カテゴリ:漫画感想( 257 )


2012年 12月 04日

玻璃鏡の曇り

ここ数週間は接客的な要素を含む仕事が一段落していまして,飲み会は多いものの
比較的落ち着いた日々を過ごしています。とはいえ積読本の多さは相変わらずですが。


さて,またぞろ本ブログの本旨とは異なる話題ですが,ナヲコ女史の新作目当てに
禁忌アンソロなる『Feroce』を購入しましたゆえ,一言コメントをしておこうかと。
(前回の記事の一部だったものを長くなりすぎそうだったので独立させたものです)
とはいえ,既に畏友がコメントを残しており,しかもお互いの評価している作品が
かなり重なっているということもありますので,一言だけ触れるに留めておきます。

全体としての感想については,上記リンクをご参照くださいと言うほかないのでして,
何が「禁忌」かという定義すらあいまいに作品を寄せ集めたのみとの評価は否めず,
統一感に乏しいといわざるを得ないですし,「一般的でない」恋愛を描いたところで
それをただ提示するだけでは百科事典や博物学的な見世物主義にしかなり得ません。

「禁忌」である以上は,それを犯すことへの「恐怖」「畏れ」「躊躇い」を描くか,
それを犯さざるを得ないような「激情」「本能」,その後の「背徳感」「罪悪感」を
書き込んで欲しいと思うのは,過度に文学的な古いアプローチなのでしょうか。
「JUNE」の原点であり,初期の「やおい」にこそ見られたものの,近年の「BL」から
ほぼ失われた「男同士であることの必然性」という視点にも繋がると思うのですが,
そんな複雑な情動の描き込みは,使い捨てられる「萌え」には不要なんでしょうね。


本作でのベスト3は,渡まかな『泪は弧を描いて』,水瀬るるう『やさしい毒』,
ナヲコ『アイドル同盟!』になるかと思います。話も画力も申し分ない感じです。

『泪~』は,男女の双子間の報われない恋愛感情をストイックに描き切った好作品。
重くなりすぎずとも,前世からの宿業をにじませ,関係が許されざることを知るも
想いを止められない主人公の想いや,それを弄ぶかのような背景に心動かされます。

『やさしい毒』は,小悪魔的な高校生男子が既婚の女性国語教師の隙に付け込み,
無邪気にかつ残酷に籠絡を図るという作品。実際は教師の髪をセットする場面での
危ういやりとりがメインなのですが,その後の頽廃的な展開が見てとれるようで,
最終ページのお互いの眼が描かれない会話の応酬にはゾクゾクとさせられました。

『アイドル~』は,男女の同性アイドルカップルの交流と深化を描き出した好作で,
互いの存在を知り勇気づけられるとともに,交際報道を機に先輩格の男性カップルが
双方出演の生番組でカミングアウトをする展開には説得性もあり楽しめました。
ただページ数が少なく,双方の感情の深まりや,出会ったことによる変化については
上述した程度にしか描かれていないなど,芝居の書き割りのような印象は否めず,
同女史のファンとしては愛でつつも惜しまれるという感が強くなってしまいました。
なお,畏友も触れた通り,受の「さくや」のショタ的な可愛さはピカイチです(笑)。

他には,悪口を言い合いお互いに仲が悪いと思っていた姉弟が,父親から悪口を
禁止されたことを機に互いの距離の近さと恋情に気付く大塚子虎『ディプラデニア』,
ベタなテンプレ作品が最終コマで見事一気に背徳感を帯びるHisasi『甘いとき』,
といったあたりは悪くなかったですが,その余はまあ・・・といった感じでした。


そろそろ『ひらり、』の最新刊も届きますし,同アンソロの番外編『ほうかご!』も
なかなかの出来だったので,一度まとめて感想を書いてみたい気もしていますが,
いつも通りのやるやる詐欺になりそうな気もしています。忘年会も続きますし。
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by bonniefish | 2012-12-04 23:36 | 漫画感想 | Comments(0)
2012年 11月 23日

警鐘に耳を欹て

はや帰国後4か月を過ぎることに愕然としつつ懶惰に日々を過ごしております。
都下の勤務は残業こそ減りましたが仕事の種類が増え,また接客的(?)な仕事も多く,
なかなかに慌ただしい中,通勤に鉄道を使わなくなったためその分の読書時間が減り,
在米中に身についたネット中毒が抜けきらないまま時を浪費する傾向にありまして。

