カテゴリ:801雑記( 59 )


2007年 06月 17日

『その日,僕たちの爪と歯は。』

心身のみならずブログの調子も悪いということで長期のインターバルを頂いていましたが
さすがにそろそろ生存証明くらいはすべきかと思いまして。ただ書くネタもないのですが。


忙しなく疲れ果てた心身を癒すため,暇を縫って久しぶりに鷺沼やすなの表題作を再読。
硬質に研ぎ澄まされた水晶のような文章が青少年の熱波のような情動の奔流を綴る時,
主人公に寄り添う私の目の前に広がるのは総毛立つ程に魅力的な世界とリアルな感覚。
無駄が全く無い筆の運びによって冒頭から根こそぎ作品世界に引き込まれているのに,
その中で繰り広げられるストーリーも登場人物の造形も言動も目映い程に素晴らしくて。

ちなみに,全てが魅力的な本作品の中で,私が何度読んでもただ悶絶されられるのは
真昼の腕の疵跡を撫で上げた際に藍内が理性を失う程の興奮に襲われるシーンです。
この本はなぜ文庫化されないんでしょうかねえ。ネタが社会的に微妙な所為かしらん。

ついでに佐藤亜紀女史の『雲雀』を堪能しつつ読了し,おまけに『天使』を読み返したため
大分調子も戻ったかなと。とりあえずディアプラとルチルの感想は早急に挙げますので。
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by bonniefish | 2007-06-17 23:59 | 801雑記 | Comments(0)
2007年 04月 22日

この週末は

東京から腐男子の友人が泊まりに来て,飲みつつ久しぶりに801談義をしておりました。
彼はこの業界をセミリタイアして久しいので,最近の雑誌のエロ化ぶりにはただただ悶絶。
お互い年寄りらしく『JUNE』世代を懐古しつつ,お勧めした新たな才能に意気投合したりと
なかなか充実した週末でした。ちなみに彼は,私がこの道に入り込むきっかけを作った,
男子高の修学旅行に『MAGAZINE BE-BOY』を持ち込んだ人なんですがね(苦笑)。

しかしリアルタイムに『JUNE』を読んでいない身でありながら,自分が『JUNE』的感性に
親和性を感じることや,他の腐男子の方にも『JUNE』的な嗜好が見られることに鑑みて,
腐男子とJUNE的感性には相関があるのではないか,という話をしていたのですが,
実際はどうなんでしょうかねえ。結論だけで同調してしまい理由を詰めなかったもので。

GWでの帰郷前に実家に送り返す801本の感想を書かねばならないのですがまた後日。
とりあえずせのおあき『空から降るもの』に悶絶しまくりです。現居用に2冊購入した程で。
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by bonniefish | 2007-04-22 23:59 | 801雑記 | Comments(2)
2007年 03月 03日

諸々の重さ

そう忙しいわけでもないのですが一件一件の重さが堪えて。花粉症も悪化していますし。
なのに起案の下書きを放り投げて早朝から和歌山などに出向く辺りの不見識でして・・・。


村上真紀『グラビテーションEX.』を読んだのですが正直理解不能というかついていけず。
あり得ないハイテンションの中勢いだけに任せ無茶苦茶に突っ走るギャグというスタイルは
結構好きだったのですが、さすがに本作のレベルまで来ると不条理とも思えてしまって。

こちらが年を食ってしまったせいもあるだろうし、前作を読んでから時間が開いているので
彼女のノリへの対応が遅れているせいもあるだろうが、作品の側にも変化があるのかと。
作品自体は今でも人気があるようですし、評価は再読してからにしたいとは思いますが、
同人のネタが本編と錯綜しているようにも見える辺り、作者の方への心配も生じたり・・・。
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by bonniefish | 2007-03-03 23:59 | 801雑記 | Comments(0)
2006年 12月 23日

離京が近い筈なのに

今週まで金夜土夜の更新が無い辺りからも生活の状況が知れようかという感じですが。
ようやく一段落はつきましたが、まだまだやるべきことが多いことも悩みの種ですが・・・。


今年に入って、特にここ3ヶ月は特に801小説を買う量が減ったなあと痛感しています。
本を購入する主な場所が書店から密林に移った所為で、購入の決定が慎重になったり
イラスト買いが減少した(画像が小さいので)ことも影響しているのかもしれませんが、
そもそも冒険的な買い方をしなくなった理由を考えれば『違和感の増大』を挙げる他なく。

