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2004年 03月 19日

怒涛の連続飲み

退社に伴いほぼ毎日送別会や壮行会を開いていただいています。
非常にありがたいことで、お誘い頂いた方に感謝するとともに、この3年間微力ながら
人の役に立てていたのだなあとも思う今日この頃であります。
しかし肝臓には非常にヘビー・・・。体重計になんて怖くて乗れません・・・。


愁堂れな『淫らな罠に堕とされて』は作家で買ったのに始球式一歩前だった。
この作家名にはプラス印象を抱いていたのだが、見直した方が良いかもしれない。
とにかくストーリーが碌になく、いきなり攻に強引に抱かれてずるずると行ってしまう。
話の筋はあるものの、単なるエピソードと言って良いレベルで、あとはひたすらH。
最後に種明かしがあるけれども唐突で、まったくフラストレーションを解決してくれない。
後日談は内輪ネタの妄想話で全く中身のないもの。ファンブックならいざ知らず、
できあがるところも描写もろくにないカップルについてのろけを書かれても、
全くといっても良いほど楽しむことができず、目はひたすらに泳いでしまった。
キャラ文庫から新刊が出ているらしいから、それがこの作家の見極め作になると思う。


畝ちうさ『それは僕の罪』は、新人の作品にしては悪くはなかったと思う。
伏線がぎこちなかったり、展開の緩急の付け方がおかしかったりするものの、
ベタな話の割にはそれなりに読むことができた。自分と合う個性を持っているのだろう。
まあ王道パターンを踏みすぎているので展開が見えやすいあたりはどうかとも思ったが。
先が読めているのに話が進まず、もどかしく思えて読み飛ばし気味になってしまった。
攻の不器用さの描写がうまくできていたあたりはある程度評価できると思う。
おそらく文章のぎこちなさがもたらした偶然の産物なのだろうけれど。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-03-19 18:24 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 03月 14日

作家の性向とレーベル

そう大したことを語るつもりではありませんが、まあ仮題としておこうかと。


神奈木智の作品をたまたま続けて読んだのだが、その印象の違いに驚く。
先に読んだのがキャラ文庫『無口な情熱』だが、こちらは読んでいていらつくこと。
何せ主人公(受)をボケキャラに設定したのはいいが、主人公が様々な感情の機微に
気付かないシーンがだらだらと、しかも一人称なので言い訳つきで展開されていて、
「ボケて愛らし」くしたいはずの受がただの「勘違い系自己憐憫馬鹿」になっている。
いや受の馬鹿な思考にいちいちつき合わされるのは本当にストレスがたまりますよ。
この作家は三人称がデフォルトで、割としっかりした説明の落ち着いた文章を書くから、
こんな風にライトでお馬鹿なキャラを書こうとすると作品全体が物凄い軋みをたてる。
なぜボケているのか、なぜすれ違いが起きたのか懇切丁寧に書こうとするスタンスは
本来褒めるべきものであっても、結果的にその丁寧さが受の悪い面を際立たせたり
文章全体に言い訳臭さやくどくどしさを与えることになってしまっている。

おそらく作家としては、一人称小説である以上、主人公の心の動きについては
理由まで含めてしっかり書きたかったんだろうけどねえ、その努力は買うけれども
結果として作品にしてしまうとその試みは大失敗であったといわざるを得ない。
そもそもこの作家に対し、ボケ系のものや一人称のものを書かせること自体が、
個人的には間違っていると思う。初期のこの作家の名作群の性向からしても。
しかし世の出版社・編集者というのはそれを許さないものなんでしょうかねえ。
この作家もそういう方針に乗って自らにそぐわない駄作に近いものを書いているし。
作家が消費されていく様は何人も見てきているが、この人はそれでも生き残るだけの
地力があるだけに、能力が蚕食されていく様を見続ける羽目になってある意味辛い。


その点、後から読んだショコラノベルスの『楽園は甘くささやく』の方が安心して読めた。
三人称の文章は整えられていてすらすらと読めるし、描写も適度に加えられている。
まあ主人公(受)が母親絡みでトラウマを抱えているというお約束パターンになってしまい
それが作品(主人公)に与えたい効果の割には深刻なものとなってしまっているあたりや、
主人公を巡り攻の側で兄弟げんかが起きたりして家庭環境が揺らぐ辺りなどは、
ストーリー全体の流れを乱しているし、散漫な印象を与えている感が拭えないけれど。
主要キャラが多すぎる点と、エピソードを詰めすぎていることも原因だとは思うが、
結果として各キャラの心理描写にページ数が割かれていないのは誠に残念であった。
佳作ではあるけれども、文章力があるせいもあってあっさりと読み終わってしまい、
それ以上の印象を与えるものではなくなってしまっている気がする。
いろいろと料理すれば際立つだけの素材は揃っているだけに勿体無いなあと感じた。


