2004年 01月 16日

補足

因みに今年に入って読んだ本のピカイチは福井晴敏の『川の深さは』ではないかと。
「国防」という問題点から描かれる作品は多いであろうと思われますが、
その縦軸に横軸たる登場人物の希望、挫折、機微そして漢気が
綿密かつ魅力的に書き込まれていますので、ページをめくる手が止まりません。
ミステリとしての側面もあり、二転三転するストーリーに引き込まれ、
読後にはずっしりとした感慨と共感、そして希望が湧いてくる。
活字好きなら是非オススメしたい一冊。

ただ本作品はネタとしてオウム事件や北朝鮮を扱っていまして、
そのあたりはちょっと安直というか説明チックな感じもします。
そこまで背景を深く読み込まず、かつ作中人物に感情移入して読むなら
スペクタクルに浸り満足感が得られると思います。

あと、借り読みにとどめていた『マリ見て』をついに1冊買ってしまいましたが、
はまるという感覚には縁遠そうかと。なんか機械的に書かれてる感じがいや。
ていうか番外編見て思うに、この人はもうネタの引き出しが無いんじゃないかと。
綿密にしっかり立てたキャラと、スール制度という秀逸な設定をうまく使って
手駒をいろいろとこねくり回しているだけな気がしてきます。
季節ネタなどの定番とキャラの絡みをうまく料理する筆力は十分にありますし。
ただ読んでいて新鮮味が無いというか移入できないというか機械的な印象を受けます。
ろくに読み込んでみないのにこれ以上書くと殺されそうなのでやめますが。

(初出:『Ethos』「やおい雑記」。本記事は2006年10月12日に転載されたものです。)
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by bonniefish | 2004-01-16 22:48 | 身辺雑記 | Comments(0)


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