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2004年 08月 20日

Run and run and hide as you may

They will catch you...
今日はオフでした。歌いまくり&飲みまくりでした。それが全てです。


春原いずみ『BELIEVE~誓いの言葉はひとつだけ~』はつまらないというか。
主人公の攻が高校生くらいの頃からパトロネスに高級志向を叩き込まれたという
設定自体が個人的に始球式ものだが、その後も主人公は自己中な発言を繰り返すし
受についても綺麗だから欲しくなったという理由だけで露骨なアプローチをしていて
一応801ワールドではない舞台で話を進めている以上もう少し配慮して欲しかったり。
受の設定などは安直だがまあ悪くないし伏線としても生きてはいると思うが、
露呈の理由がそれまで完全な脇キャラだった人間の謀略で、しかも発信機となると
些かならず萎えてしまう。それはいくらなんでも無茶な不意打ち過ぎるのでは?
さらに受がそれだけの心理的ダメージを受けつつも恋愛感情を理由に許してしまうし。

本作に限らず思うのだが恋愛というのは全てにおいて免罪符として働くのか?
特に相手の受けた傷が深いと思われる場合や恋愛過程における裏切りの場合にまで
安直に許されてしまうとご都合さに付いていけなくなってしまうのだが。
相手への好意で許す、という流れにしたいなら、その当事者へ与えるダメージを
これほど強く深くする必要は無いと思うのだが、私だけの感覚なのだろうか。


咲花チハル『甘口バランス』はお馬鹿系に説明を盛り込もうとして失敗している感じ。
冒頭の夢のシーンは暗示を込めているのだろうが意味不明。幼馴染とキスをした
記憶がなぜ途中で見知らぬ男に入れ替わる意味があるのか? 予知夢だとでも?
その後の脇役2名の設定は面白いと思ったが(受くさいのに主人公を狙うとか)、
肝心の攻が自分勝手な割に考えなしで傍若無人という駄目なステロタイプではなあ。
俺様な言動を周りが納得している点についても説明が不足していて唐突だし。

主人公への恋愛感情を持て余しているという理由はあるにせよ、知人をけしかけて
襲わせた上で救出に現れ言質を取るなんてのは常識が無さ過ぎるのでは?
脅迫されて主人公が我を忘れてしまう辺りも不自然。まあ理性が飛んだ状態で
エロになだれ込むというシチュというかストーリー展開上仕方が無いとは言えねえ。
というかこの辺りも攻のキャラとしてどうかとは思うのだが。格好良きゃ良いのか?
とにかく突っ込みどころが多く、読んでいて目が本から離れることが多かった。


坂井朱生『うらはらな予感』は1冊1カップル型のシリーズものだと知らず購入。
もちろんこれだけでも読めるのだが、無意識に前2作を前提とした展開が出ていて
正直全く移入できない。主人公である受がかなり「いい性格」をしているのだが、
この辺りが読者や周囲の承諾を得ている形で描かれているので、本作から読むと
そのキャラの嫌らしい部分のほうが目に付いてしまい不快に感じられてしまった。
また脇キャラも非常な策謀家として描かれており、主人公らと高校を牛耳るという
描写があるのだか、これも本作だけでは説得力がなく非常に嫌味な集団に映る。

まあ天才が闊歩するのも801のお約束ではあるのであまり突っ込みはしないが、
読んでいて萌えるべくもなく「勝手にやってくれ」的な感想しか持ち得なかった。
まだ勧善懲悪的な痛快さや知能の卓抜さを示すようなエピソードでもあれば良いのに、
思わせぶりなセリフだけで天才だと言われてもねえ。致命的な描写の失敗だろう。
要は前2作でキャラの設定などは出来ているものとして、それ以上の書き込みを怠り
いかにくっつけるかという意識だけで話を進めてしまっているのではないだろうか。
出来事と身勝手なモノローグばかりが延々と続くように読めてしまい辟易した。

私が以前から「芝居の書割」と言って低く評価している作品は、本作のように
ストーリーが前面に出すぎてしまい出来事の羅列としか思えないものを指している。
とくにシリーズものの後半であったり、始めから長編を期して書いているものなどに
良く見られるのだが、これではあまり移入のしようもないし個人的には楽しめない。
ストーリーを書きたいのは分かるが、やはり恋愛小説なので心情は書いてくれないと
なんだかプロットを読まされているような気分になってしまう。あるいは備忘録か。
また、恋愛感情があることを所与として書かれている話にもまま見られることが多い。
この場合も2人の関係の外形的な展開に気を取られて心理描写が疎かになるのかと。
まあ心理描写がされたからといって良い作品だというわけでは全く無いわけだが、
自分として主眼にしているものが欠けている作品には苦言を呈したくなってしまう。
もし短編ならシチュだけでも良い作品になるとは思いますが、長編では辛いですね。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-08-20 00:34 | 漫画感想 | Comments(0)


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