801を大分読みなれてしまって作品の魅力を素直に享受しにくくなっている点に加えて
『若年向けテンプレ+エロ』と『ハーレクイン系』の2極への特化が目立つ斯界の現状に、
つい守旧的な慨嘆や懐古に耽ってしまう訳で、後ろ向きだなあとの思いも否めません。
最近801漫画の購入量が増大しているのは、小説の代替物となっているからでしょうし。

・・・なぜこんな事をグダグダ書いたかと言いますと、崎谷はるひ『不埒なモンタージュ』を
先ほど読了した際に、これを一体自分の中でどう評価・消化すべきか困ったからでして。
バランス良くエロ満載に仕上げられた作品から空疎さが感じられる点には戸惑いますし
特に直截な言動に塗れたエロがエロスを殆んど覚えさせないのもどういうことなのかと。

特にあとがきを読んでそのそつの無さや冷淡とも取れる作品の突き放しぶりに触れて、
作家にとっての801執筆の動機のあり方等にまでつらつらと思いを馳せてしまいました。
取りあえず801は作品における作者の情熱の重要性が高いジャンルなのではないかと
思っているのですが、この辺りは具体的な作品の感想と同じく別の機会にということで。
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by bonniefish | 2006-12-23 23:59 | 801雑記 | Comments(0)
2006年 11月 24日

草履の冷える間もなく

今朝は渡航先の空港から更新してみようと思ったのですがネタが思いつかず断念(苦笑)。
で明日も早朝から北進する予定でおりますので、今日のところは軽いネタでご寛恕をば。


先日書いたとおり、地方赴任先に持っていくべく予備用の801本を探していたのですが、
ようやく全て揃いましたのでご紹介したく。結局小説・コミックとも16冊ずつになりました。
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小説は全て以前から読み潰し用に2冊所有していたものです。やはり古いものが多いか。
このうちの4冊(藤井・梶本・砂原・うえだ)は誤って2冊購入してしまったものなのですが、
結構お気に入りの作品なので手放さずにおいたものを丁度良いとばかりに持参します。

コミックは逆に全て今回買い揃えたもの。新旧の作品の間に断絶がある辺りが面白い。
時間・金銭・容量的な都合で落としたものも少なくありませんが(『セバ』は迷いました)。
ふとした時に読み返したくなるもので時間も取らないものとなるとこの辺りがベストかと。

まあこんなことは終えている癖に肝心の自分の住居をまだ決めてないのですが(苦笑)。
なすべき事に気力が向かず余計な事ばかりしたがる気性でここまで来ちゃいかんよなあ。
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by bonniefish | 2006-11-24 23:59 | 801雑記 | Comments(0)
2006年 11月 09日

『コイイケ』の宗方はどこを走ったか

下の記事で書いた通り、赴任先へ持っていく本を入手すべく近所のB/Oを回っています。
本は新刊で買うことをポリシーにしているのですが、2冊目や絶版本はまあ許容かなあと。
結構見つかるもので有難い限りですが、未入手だったU-Kのショタ本が一番の収穫かも。


私が801作品中で地理・鉄道的な些事に拘ってしまう事はここここでご開陳しましたが、
最近またその癖が出た例がありますのでご紹介。と言ってもツッコミではなく純粋な推理。

志々藤からり『コイイケ』は、とある地方都市を舞台にした良作揃いの連作短編集ですが、
最後の話では主人公達は遠距離恋愛下にあり、若干のすれ違いを抱えてしまいます。
その状況を打破すべく、上京中の(正確には神奈川県)攻は最終の新幹線に飛び乗り、
地元で待つ受の元に「駆けつける」のですが、ここで私は思わず考え込んでしまった次第。

本編で攻は、電車もタクシー代も無い状況下、陸上部で長距離をしている脚力を活かし
深夜20kmの距離を走り受の許に駆けつけるという感動的なシーンを演じるのですが、
この受がいる地元の町とはどこなのか、というのが俄かに気になってしまった訳ですよ。
なにせこの話の舞台は愛知県で、作中に名古屋駅が出る程ですから興味がいや増して。

改めて攻の台詞を見ますと、「最終の新幹線に乗った」「電車が途中までしか無かった」
「20kmくらい走った」と述べていますので、これが探索の基本的な条件となります。
また、舞台が愛知県と明記され、新幹線を名古屋駅から使っているシーンがあります。
さらに、2人が親交を深めたのは河川敷であること(しかも割と広い川)も判断材料です。


