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2004年 10月 09日

Is it joking or curiosity?

些事に不意打ちをくらい続けておりまして、日常がうまく回っていないといいますか。
頭の中では『カサヴェテス』の題記のフレーズがヘビーローテして物事も手につかず。


久遠カンナ『背徳のエチュード』は例えは悪いが「よろめき系のAV」のような作品。
「黒アクア」(?)なのでエロシーンがやたらに多く、作者も頑張っているのだろうが、
読んでいると言葉遣いだけが先行している印象が強く、シチュに萌えたりする前に
お腹が一杯になってしまう感じ。ある意味エロくない宇能鴻一郎っぽいかも(笑)。
あとサドマゾっぽいことを書くのなら心情をこんなにあっさり書いてはダメでしょう。
なぜそうされたいのかとか、そうされたらどう感じるであろうかといった辺りについて
ほとんど書き込みがないから全然そうらしく見えないし唐突さを拭えない。
(SM系のエロに関しては西条公威という奇才に触れているため評価が辛いので・・・)

エロシーンの会話が丁寧語なのにも違和感。言葉攻めのつもりなのかもしれないが、
筆力が全く追いついていないため正直言って厭らしさのようなものも覚えてしまう。
雑誌掲載作である以上仕方がないのだろうが、第1話の展開が唐突なのもどうかと。
初のエロに向けては一定の説得力ある流れを作ってくれないと付いていきにくい。
ピアノについての描写は立ち入りを避けストーリーにうまく絡めており好評価だが、
エロシーンにまで絡められると途端に萎えてしまうというか。ありえないでしょ・・・。
ただ当て馬の高校生の描写が作品の雰囲気から見てかなりリアルになっているのは
個人的にかなりツボで、上述のような前半の展開では予想できず思わぬ収穫だった。
特にエロが秀逸。自己中心的な乱雑さの中に幼さやひたむきさが滲む年代の特徴に
そぐう形で造型されているため、読んでいて思わず妄想を掻き立てられてしまった。
全般に微妙なのだが、所々にツボに来るものもあって捨て置けない作品だったかと。


小川いら『宵山恋歌』は花丸文庫は花丸文庫でしかないことを再確認させられた作品。
文章は三人称っぽいのに、17歳とは思えないほど幼くて無知な主人公に寄り添って
話が進んでいくのにまず違和があり、受に萌えさせようとして示されるボケやドジ、
あるいは素直さといったものを肯定的に捉えられず、むしろやや苛立ってしまった。
そもそも京都弁がうざい。受の身勝手ぶりや頭の悪さが際立つ結果となっている。
攻が主人公に惹かれる理由も容姿以外に説得力を持っておらず書き込み不足かと。
この攻も青年実業家だそうだがその描写もやはり足りないし。まあありがちですが。
受が攻の浮気を疑うが何も出来ず悶々とし勝手に避けるという使い古された展開を、
上述のようなキャラでやられるとかなりうんざりしたし。しかも相手は姉ですと?

あと当て馬も唐突かつご都合なのに加え頭の悪い言動を繰り返し始末に終えない。
それでも話はご都合に進んでHの快楽も覚え最後は当然ハッピーエンドになる訳で、
読み終わった後には乾いた笑いしか残らなかったというか。まさに始球式ものだった。
あと舞台設定などに作者の好みが入りすぎていて、正直イタい以外の何物でもない。
作中人物に語らせているあたりも妙に上滑りしているし、そもそもアウトサイダーが
インサイダーの口を使うという時点で無理や醜悪さが滲むのは不可避だと思うのだが。
ただここまで酷評するほどの作品では流石に無いかも。相性が悪かったのだろうか。
花丸文庫の読者層には受けるのかもしれないが、私は全く受け付けられなかった。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-10-09 01:11 | 小説感想 | Comments(0)


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