せっかく減らしていた購入量も最近は2~3割増しになっていますので,実家にあった
膨大な積読本についてはコミックこそ処理できましたが,文庫本は諸ジャンル合わせて
80冊程度に上り,一人暮らしのワンルームの一画でうなりを上げ続けております・・・。

ともあれ流石に1年分の積読本を読むと一言コメントしておきたい物も少なくありません。
昨夜佳作を読んだ勢いのまま,手許にある分だけでもいくつかご紹介しておきましょう。


名取いさと『日陰蝶』は,表紙の受らしき剣道少年の色気に惹かれ試し買いしましたが,
これが頽廃した淫猥さや昏い欲動に満ちつつも受のストイックさを良く醸し出していて
なかなかに堪能できる作品で,思わず3度読みして悦に入ってしまった次第です。
(もっともこれは後述の理由により読み込みを強いられたせいでもありますが。)

脇役のカップル(?)の描写が過剰気味だったり,逆に受攻ともに当て馬役との関係や,
攻の教師の過去などがあまり描かれていないためにやや分かりにくくなっていましたし,
何よりメインカップルが出来上がった瞬間に話が終わっているなど消化不良な点も多く,
構成力不足との評価は否めなさそうですが,それでもぐいぐい引き込まれる作品でした。
メインの3人に話を絞って描き切れば素晴らしい作品になったことは間違いないかと。
今後の作品にもかなり期待できますが,この脇カップルの話ならもういいかな・・・。


上作から頽廃さと不健康さを取り去りリア充さとおバカさを加えたとも言えそうなのが
如月マナミ(渡海奈穂原作)の『純潔ドロップ』。同じ高校を舞台とした兄弟作の一で,
もう片方は全く性に合わなかったのですが,本作は明るさとエロさのバランスが秀逸で
渡海奈穂の良い面(というか私の好きな面)が存分に出ていて非常に楽しめました。

顔は良く勉強もできるが天然ボケの攻と,スポーツ万能でストイックだが単純系の受が,
天敵であったにもかかわらず不意の邂逅から校内で性的な触れ合いを持つようになり,
互いの幼さからこれにのめり込む中で,攻がS的な喜びに,受が自分のMさに気づき,
最終的に互いにハマってカップルとして出来上がるいきさつが生き生きと描かれます。
一見どちらも受っぽく,受の方が攻くさいのですが,これが快楽に負けていく姿が
本当にエロかわいく,無邪気なSとわんこ系受の初々しさにかなりしてやられました。
(しかし受の方が気力体力があるので下剋上的要素も否定できないという美味しさ。)


他は実家に収容してしまったものも多く,手元に残してあるものだけ若干触れますと

ややテンプレやドタバタ劇に終始してしまい,各キャラの恋愛感情の深化の描写が
浅くなってしまったのが惜しまれるものの,相変わらずのキャラの可愛さは秀逸で
誠に微笑ましく,気軽に明るく楽しめたナナキシコの『お兄ちゃんの言うとおり』,

設定オチに近く各キャラの言動も破綻しており読書中いらつきすら覚えるダメさも
(しかも一見そうは見えないし,むしろ売れる要素が満載というのがまた度し難い),
零君が性格から見た目から全てドツボでやめられないあべ美幸『SUPER LOVERS』,

「エセファンタジー」になったことで設定等のいい加減さがさらに増した気もするが
脱力系でしなやかな各キャラの魅力がたまらないせのおあき『裏の祠の狐憑き』,

等が特筆すべきかと。最近とみにキャラの可愛さに弱くなっている気がします・・・。


あとは古い話ですが『小説Dear+ 2011 アキ号』掲載の渡海奈穂『いばらの王子様』。
朴訥としつつホモは隠せない田舎の旧家の長男である攻と,その幼馴染みのいとこで
元来の天の邪鬼ぶりがとある事件でさらにひねくれつつもデレ要素も残した受とが,
7,8年ぶりの再開を機に攻が受の手練手管であっという間に絡め取られてしまうもの。

いやこれが受の魅力の描写がたまらなく,かつての美少年時代の小悪魔的かわいさや,
現状のひねくれっぷりの背後に覗く純情さや必死さにもうしてやられること必至です。
ラストシーンでの受の述懐と,それを乗り越えるほど受にはまっている攻の心情が
どちらもとてもリアルに描かれており,久しぶりに801小説の妙を味わえました。
さすがは渡海奈穂の面目躍如でして,せのおあきの美麗なイラストも最高でした。


