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2006年 09月 14日

ジャンルを越えて?

蔵書を読み潰しネットを彷徨っていると、一日なぞあっという間に経ってしまう訳でして。
どう見てもニートな生活です。この期にやっておくべき事はあるのですがねえ・・・。


私が青少年を描く801を愛していることは読者諸兄の慧眼には既に詳らかでしょうが、
これは801に限ったことではなく、一般の小説やライトノベルであっても全く同様です。
更に話を広げれば、少女を描く作品も当然含み、性的な側面が無いものも含みます。
描かれる視点に関しても、そのキャラの魅力が感じられれば主体客体を問いません。
個人的には主体側で描かれている作品を好むのですが、その理由はおそらく、私が
物語に郷愁と追体験(といっても実際のものではなく)を求めているがゆえでしょう*1。

こうした憧憬的な要求のうち、青少年の描写を801には求めていることになる訳ですが、
(もっとも801自体への要求としては他の側面も多くあるわけですが・・・こちらなど参照)
その中でも更に恋愛ないし性的な側面を求めて読んでいると自分では思っています。
ただこうした要素が他のジャンルで満たされないのかと言うと決してそうでは無いので、
今回はつれづれにそういった作品を紹介してみようかと。といっても足穂や三島等は
挙げているサイト等も少なくないと思いますので、ここはひとつ変化球で行こうかと。


まず青少年、特に少年が主人公というとライトノベルが挙げられるかと思いますが、
読み手たる少年の嗜好等に配慮してか、恋愛の心理的過程を描くことは多くはなく、
また物理的事実に対する主人公の即物的な反応を描く傾向があるように思います。
これは性的な側面で顕著で、仮に表現されても表面上に留まることが殆んどです。

そうした中で森橋ビンゴの『三月、七日。』および『pulp』のシリーズ(ファミ通文庫)は、
何箇所かにおいて、少年の昏さを含んだ衝動のどろどろした様が抑えた筆致の中に
濃密に滲み出すように描かれており、読んでいて思わず高揚すら覚えてしまいます。
性欲とも所有欲ともつかない、不定形の原初的な欲動の蠢きのような心の動きを
これだけリアルに感じさせる描写は、なかなか見つけることが難しいのではないかと。

『三月、七日。』ではこうした衝動は少年視点で描かれますし、衝動自体は強い割に
性的な描写も少なく話も穏当、とお勧めがしやすい作品です。近親ネタですが。
『pulp』の方は女性視点でダークファンタジーと(801読者には)やや難ありですが、
こちらは性的な描写を含んでいる分だけ読み応え(?)があるとも言えるかなと。


次に挙げておきたいのが講談社F文庫(!)。女性向け恋愛小説レーベルですが、
思春期を扱った作品も少なくなく、少女の視点から少年像が活写されています。
もちろん少女の描写の方が多いので、ここに嫌悪感を覚えるならアウトでしょうが
少年の心身の魅力やそこに惹かれる心情をストレートに描いているという点では、
801より直截かなと思います。失礼ながら平均的筆力もこちらの方が高いですし。

少年を魅力的に描いているという点では、佐倉真呼『プールサイド』、『@ アット』や
中川キリコ『ふれていたい疵跡』等が個人的に好みでしたし、白井かなこの作品は
セクシャルマイノリティーの絡んだ恋愛事情をリアルに切なく描ききっています。
爽やかな半生記のような『真夏の風船』は青春ものとしても十分楽しめましたし、
異性愛と同性愛の狭間で揺れる主人公をその弱さやずるさも含めて描く『ラ・ヴ』も
読み応えある力作です。少年視点のたちばな史『さくら曇りのち、』なども中々かと。



最後に敢えて爆弾を踏み、男性向けエロにおけるショタについて簡単に触れようかと。
といっても同人誌やサイトではなく(そもそも存じませんし)、あくまで商業誌の話。
ただしショタと男性向けエロの描き手の重複ぶりからして、こうした作家のエロ作品が
ショタ色を帯び得ることも想像に難くないでしょうから、それは除外しますが。

伝説の同人誌『THE SHOTAROH』(←なぜか所有)を見ますと、801作家に混じり
雑破業や陽気婢がアンケートを寄稿しています。特に雑破業のナポレオン文庫の
諸作品に必ずショタ描写が含まれていたことは結構有名ではないかと存じます。
またJ.さいろー『SWEET SWEET SISTER』の存在も割に知られているようです。
(といっても男性読者の間だけの話かも知れませんが。『SSS』の未入手が痛い・・・)

さらに官能小説レーベルを紐解きますと、「少年もの」は一ジャンルを形成しています。
ただし大半のものは、年上属性を保ちつつ女性の年齢を下げるための設定としてか、
あるいは自我の無い、精神的に去勢された状態で女性主導で性的行為に及びつつ
男性としてのプライドを損なわないための言い訳として「少年」を用いているに過ぎず、
そういった嗜好の無い限りとても読めたものではないというのが個人的な感想です。

「ロリータもの」の中には少年少女同士という設定のものも幾つかあり、さらに中には
しっかり「少年のエロ」を描いたものも散見されますが、あくまで作品レベルの話です。
そんな中コンスタントにショタ描写を含みかつ極めて官能的な作品を書くのが橘真児
氏の作品のほぼ半数を占める少年少女ものはどの作品もかなりの傑作揃いです。
特にMMの3,5,8,10作目やGDの7作目などが愁眉で、これが一般エロとして
受け入れられるのかと正直驚いたほど(私のようなファンが付いてるだけかも・・・)。


まあこんな調子で、ジャンルを問わずに「801的ニーズ」を満たしている訳ですが。
今回は個人的な嗜好が強すぎるせいであまり他人の参考にはならない代わりに、
自分のスタンスというか在り方のようなものが仄見える記事にはなったかなあと。
後段の顰蹙ぶりは赤面ものですが、とりあえず晒しあげて様子見ということで。


*1 若干話が逸れますが、これは実は性的描写においても同様でして、これが故に
   私は大人×子供のショタを好まないのではないかと思っているのですが・・・。
   「性的描写=自らの欲望の対象として読むもの」とは限らないというテーゼは、
   この論点に飛び火した前回の祭りの際に再認識できた貴重な経験則ですので。
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by bonniefish | 2006-09-14 23:59 | 801雑記 | Comments(1)
Commented by bonniefish at 2006-09-15 15:35
今回の記事とは話がズレますが、中段で挙げた白井かなこに関連して。
セクシャルマイノリティーを描いた作品としては、中山可穂(サイト時代に紹介)をやはり挙げない訳には行かないなあと。行間から溢れ出すあのリアルな情動と苦悩の奔流にはただただ圧倒され感嘆するのみです。
でもこういった「同性愛ゆえの悩み」は最近801では嫌われてますからねえ。元来あったものだってJUNEの重い一部を除けば大分ライトにコンサイスしてあったというのに、それすらも「エンターテインメント」の妨げとされてしまうとは・・・。


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