよ(爆)。


小川いら『二人だけの楽園』は庇護欲をそそる受がうまく書けている佳作といえよう。
攻の天真爛漫さ(特にH関係で)は趣味ではないが、文体と話の雰囲気も合っており
地に足がついた読後感が得られた点は評価すべきかと。でもやっぱご都合すぎか?


飛田もえ『海色のドロップ』は兄弟ものですなあ。実は血縁ではない辺りの設定は
ありがちでも、受である弟視点からの書きぶりはなかなか雰囲気を醸し出していて、
割と好感を持っていたのだが、中盤からのすれ違いの中で肉体関係を持たせたため
描写がそちらに傾いてしまい、心情描写が薄くなってしまったのには失望させられた。
エロを書き込みにしてももう少しうまい処理の仕方はあったであろうに惜しまれる。
あと別離はともかく、再会まで10年もかけた上であっさりくっつけて再会Hというのは
付いて行けず勘弁して欲しい。構成の甘さが佳作への道を塞いでいるのはどうかと。


葉澄梢子『恋愛の呪文』は設定の新奇さや周辺キャラの置き方のうまさで読めた作品。
日常のストレスを遊園地の子供ショーで晴らす受という設定はうまい。ベテランですな。
続編での気持ちのすれ違いもそれなりの裏づけのあるものとして書かれていたために
あまり倦むことなく読むことが出来た。まあ隣人になる辺りはちょっとご都合過ぎかと。


・・・あと6冊(!)ありますが、疲れたので一旦この辺りで。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
[PR]

by bonniefish | 2004-06-05 16:21 | 小説感想 | Comments(0)