あと読んだのは榊花月『永遠のパズル』で、これもトラウマに頼りすぎというか何とも。
心に傷を持つもの同士が惹かれあったということなんだろうけれども、主人公の攻が
好きだと言い寄る受になぜほだされたのか描写をろくにせずいきなり抱く所や、
体だけの関係を持っている段階での攻の心理描写が少なく、攻の受に対する行動が
素っ頓狂に見えてしまう辺りとか、ラストシーンで去ろうとする受を引き止める描写が
唐突であったりとか、読んでいて散漫でご都合的な印象を受けてしまった。

まして続編は受のトラウマをえぐられる事件が終わらないまま、攻が救いに来たから
それでももうこれでいいんだというような終わらせ方で、不快感を覚えてしまったし。
世の中は酷いものなんだから愛する人から理解さえされればそれで幸せなんだ、との
発想はそれなりに理解できるけれども、作品にするならもう少し救いが欲しいなあと。
(というかそもそもそこまで深い達観を書こうとはしていない気がするし。)
なんだか芝居の書割のような淡白さというか細切れ感のようなものを感じてしまう。
前に篠田真由美の『この貧しき地上に』を読んだ時にも感じた感覚ではあるけれども。


あと、角川文庫になったあさのあつこの『バッテリー』の1巻を読みました。
確かに非常に思わせぶりな物語ですなあ。評価が難しそうだ・・・。
メッセージ性の強い話を正面から受け止めるような青さや無知さは持ち合わせずとも
全く認めず袈裟切りにして嘯くことのむなしさも承知しているつもりなのでね。
文庫版の作者あとがきを読んで本作への評価が下がったとだけは述べておこうかと。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-03-14 16:07 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 03月 10日

これからの801生活

長くなりそうなので分割しました。
引越しに伴って買いためてきた801雑誌を整理するかどうか検討中です。
ある種の「文化的価値」(笑)があるから捨てずに来たけど、保管に限界が来ましてね。
現状実家と寮に分散しているものを新居に収めきれるかどうか判らないもので・・・。

下に書いたブックオフで沖田翼のリーフノベルスを2冊買ってきたので読む。
『Kiss me,生徒会長さま』は昔読んだ気もするがライト型ですな。
罰ゲームで告白した相手と付き合ううちに相手の優しさとトラウマを知って好きになるも
最初の告白がおふざけだったことがバレて一旦破局を迎え、再告白してハッピーエンド。
全般に当り障りの無い話だし一人称だし展開も安易でただそれだけの話なのだが、
この人の作品には妙に惹かれてしまう。一体どこがいいのだろうか?
『君がここにいるから』という作品も2冊手許に置くほど妙にツボに嵌ったのですが、
イラストの効果(遠野麻紀嬢)を差し引いても自分の中に渦巻く「萌え」の原因を
うまく説明することが出来なかったし。作者と波長が合うのだろうか・・・。


もう1冊の『課外授業は制服を脱いで』も結構よく、ツボに来る感じを久しぶりに味わう。
受が攻を好きになる理由はあまり描かれずにいきなり冒頭から付き合い始めるのだが
その後の攻の情動とか受の設定とか関係の進展具合が個人的にかなりよろしいかと。
割とエロが多めで翻弄系なのも否定要素とは全くならないのはどういうわけか。
受と攻の視点が入れ替わるのにも萎えないのだから、もう好みとしか言いようが無い。
今調べたら移転したサイトも見つかったので、暇になった時の楽しみにしておこうかと。


水壬颯子『ディール』は『エスコート』の会社を舞台にした別カプ話ですな。
これはハーレクインっぽい派手さがなりを潜め、互いにトラウマを持つもの同士が
それぞれの傷を埋めあいながら関係を深めていく様がスタンダードに描かれている。
個人的には前作よりも本作の方が好ましいが、世間的には逆なんだろうなあ。
義父と義兄から性的虐待を受けてきた受がいきなり拾われて逃げ出すという冒頭や
途中で連れ戻されるのを間一髪で助け出されるのはもう使い古されたパターンだが、
拾った攻もトラウマを抱えていて受をいきなり抱いてしまうという展開や、
受が割りと気丈で関係を切り開いていくあたりはなかなか面白いなあと思った。

しかし考えてみれば義父と義兄の両方に手を出されているというのは珍しいかも。
ただ受の気丈さからして、それを甘受していたという点には説得力が欠ける気もする。
攻と出会って自らのあり方に自信を得て気丈になったとも考えることはできるけど、
だったらその辺りを書いてくれないと、元来気丈だったのではという類推を拭えない。