さて、最終の新幹線が名古屋駅に到着するのは23時46分。これは2003年10月の
東海道新幹線品川駅開業時のダイヤ改正のときから殆んど変わっていません。
この時間ですと、地下鉄の範囲内ならばギリギリほぼどこでも行くことができますし、
JR、名鉄、近鉄共にまた運転していますので、これだけでは絞り込むことは困難です。

しかし、地図を見て頂ければ分かる通り、名古屋は愛知県の北西に位置しているため
仮に名古屋から半径20キロの円を描いたとすると、東側~南側の三河方面を除いて
県境にかなり近くなってしまいます。上述の通り名古屋から放射線状に走る鉄道が
動いていることも勘案すれば、この方面の愛知県内に該当する町ははなさそうです。

では三河方面に的を絞りますと、まず名鉄瀬戸線は終電に間に合わないので除外。
また名鉄常滑線方面では知多半田まで行けるものの、該当する町が無いので除外。
すると自ずと東海道線・名鉄本線方面に的が絞れることになります。こちらの方面は
かなりの距離を電車移動できますが、豊橋より名古屋が近い町は限られてきます。

以上を総合しますと、『コイイケ』の舞台は愛知県豊田市なのではないかと思われます。
十分に都市化されていながら広い河川敷があり、また名古屋からも距離がありますし。
後述の通り距離的な用件も満たしていますし、私が訪れた印象からも近いかなあと。
登場人物に訛りが無いのもトヨタ勤務のための転入者が多いためと考えられますし。


では最後に、攻の宗方君は深夜どこをどう走って豊田市に辿りついたのでしょうか?
名古屋から鉄道で豊田に行く合理的なルートは2通り、知立経由か赤池経由かです。
つまり名鉄本線で知立まで行き三河線に乗るか、地下鉄から名鉄豊田線に乗るか。
最終の新幹線からこれらのルートを取った場合、どこまで辿りつけるのか調べますと、
名鉄本線なら鳴海まで、地下鉄なら赤池まで到達可能であることが分かります。

ではどちらの駅から走ったのかを考えてみますと、赤池からではやや距離が短いことや
話の最後に攻が名古屋に向かうシーンで椅子がロングシートではないこと等に鑑みるに、
彼らは普段から知立経由の名鉄で名古屋に出ているものと考えられます。おそらく攻は
普段どおりのルートを取ろうとして、電車が途中までしかなく走ったというのが自然かと。
鳴海駅から県道を東北東に走り、東郷町辺りで国道153号線に出るルートが有力かな。


このようにどうでも良い事をつらつら考えていたのでいっそ皆様も巻き込んでみようかと。
結構作品の舞台やモデルとなった地を探るのは面白いと思うのですがいかがでしょうか。
ただ今回の推測で気になるのは、豊田市を目指すのに鳴海からでは若干中途半端な点。
通常の乗換駅である知立駅から走るなら納得は行くのですが、そこまでは電車が無くて。
実は東海道線だともう少し豊田市までの直線距離が短い駅まで行ける辺りもネック・・・。
他に該当する町がなさそうなので確信はしていますが、異論等がありましたら是非に。
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by bonniefish | 2006-11-09 23:59 | 801雑記 | Comments(0)
2006年 10月 29日

無益な焦燥

土曜日の朝には東京にとんぼ帰りしていたのですが、さすがに心身に疲れも溜まり・・・。
そもそも東奥日報の16日付の記事を見つけるや否や家を飛び出す算段を立てた辺り、
諸々の点で煮詰まっていることは確かでして、全く人格が破綻しているというか・・・。


本日の午前中は友人に誘われまして、とあるイベントに顔を出してくる予定でした。
彼は現在某最高学府に在籍して文学部の博士課程にて研究を続ける気鋭であり、
人品もすこぶる高潔にして人文科学に関する非常な博学を誇る畏友であります。

そんな彼が私を誘ったのが何と『ショタスクラッチ』というショタ系同人誌の即売会!
一応ショタ読みである私も行ったことが無い所に誘われるとは、事実は小説より奇なり。
実は彼は漫画家・ナヲコ氏の大ファンなのですが、彼女がここ10年来書き溜めていた
商業ショタ作品をまとめた同人誌がこのイベントにおいて発売されることとなったため、
その同人誌を贖うべく、同じくナヲコ氏のファンである私を誘ったという次第なのでした。