この夏は数年ぶりにアニメにハマってみる(米澤穂信原作の『氷菓』です)など,
若干の新機軸もありましたが,気がついて見れば十年一日の生活を送っております。
今後に向けた活動等もしていないではないのですが,まあ暫くは現状維持かなあと。
たまにはこんな長文をものしたり戯れにスキンを変えてみるもの悪くないですしね。
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by bonniefish | 2012-11-23 15:57 | 漫画感想 | Comments(0)
2012年 04月 18日

タイトル一覧(コミック編)

というわけで購入した801コミックの一覧は下記のとおりです。
なるべく購入量を抑えているので8割以上くらいが固定作家さんな気がします。
というか全くの新規開拓は5冊(永野,青井,大沢,野本,鈴目)しかない気が・・・。
作家買い(作品コンプリート)をしている人も多いですが,複数買っているにも拘らず
作家買いではない人もいるので,自分でも基準は良く分からないところもあります。

タイトルを並べていると,読みたいという衝動が久しぶりに高まってきましたが,
送ってもらっても荷物になるだけなので,まだしばらくはお預けですね・・・。


RINO『10年たっても愛してる?』
あべ美幸『SUPER LOVERS 3』
あべ美幸『SUPER LOVERS 4』
あべ美幸『初恋』
スナエハタ『とろける半熟友情クエスト』
ぢゅん子『傘の下ふたり』
トワ『秘密にスキャンダル』
ナナキシコ『なつこいしっぽ』
雨隠ギド『悪人を泣かせる方法』
雲之助『きみに注ぐ』
雲之助『こっちにおいで』
雲之助『男の子と恋』
永野クロエ『午睡の森で、』
乙里玲太朗『ぐる〜〜っと3回まわって!』
乙里玲太朗『上からエロ執事様』
乙里玲太朗『僕ら、我慢できないの!』
菊屋きく子『ひみつの棘』
菊屋きく子『間違いだらけの愛情表現』
三池ろむこ『ふつりあいなチョコレート』
三池ろむこ『ゆうぐれのまち』
山本小鉄子『ほんと野獣 5』
秋葉東子『俺を愛してもいいんだぜ? 1』
青井陽『花かぐわし』
大月クルミ『6LDK〜大型犬が入居しました』
大月クルミ『恋ひ恋ひて』
大沢あまね『ベランダでランチ』
藤谷陽子『るったとこだま3』
楢崎壮太『Go for it!! 2』
楢崎壮太『アオイコイ』
氷室桜『キミのとりこ』
平喜多ゆや『恋の微熱がさめなくて』 
野本なぎな『ストロボスイッチ』
倫敦巴里子『或るミステリ作家とその担当編集にまつわる記録』
鈴目ゆら『年下男子は待てができない』
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by bonniefish | 2012-04-18 09:22 | 漫画感想 | Comments(0)
2011年 01月 02日

新年のご祝詞

あけましておめでとうございます。本年もご愛顧の程,何卒よろしくお願い申し上げます。

本年は諸事情あって実家でのんびりと新年を過ごしております。束の間の平穏でしょうか。
今月末には内部異動がありますので,何かと気ぜわしいような更に暇になるような・・・。


さて,年明けらしく,昨年読んだ801漫画及び小説の各十傑をまとめてみようと思います。
とはいえ細かい順位まではつけませんので,基本的に順不同なものとご理解ください。
一応各作家につき1冊という縛りはつけた上で,適宜コメントしていくスタイルを取りました。
また,楽天の購入履歴を元に記憶喚起していますので,他のサイトから購入した書籍は
選考対象から漏れてしまっている可能性も否定できませんが,まあご愛嬌ということで。

