Ethos-Annex

tanbi3.exblog.jp
ブログトップ

2004年 08月 18日 ( 1 )


2004年 08月 18日

夏休みも折り返し・続き

英田サキ『君のために泣こう』はオーソドックスな義兄弟ものだが雰囲気が出ている。
幼時に分かれていた義弟と同居を始めるうちに自らの感情が恋情だと気づく辺りは
お約束ではあるがそれなりに読ませるし、落ち着いた筆致も個人的には嫌いでない。
ただ攻の元彼女に攻められて身を引こうとする辺りなどは食傷気味な展開だし、
当て馬の使い方などもご都合な上に後味が悪く、予想通りだったが萎えてしまった。
それでも一定のクオリティはあるので、ベテラン以外には悪くない本であろう。

森本あき『スキとキスの距離』は、たまにはお馬鹿で暴走するキャラを楽しもうと
買ってみたものだが、遊び人だった攻がうぶな受とセックスしたくてたまらないのに
手が出せないという点をこれでもかと強調していてもう笑うしかなかった。
男子高校生が性欲魔人だというのはありえない話ではないが、これはあんまりでは?
雰囲気が盛り上がったときやエロシーンだけ受の描写が女性化するのもちょっとねえ。
さらに続編では2人が良好にエッチをするためにいかに空回りし苦労するかを
これまた延々と描いていて、もうお腹一杯というか勘弁して欲しくなってしまった。
ここまで徹底して恋愛感情と性欲の話を繰り返されると、高校生向けの恋愛道徳の
マニュアルでも読まされているとしか思えず、作者の意図を勘ぐってしまう始末。
恋愛小説なんだからH以外にだっていろいろと書き込んで欲しいのですがねえ。

榊花月『真夜中の匂い』はもはや榊花月らしい話としか言いようがない。
家庭の事情でグレているがうぶな受が、歓楽街で見かけた教師にいつの間にか惚れ、
攻にいろいろと絡んでいくうちに手を出されてしまい、攻の真意を測りかね悩む、
と話が進む辺りはまさに榊節であり、個人的には割と好みなので話に引き込まれた。
やはり各キャラに一癖あるし、攻への恋情が育つ辺りの描写も十分ではなく、
また割と安直にトラウマ系の設定を用意しているなどのマイナス要素もあるわけで
本作も他の榊作品同様に好みが分かれるだろう。割とHがハードなのでさらに。
まあHシーンがエロいけど色気がないのは相変わらずですが。男性向けっぽいのか?

本庄咲貴『取り扱い注意の男』はヤクザものだが、それ以上にオヴィスらしい作品。
買ってからヤクザ×警官という設定だと知り、正直なところ始球式かと警戒したが、
まあ読めなくは無かったかと。ただ心情の書込みが少なく大味な上に、展開が唐突で
しかもイベントが盛りだくさんであり、読んでいて胸焼けがしてしまった。
各キャラのステロタイプでご都合な動き方もここまでくれば現実味が薄れてしまい
却って許容できるというのには驚いたが。個人的には面白い発見ですね。
それにしても主人公を襲う方々のお約束振りには目を覆いたくなるものが。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
[PR]

by bonniefish | 2004-08-18 01:33 | 小説感想 | Comments(0)