しかしお誘いを受けておきながら、全く未踏の地たるショタイベントに気後れしたのも事実。
こうしたイベントの参加者は、私と些かならず趣味を異とすると思われる男性読者層が
メインであるとの情報を入手していましたし、そもそもの自意識過剰も躊躇を募らせます。
何度か述べてきた生来のマニヤ気質により、同人誌に手を出したら止まらないおそれや、
また最近溜まっているストレスによって異常に散財してしまう危険性もありましたので。

ともあれ折角の「堅気の友人に誘われてショタイベントに行く」などという美味しいシチュ、
これを利用しない手はないと思い、待ち合わせの上そのイベントに行くこととしました。
また、以前彼にナヲコ氏のショタ作品を読ませたときの反応や、最近の彼の言動から
「実は彼は密かにショタへの親和性が高いのではないか」との疑念も生じていたため
それを煽ったり(笑)確認することもできるのではないかとこっそり考えてもいたのでした。

ところが・・・本日私は見事に寝過ごし、イベントには彼が1人で参加することに・・・。
2つかけた目覚ましを無意識に両方とも止めて寝こけるという芸当をやってのけまして。
守護霊か何かの見えざる手が働いたか、無意識下の忌避なのか、単なる偶然か・・・。
奇妙な後悔と脱力感と安堵感との狭間で、取り合えず目的の本の購入のみ彼に委託。

彼は目的の本のほかナヲコ氏の他の同人誌も入手し、ご挨拶等までしてきたそうです。
私などには思いもつかないことでして、この辺りの行動力や胆力にも敬服いたします。
ナヲコ氏のサイトの日記での謝意の中にも彼を指していると思われる節がありますし、
斯様な気配りを自然と思いつく辺りが彼の人品の尊さを表していて素晴らしいことです。
(どうも自分は必要以上に相手との間に「一線」を引きたがる傾向が強いようでして。
 歪んだプライドや自意識過剰、形式主義や馴れ合い嫌悪などの誤作動ゆえかと。)

彼に購入していただいた件の同人誌の画像は以下のとおり。掲載作の情報はこちら
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コミックガム掲載作以外は掲載誌を所有しているばかりか、自室のすぐ読める位置に
あるのですが(苦笑)、表紙イラスト、書き下ろし作品と解題のイラスト3点が初出の他、
朝比奈まりの影響があること等に触れた自作解題を読むことができたりと大満足でした。
・・・個人的には絵柄面の関連を見て取れないのですが、そもそもが私の眼力では・・・。


という訳でこれでショタの同人誌は、『THE SHOTAROH』、『籠の鳥1~4』に続き
6冊所有していることに相成りました。・・・少ないような多いような微妙な数ですね・・・。
ただ『エヴァ』のシンジものをショタに括ると一気に数が増えてしまいそうですが(笑)。


その後本の引き取りもかねて彼と麻雀にいそしんだのですが、精神的な余裕の無さが
卓上にも現れ私は散々な結果に。負けた時の反応が2人で似ているのも面白い(苦笑)。
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by bonniefish | 2006-10-29 23:59 | 801雑記 | Comments(0)
2006年 10月 02日

毎度のパターン

院に入ることが決まった時期や定期試験前の夏休みと全く同じような状況に陥るあたり、
人間の進歩の無さを改めて感じる今日この頃ですが、部屋くらい片付けないとなあ・・・。
当然感想を書く気にもなれませんで。『小説Dear+』と『ウンポコ』は読了しています。


つれづれにネットを彷徨っていて知ったのですが、あのグダグダ系アンソロ『少年嗜好』は
出版社を変えたのみならず1年足らずでさらにリニューアルまでしていたんですね。
若干は毒気というか自己満足色も薄れたように見受けられるのでとりあえず1冊発注中。

なんだかんだ言って、定期的に買うショタものが無い状況には満足していないのですが、
流石に『デリデリ』を買う気にはならないし、先日買ってみた光彩のアンソロは即捨てで。
今回のリニュが良ければBNも揃えたい所ですが、1200円でもし即捨てだとキツイなあ。
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by bonniefish | 2006-10-02 23:59 | 801雑記 | Comments(0)
2006年 09月 17日

