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2004年 08月 07日 ( 1 )


2004年 08月 07日

断頭台への行進

はじめ「断頭台への更新」と出てその当意即妙さに吹き出してしまいましたが。
もう8月だというのにサイトの更新などに逃げていて良いものやら。やれやれ。

一応雑文などもものしてみましたが、思ったよりも時間がかかり片方しか上げられず。
その他の方はとりあえず別なところで書いた原稿を一部改変して置いてみようかと。


早瀬響子『恋のソナタをもう一度』はやはりプラチナだけあって酷かった。
出来上がったカップルが別れるプロローグで始まるのだが、ここからすでに駄目で。
情報量が少ないしいきなりエロ(しかもプラチナにしては薄い)だけ書いてるし
その後いきなり3年飛ぶと言うプロットも安直過ぎて萎えるのみ。同人誌か?
しかもこのカップルは音楽家同士なのだが、どちらもリアリティが薄すぎる。
攻は留学後いきなりコンマスをやりオケに首席奏者として誘われるぶっとびぶり。
受の方は父親の会社を継ぎ経営しているというがとてもとてもそんな器とは思えず。
再会してからもろくな心情描写無くいきなりHしてるし、どちらもありえないほど
勝手に自己完結していて、お約束とはいえその安直なすれ違いぶりにため息が出る。
しかも当て馬にしたかったのか突然受の従兄弟が受に襲い掛かるのは意味不明だし、
そこにリハ中のはずの攻が駆けつけるなんて展開には反吐しか出ませんでしたよ。
久しぶりに完全な始球式作品。やはりレーベルを信用(?)すべきだったか。


麻生玲子『デンキの速度で伝われ!』は、筆力もあり中盤までの展開は面白かったが、
アーティストである攻がアマチュアボーカリストの受を何とかして手に入れようと
サイトに個人名を晒して「彼に歌わせたいから活動中止する」と書き込む一幕があり
あまりの脳みその足りなさと傍若無人ぶりに一気に醒めて引いてしまった。
受の立場からしたらまさに冷や水な訳で、これは流石にあり得ないし引くだろう。
その後いくらフォローしたってそんな男に恋愛感情を抱くのは難しいだろうし、
少なくとも本作で書かれる程度の期間やフォロー内容ではとても無理としか思えない。
まあ最後まで読めば、こうした攻の行動はきちんと批判されていて一応教訓ものだと
読めなくも無いが、「思ったことをネットで垂れ流すのがなんと危険なことか痛感した」
なんて攻のモノローグで括ってしまって終わりというのでは受も浮かばれないだろう。
下手したら作家自身のリテラシーまで疑われかねないと思うが。何を考えてるんだか。


坂井朱生『ラジオデイズ』は情緒未発達な受が攻にゆるりと絡め取られるだけの話。
大したエピソードも無くゆるい受の認識のままに話が進んでいくが、それが却って
自然な恋愛感情の育つ様子を匂わせる形になっており、悪い雰囲気ではない。
それにしては攻を好きになる理由というかきっかけが欠けている気がして微妙だが。
いくら恋愛の成長を感じることは出来ても、やはり直截な記載が無ければ困るわけで。
それでもあれこれ考えず雰囲気ににやりとしたい向きにはお勧めできるだろう。
べたべたではない甘々作品としても読めるだろうし。ちとぬる過ぎな気もしますが。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-08-07 01:11 | 小説感想 | Comments(0)