〇コミック
・平喜多ゆや『ミラクルだとか恋だとか』
 全作品が良い作家ですが,表題作のカップル2人の初々しさと,本人的には微妙らしいが
 太い描線が非常に官能的で好みな「駆けて恋して」が入った(受の暴走も良い)本作を。
・志々藤からり『この恋に落ちてこい』
 801的な運動部ものには弱いのですが,この自意識過剰でツンデレな主人公があっさり
 攻に懐いた上,双方が意識しあって恋に落ちていくまでの流れがもうたまりません。
・宮城とおこ『遠い日の蝶』
 「G線上の猫」シリーズの番外編は,全く大人になれない年上組の痴話喧嘩もの(?)。
 まあどこまでもこの作家らしさを貫いた上ですべてが大団円ということでよろしいかと。
・やまかみ梨由『アンチロマンティストの憂鬱』
 まだ話が途中なのですが,原作由来と思われる受の心情の揺れやら攻の言動の描写が
 絵師の表現力もあいまってなかなかの好作かと。野守絵で見たかった気もしますが・・・。
・二宮悦巳『ももいろ倶楽部にようこそ(1)』
 これまた漂流するなりに激濃な萌えが詰まっていてなんともコメントに困る作品ですね。
 力量がある人が楽しみながら描く作品はやはり強いなあと。理屈抜きで楽しんでます。
・つげ雨夜『愛をください』
 この作家にもこんなにハマるとは思わなかったなあ。全ては『兄弟日和』からなんですが。
 独特の明るさやライトさに恋情の機微やさりげないエロが良いアクセンとになって良い。
・菊屋きく子『甘い恋の育て方』
 この人独特のかわいい感とぐるぐる振りは社会人を描いても変わらないし,それはそれで
 ありかなと思わせる辺りは流石かと。個人的には学生ものの魅力がたまらないですが。
・大月クルミ『初恋カンタータ』
 この辺りから好みが強くなってきますが,この人のあっけらかんとしたエロが結構好みで。
 キャラも魅力的だしエロさもあるし,原作付きでシリアス系のとか描かないだろうか。 
・ぢゅん子『キミノート』
 キャラのぐるぐるした可愛さにそぐうHシーン(しかもエロい)にはなかなか得難いものが。
 年寄りには眩しい面も強いですが,最近これはこれで別次元で愛でるようになった感が。
・しのぎじゅん/飛柳槞『恋は放課後に』
 こういうスタンダードなネタを,良い意味で古さを残した絵で描かれるとかなりツボだなと。
 学生ものが中心で,懊悩と青さが感じられるあたりも良いですね。野球少年には悶絶。

上記の他にも,新作がコラボ1冊に留まった三池ろむこや,雰囲気色やネタでの勝負感が
強まったのが惜しい日の出ハイム,ベタでギャル臭もするが好感がもてるやしきゆかり,
強いショタ色の中にも懊悩とエロを活写した牧本一子,やはり古めの絵で描く濃厚なエロが
個人的にツボな月河ユウヒ,お馬鹿さと淫猥さが奇妙に同化するタカヒサ亨等が出色かと。


次は小説についてですが,記事を改めましょう。とりあえずタイトルのみを(後で消します)。

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by bonniefish | 2011-01-02 16:46 | 漫画感想 | Comments(0)
2009年 02月 28日

延命措置

大分バックデートして2月の投稿にしていますが,なかなかどうも・・・多くは語りますまい。


・Dear+の『彩おとこ』が終わりましたねえ。最後は暗喩が過ぎる感もありましたがまあ。
 何だかんだケチを付けさせつつも読ませる辺りは流石ですなあ。大団円も嫌味がないし。

・『ウンポコ』を読み返し,あおいれびんがツボだと気付いて少し微妙な気分になったり。
 今更絵の色気だけで転んでもなあ。でもウンポコの4コマは設定も含めてドツボだし・・・。

・丸木文華の『兄弟』に続編が出ていてびっくり。取り急ぎ読むに相変わらずの濃密さで。
 食傷気味になりつつもそれなりに楽しんでいる面もある辺り,自分も随分変わったなあと。
 以前は血縁ものはダメだったんですが,最近親等が偶数なら読めるようになっていたり。

・なぜ上記のような話をしたかというと,『GUSH』のつげ雨夜の『兄弟日和』に嵌りまして。
 絵は相変わらずライトなんですが,全体の雰囲気というかコマ間がとにかく濃密に覚えて
 熱っぽい展開にのめり込んでしまって。特に稚さを残した常識人の弟くんの懊悩に悶絶。

・さらにSHY NOVELSの『姦淫の花』(『堕ちる花』の続編)というこれまた兄弟物の小説を
 注文した辺り,我ながら脳の腐敗っぷりに惚れ惚れ。まあ距離感の問題なんでしょうが。

・小説ではかわい有美子のCross Novels『空色スピカ』が学園もので,久しぶりに堪能。
 まあ生徒会のあり得ない権力っぷりや,作者独特のお約束過多などはあるのですが,
 十分に楽しめる王道ネタと展開,何より一日の長のある筆力で楽しませてもらいました。