10000HIT御礼

もう少し先かなと思っていましたが、先日の記事のせいでヲチャーの方が増えたようで。
斯様な年寄りのイタいブログを閲覧いただけるとは誠にありがたい限りでございます。

ただ時期が時期ゆえに企画等を思いついたり実行したりできる状況ではありませんので
取りあえずは本日現在の801コミック本棚でも晒すことでお茶を濁しておきたいかなと。
まだコメントをつけていない本も納まっていますが、まあそれはそれということで(苦笑)。
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by bonniefish | 2006-09-17 23:59 | 801雑記 | Comments(0)
2006年 09月 14日

ジャンルを越えて?

蔵書を読み潰しネットを彷徨っていると、一日なぞあっという間に経ってしまう訳でして。
どう見てもニートな生活です。この期にやっておくべき事はあるのですがねえ・・・。


私が青少年を描く801を愛していることは読者諸兄の慧眼には既に詳らかでしょうが、
これは801に限ったことではなく、一般の小説やライトノベルであっても全く同様です。
更に話を広げれば、少女を描く作品も当然含み、性的な側面が無いものも含みます。
描かれる視点に関しても、そのキャラの魅力が感じられれば主体客体を問いません。
個人的には主体側で描かれている作品を好むのですが、その理由はおそらく、私が
物語に郷愁と追体験(といっても実際のものではなく)を求めているがゆえでしょう*1。

こうした憧憬的な要求のうち、青少年の描写を801には求めていることになる訳ですが、
(もっとも801自体への要求としては他の側面も多くあるわけですが・・・こちらなど参照)
その中でも更に恋愛ないし性的な側面を求めて読んでいると自分では思っています。
ただこうした要素が他のジャンルで満たされないのかと言うと決してそうでは無いので、
今回はつれづれにそういった作品を紹介してみようかと。といっても足穂や三島等は
挙げているサイト等も少なくないと思いますので、ここはひとつ変化球で行こうかと。


まず青少年、特に少年が主人公というとライトノベルが挙げられるかと思いますが、
読み手たる少年の嗜好等に配慮してか、恋愛の心理的過程を描くことは多くはなく、
また物理的事実に対する主人公の即物的な反応を描く傾向があるように思います。
これは性的な側面で顕著で、仮に表現されても表面上に留まることが殆んどです。

そうした中で森橋ビンゴの『三月、七日。』および『pulp』のシリーズ(ファミ通文庫)は、
何箇所かにおいて、少年の昏さを含んだ衝動のどろどろした様が抑えた筆致の中に
濃密に滲み出すように描かれており、読んでいて思わず高揚すら覚えてしまいます。
性欲とも所有欲ともつかない、不定形の原初的な欲動の蠢きのような心の動きを
これだけリアルに感じさせる描写は、なかなか見つけることが難しいのではないかと。

『三月、七日。』ではこうした衝動は少年視点で描かれますし、衝動自体は強い割に
性的な描写も少なく話も穏当、とお勧めがしやすい作品です。近親ネタですが。
『pulp』の方は女性視点でダークファンタジーと(801読者には)やや難ありですが、
こちらは性的な描写を含んでいる分だけ読み応え(?)があるとも言えるかなと。


次に挙げておきたいのが講談社F文庫(!)。女性向け恋愛小説レーベルですが、
思春期を扱った作品も少なくなく、少女の視点から少年像が活写されています。
もちろん少女の描写の方が多いので、ここに嫌悪感を覚えるならアウトでしょうが
少年の心身の魅力やそこに惹かれる心情をストレートに描いているという点では、
801より直截かなと思います。失礼ながら平均的筆力もこちらの方が高いですし。

少年を魅力的に描いているという点では、佐倉真呼『プールサイド』、『@ アット』や
中川キリコ『ふれていたい疵跡』等が個人的に好みでしたし、白井かなこの作品は
セクシャルマイノリティーの絡んだ恋愛事情をリアルに切なく描ききっています。
爽やかな半生記のような『真夏の風船』は青春ものとしても十分楽しめましたし、
異性愛と同性愛の狭間で揺れる主人公をその弱さやずるさも含めて描く『ラ・ヴ』も
読み応えある力作です。少年視点のたちばな史『さくら曇りのち、』なども中々かと。

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by bonniefish | 2006-09-14 23:59 | 801雑記 | Comments(1)