松浦巽『唇にハードボイルド』は、Hシーンが多く、しかも801のノリとは違う感じ。
受はスポーツ的に身体を交えていくし、強姦的に犯されても快楽を貪っていくなんて、
ゲイポルノに近いのではないかという類推(読んだこと無いのでねえ)が働く。
というか登場人物にホモが多すぎるし、ストーリーは骨組みだけであとはHシーン。
そのくせ掛け合い漫才めいたり妙に笑えるマッチョが話をかき乱したりともう破天荒。
そもそも主人公カップルの馴れ初めが描かれないうちから、2人は1度寝たことがある
顔なじみとして話が進んでいくなんてのは、ある意味商業として横紙破りであろうかと。
まあそこがある意味意外性や吸引力となっている部分は否定できないのだが。

しかしゲイフォビアのM青年が被虐心を満たすためだけに男に抱かれるなんて設定、
私の耽美嗜好が思わず刺激されてしまいますね。倒錯性のなんたる的確な表出か!
まあでも先述の通り心情描写を二の次にしてハードなエロがこってりというノリなので、
倒錯を弄び反芻して酩酊するなどという方向には持って行きようがないのですが。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-03-10 00:00 | 小説感想 | Comments(0)
2004年 03月 09日

本の整理

引越しの関係で実家にあった西村京太郎と赤川次郎と群ようこをブックオフへ。
考えてみれば自分で買った本を捨てるのはほぼ初めてで、ちょっと感慨めいたものも。
段ボール2箱持って行っても1000円強でしたが・・・。

ストレスから落ち着いて本が読みにくいため801ばかり読み散らしています。


はるか真朝『その声に包まれたい』は雑誌を読んだときにもクラクラした話。
何せ引越し先で小学校の下校放送の声に聞きほれたら、その小学生と町で出くわし、
捨て猫を拾った縁などで親交を深めていると告白されるというストーリー。
なんだかなあ・・・と思いつつも本作への親和性を否定できないことへの諦念が、
却っていわゆるときめきめいた感覚をより強調するわけですね。業とは全く恐ろしい。
しかし姿が見えない状態で声に聞きほれるというきっかけはなかなか面白い。
続編になってから相手の将来を勝手に思いやってドツボに嵌るのはお約束ですが。
評価眼が曇ってしまっているのは承知ですが、まあ佳作ではないかと。


榎田尤利『Largo』は作家で敬遠しようとしたのだが(昔痛い目にあっているので)
イラストとあらすじに惹かれて購入。まあなかなかよろしかったのではないかと。
ピアノネタで、天才に惹かれる秀才という非常に良くありがちな題材だが、
筆力は一応ある作家が料理すればそれなりに読めるものになるのは道理かと。
(前読んだのは設定が酷かったからなあ。死体が動き出したんじゃなかったか)

まあ曲名が章タイトルたったり音楽ネタで怪しい箇所があるのにはもにょりましたが。
絶対音感の説明で電話の音を「ミ#」と表現している箇所があって、もしかしたら
これは「Eの若干高い音」の意味なのかもしれない、という慎重論が頭をよぎりつつも
「EとFが短2度だとも判らず適当に書いたんだろうなあ」と思ってしまったり。
あとまあ勝手にお互いを思いやりあってドツボに嵌るのは定番なのでいいですが、
本作はいささか暴走傾向があるかなあと。特に攻が私には破天荒に思えた。
他には当て馬が巧妙に動きすぎというか引っ掻き回しすぎというか。
障害児への音楽教育みたいなネタも出していたけど、正直消化しきれていないし
わざわざ登場させた意味が見出しにくい、というか逆効果にも感じられてしまった。


桜井ちはや『gift』は無難なアイドルもの。マネージャーが受なのは珍しいか。
まあ案の定仕事のカタに身体を要求するプロデューサーが出てきたり、
デートが雑誌にすっぱ抜かれ(しかも女と間違われる)受が動揺して別れようとしたり、
「芸能界」の「因習」を打ち破って「天才」の「努力」で世界にはばたいてしまったりと
胸焼けしそうなフルコースが用意されている訳ですが、まあ読めることは読めました。
しかし相手に嫌われたくないから本音を言わずに誤解されて揉めるという展開は、
特にくっついた後の話では8割以上の確率で出てくるけど、そんなに好まれるのか?
恋愛がうまくいかないのは相手が自分に遠慮してるからに過ぎないのだという感覚を
抱きたいのだろうか、それとも逆に言いたい事を言わないのがリアルでもデフォなので
読者が感情移入しやすいからこれだけ頻繁に用いられているのだろうか。
・・・まあこんなことを邪推するのはひたすらに野暮ですけどね。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-03-09 00:02 | 小説感想 | Comments(0)