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2006年 02月 22日

『春ものがたり』

いい加減ゼミのレポートも書かないといけないんですが・・・。


以前ネタにした泣き関連で、吉田珠姫の『春ものがたり』が挙げられていたのでここでも。
この人の文章は正直幼い。国語的には問題ないが、どこかたどたどしさが感じられるし
描写もどこか浅いというか平板という感じで、抽象表現や大人の描写には向いていない。
それだけに幼馴染の中学生、しかも素直なキャラ達を主人公に据え、精一杯の恋情を描く
この作品は独特の訴求力を持っており、はまるともう一気に涙腺に来る(死にネタだし)。
褒め言葉ではないが、作者が懸命に書こうとしたものが拙い分だけ直に迫ってくるのだ。

プロットだけ見れば安っぽいと思う。登場する大人の描写やセリフは童話めいてすらいる。
それでも主人公達の懸命さやけなげさはひしひしと伝わってきて、移入せざるを得ない。
間違っても満点はつけられず欠点も多いが、それだけに持つパワーのようなものがあって
読み手を惹き付け心に残る作品になっている。雰囲気は狙っては作れないので貴重かと。
でも後書きを移入モードのまま読むか冷静に読むかで読後感は変わってしまうが(苦笑)。
感性や表現、文章力や描写力からすると、10代による10代のための作品に思えるので。

by bonniefish | 2006-02-22 23:56 | 小説感想


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