・実は最近801絡みでなんと13年半ぶりの宿願が叶い,嬉しさの余り悶絶しております。
 長く生きていると偶には良い事もあるもので。年度末に向けての地獄の中の仏でした。

・余裕がない生活の反動で書籍の購入量も増えていまして,昨日の通販の合計額が
 なんと16,150円。最近カードの引き落とし額も右肩あがりで,貯金の伸びが鈍い・・・。
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by bonniefish | 2009-02-28 23:59 | 漫画感想 | Comments(0)
2009年 01月 24日

転向

もはや1月も最終週を向かえて初更新とは。己が怠惰さに惚れ惚れするばかりです。

昨年末に引越をして身辺が慌しかったことと,昨年12月から仕事が立て込んできて
帰宅が遅くなったことからこのような有様と成り果てたわけですが,ふと考えて見るに,
滞っている雑誌感想を書かなければ(そのために雑誌を読み返さなければ),という
偏執的ともいえる義務感からくるプレッシャーがあって,そこから逃れようという気も
更新を億劫がらせている主因ではないかということに改めて気付かされた訳でして。

正直現在の境遇に鑑みれば,過去のようなペースで気軽にやおいの感想を書くのは
困難な訳ですし,上記のようなほぼ無意味で個人的な偏執から何も更新しないより
適宜何がしかを書く方が良い気もしまして,今後は随時更新で行こうかと思います。


という訳であえて最近801について個人的に感じたことから数点。

・CRAFT vol.39での『セブンデイズ』,後半結構良い感じに盛り上がっていたのに,
 最後のオチが,当て馬についてもろくに処理せず,気持の確かめ合いもないまま
 両思いになった様子とその後のラブラブっぷりの片鱗を見せるだけで終わっていて
 ちょっと拍子抜け。特に攻の告白はもう少し理由を語らせた方が良かったのでは?

・金井桂『僕はお兄ちゃん。』は絵も軽めのノリも悪くなく楽しめたが,受の兄がなぜ
 義弟の片方を選んだのかについての説明が全くなくてびっくり。告白劇自体や,
 その後の展開も好みだし,おまけシーンのノリなどは個人的にツボだったのだが。

・桑原祐子『自動昇降恋愛』は一時期の妙なアニメ絵っぽさや脳内感も少なくなり,
 爽やかめの絵と明朗な展開を楽しめた。ていうかこの人ってこんなにエロかった?

・ウンポコvol.16の池田乾『戦う!セバスチャン』ではついにセバの両親が登場。
 ベースとなる設定なり発想はベタな物が多いのに作品になると爆笑できるのは
 斜め上な展開とそれを許容(超越?)して余りある既存キャラの濃さ故でしょうか。
 年4回程度のペースではやや寂しいですがネタ枯れ感が出なくてよいのかなと。

鷺沼やすな女史のサイトで小説ブログの更新が始まり,オリジナル作品に悶絶。
 同人誌収録作品ですので既読なのですが,あらためてしみじみと楽しめました。

 幼なじみの高校生2人の微熱を孕んだもどかしい関係が,やや晩熟の攻くんが
 女の子から告白を受けたことを機に揺らぎだし,決意した受くんが体当たりで
 告白をするという展開は王道ですが,これを攻側視点で,攻の心情と受の言動を
 きめ濃やかに,時に大胆かつ鮮やかに活写する筆力にはただ敬服するばかり。
 硬質な文章から斯くも柔らかな情感が伝わるさまを皆様もぜひご堪能頂きたく。 
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by bonniefish | 2009-01-24 23:59 | 漫画感想 | Comments(0)
2008年 12月 07日

重箱の隅つつきですが

まだアクセスが0にならないことに感謝しつつ,転居後の更新を我ながら願うのみです。


『BOY'S JAM』が休刊して,作家陣やコンセプトは『Dear+』本誌に吸収されるようで,
これ以上本誌のライト&エロ化が進んだらどうしようという危惧の念を禁じえませんが,
その『BOY'S JAM』の最終巻を読んでいてどうしても突っ込みたくなったことが一つ。

私はこのアンソロで阿久津柑子を知ってファンになり,掲載を楽しみにしているのですが
今回の『この弟,凶暴につき』を読んでいてあまりのミス(?)に思い切りもにょりまして。

この話は義理の弟(攻)が兄(受)に惚れ,受が寝た間に自分の左手と受の右手を縛り,
そのまま日常生活を始めた矢先の朝食中に,攻のスイッチが入りHするものですが,
この肝心の手の結び方が,コマを追う毎にまるで冗談のようにコロコロ変わるんですよ。

タイトルページで手が描かれている2コマは,いずれも受右手-攻左手なのですが,
2ページ目の1コマ目で受の手が左手に変わり,3コマ目にはまた右手に戻ったあと,
最終コマ(8コマ目)では今度は攻の手が右手に変わる。3ページ目の3コマ目では
なんと受の手がまた左手に変わり,この時点で冒頭の結び方と完全に逆転ですよ。

4ページ目の回想シーン明けでは当初の受右手-攻左手に戻るも,直下のコマでは
攻の手が再び右手になり,5ページ目の大ゴマ等も描かれますが,その左下にある
5コマ目では極め付け,受攻ともに左手に変わる。そして6ページで冒頭に戻ると。

その後のエロ絡みのシーンでは結び方は一貫しているのですが,22ページから
23ページの体勢に変化するにはそれなりにアクロバティックな動きが要るなあとか
もうそういう観点でしか見られなくなってしまい,余り楽しむことができませんでした。

おそらくはエロシーンを先にペン入れして,冒頭の部分は締め切りぎりぎりになって
作業した結果起きた齟齬だとは思うのですが,わずか6ページ足らずの間に8回も
結び方が変化するとは,もうプリンセステンコーも真っ青なのではないかと(笑)。
いくら慌てていたとしてもこれだけのミスをするとは粗忽の謗りは免れないでしょう。

しかし編集者も天下の新書館ですしこの齟齬に気付かなかったんですかねえ?
まあ気がついても手遅れで載せざるを得なかったのでしょう。こんな所に気付いて
わざわざブログであげつらうような奇特な読み手はそう多くないでしょうし(苦笑)。
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by bonniefish | 2008-12-07 23:27 | 漫画感想 | Comments(0)
2008年 09月 28日

Midnight Scarecrow

ついに思い立って霊験あらたかと聞いた神社にお参りし護符やお守りを買ってきたり。
あまり自分はアナログなタイプではないと思うのですが験は担ぎたいんですよね・・・。


【GUSH 8月号】 何気なく読み進める中つげ雨夜にいきなり持っていかれた印象の号で。
◎:つげ雨夜『兄弟日和』: 意外だったが濃密な情動を忍ばせた禁欲的な雰囲気が好み。
                血縁ものは苦手なのに禁欲的な雰囲気を求め読んでしまう。
  日の出ハイム『微炭酸恋愛』: 伝えたいメッセージの大きさに流された感はあるが
                    青春や恋心の甘酸っぱい爽やかさは十分堪能できた。
〇:梶本潤『その男、ロクデナシ』: トンでも設定やマッチョが控えめだと読めるのね。
   みろくことこ『ご主人様とたいへんよくできました』: ただ可愛いなあというだけだが。
△:葛井美鳥『発情アクセル』: メインのベタさも攻の異常さもやや行き過ぎかなあと。
   柚摩サトル『同じ角度で』: 独特のハイテンションさは社会人には合わないかなと。
   楢崎ねねこ『運命なのさ』: 予定調和だし新味も薄い。次回作には期待したいなあ。
   砧菜々『ブルードロップ』: 本編を思い出せないアルツっぷりに悶絶。飲み過ぎか?
▽:高永ひなこ『恋する暴君』,霧島珠生『そーゆーコトにしておけば?』,
   岡田冴世『想定外!』,越智千文『彼のドルチェ』,羽崎やすみ『学園ルンバ』
スルー:天城れの『俺様のトリコ』,かんべあきら『龍絡の華』,
     綺月陣『龍と竜~銀の鱗~』,トジツキハジメ『ウサマン』
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by bonniefish | 2008-09-28 23:59 | 漫画感想 | Comments(0)
2008年 09月 23日

弥縫一筋幾星霜

夏休みボケが抜けない所に厄介な仕事を続けざまに引き当てまして。お祓いに行くか。

皆様ご明察のとおり仕事で物理的あるいは精神的に忙しくなると更新が途絶える訳で。
早いところ更新が追いつけば感想のための二度読みの手間は省けるんですがね・・・。


【MAGAZINE BE×BOY 8月号】 ふと思うに本誌でもショートは全く肌に合わないなあ。
◎:桑原祐子『自動昇降恋愛-恋した10秒後-』: ほのぼのさとライトさと恋情の均衡が
                             良い所にこの可愛いエロが来てはねえ。
〇:たりらびー『I'm sorry』: 個人的に持ち味と思う奇矯な淫猥さが影を潜めてるのが。
   瀧ハジメ『逢い引きの森』: ようやく展開や設定から電波っぽさが抜けてきたので。
   舟斎文子『恋しかできない僕たちは』: このデカ可愛い攻と教師の関係はなかなか。
△:山田ユギ『誰にも愛されない』: 総ホモ化やらゲイキャラやら苦手なBLのお約束が。
   河井英槻『王子と乞食』: 展開についていけていない。キャラの判別もつかないし。
   カワイチハル『あふれても声にできない』: 受のダメ乙女っぷりは正直もにょるが。
   本庄りえ『雨にも迷わない』: 正直最後で殺す意図が見えないし,頭出しはさらに。
   大和名瀬『野獣で初恋』,北上れん『ホネヌキにされたい』
▽:町屋はとこ『ねかせないで』,青色イリコ『王子様は憂鬱』,
   高峰顕『スウィート・ライフ』,中井ニコ『君と夜を歩けたら』,
スルー:タカツキノボル『奥さんの妄想的日常』,蓮川愛『恋愛操作-番外編-』,
     石原理『犬の王』,腰乃『嘘みたいな話ですが』,九州男児『部長の恋』,
     亜樹良のりかず『はちみつdarling』,かゆまみむ『団地ヅマ観察』,
     遙々アルク『猿喰山疑獄事件』
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by bonniefish | 2008-09-23 23:59 | 漫画感想 | Comments(0)
2008年 09月 07日

見上げれば空は秋色

久闊を叙した帰路を覆う暮色に諸々の郷愁を誘われまして。しみじみと空は無窮です。


【少年愛の美学EX】 復刊自体は歓迎するも,予想通り男性向け色が強まって微妙。
◎:つくも号『魔法が解ける迄』: このオチのようなショタの提示には強い異もあるが。
〇:鷹勢優『とらんすせくしゃる・ついんず』: 何も考えずに暴走するネタは意外と許容。
△:BENNY'S『看板息子』: あり得ないものの比較的無難な展開とエロゆえ読めたか。
   稲葉COZY『二人だけの学校』: 絵柄も話も一般化というかこなれた感があるなあ。 
   有頂天『放課後フリースタイル』: この体位は物理的にあり得ないだろう・・・。
▽:鹿島田しき『姫製造所』,星逢ひろ『クラスメイト』,秋緒たかみ『夜会の徒2』,
   ひんでんブルグ『女の子のキモチ』,矢間野狐『子羊ちゃんいらっしゃい 女装編』
スルー:柊柾葵『クーロ君・女装でドキドキ』,かるま龍狼『おままごと』,
     三井純『王子姫』,江戸川春泥『イチャ2したいの』,


【好色少年のススメ12】 少ない情報を総合するにおそらく最終号なのだろうが惜しい。
◎:虎向ひゅうら『アルケミスト』: この可愛さと体温の高いHの混淆ぶりが良いかと。
   笹倉綾人『プリルラ』: 相変わらずの淫猥さで大快哉だが,エロ描いて平気なの?
   きりがくれたかや『朱色の結び目』: エロに対するこの微妙な背徳感が堪りません。
〇:ジェームズほたて『隣の恋人』: Hさは認めるが,ただのショートなのが勿体無い。
△:たかしたたかし『プラネタライナス』: ケモミミ設定からは離れられないのか・・・。
   鷹勢優『てんしたちのほうかご』: こういう設定に昏い悦びを覚える辺りがねえ。
   猫玄『夏のお嬢さん?』: 現世かつ病的じゃないネタで描くと読めることを確認。
▽:ベンジャミン『夏は水着で』,無有安利『オウジサマ×オヒメサマ』,
   諸汰鎮孝『それでも僕は彼を求める』,奇械田零士朗『いつだって・とある日常』
×:高津『僕は,勇者。』,RT.『おれのあしたは』
スルー:T.K-1『少年と祭』,奇械田零士朗『Nipple Boy Deepness』,
     龍炎狼牙『僕の父』,上連雀三平『恐竜ロボ バトルダイナソーG』
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by bonniefish | 2008-09-07 23:55 | 漫画感想 | Comments(0)