2012年 11月 23日

警鐘に耳を欹て

はや帰国後4か月を過ぎることに愕然としつつ懶惰に日々を過ごしております。
都下の勤務は残業こそ減りましたが仕事の種類が増え,また接客的(?)な仕事も多く,
なかなかに慌ただしい中,通勤に鉄道を使わなくなったためその分の読書時間が減り,
在米中に身についたネット中毒が抜けきらないまま時を浪費する傾向にありまして。

せっかく減らしていた購入量も最近は2~3割増しになっていますので,実家にあった
膨大な積読本についてはコミックこそ処理できましたが,文庫本は諸ジャンル合わせて
80冊程度に上り,一人暮らしのワンルームの一画でうなりを上げ続けております・・・。

ともあれ流石に1年分の積読本を読むと一言コメントしておきたい物も少なくありません。
昨夜佳作を読んだ勢いのまま,手許にある分だけでもいくつかご紹介しておきましょう。


名取いさと『日陰蝶』は,表紙の受らしき剣道少年の色気に惹かれ試し買いしましたが,
これが頽廃した淫猥さや昏い欲動に満ちつつも受のストイックさを良く醸し出していて
なかなかに堪能できる作品で,思わず3度読みして悦に入ってしまった次第です。
(もっともこれは後述の理由により読み込みを強いられたせいでもありますが。)

脇役のカップル(?)の描写が過剰気味だったり,逆に受攻ともに当て馬役との関係や,
攻の教師の過去などがあまり描かれていないためにやや分かりにくくなっていましたし,
何よりメインカップルが出来上がった瞬間に話が終わっているなど消化不良な点も多く,
構成力不足との評価は否めなさそうですが,それでもぐいぐい引き込まれる作品でした。
メインの3人に話を絞って描き切れば素晴らしい作品になったことは間違いないかと。
今後の作品にもかなり期待できますが,この脇カップルの話ならもういいかな・・・。


上作から頽廃さと不健康さを取り去りリア充さとおバカさを加えたとも言えそうなのが
如月マナミ(渡海奈穂原作)の『純潔ドロップ』。同じ高校を舞台とした兄弟作の一で,
もう片方は全く性に合わなかったのですが,本作は明るさとエロさのバランスが秀逸で
渡海奈穂の良い面(というか私の好きな面)が存分に出ていて非常に楽しめました。

顔は良く勉強もできるが天然ボケの攻と,スポーツ万能でストイックだが単純系の受が,
天敵であったにもかかわらず不意の邂逅から校内で性的な触れ合いを持つようになり,
互いの幼さからこれにのめり込む中で,攻がS的な喜びに,受が自分のMさに気づき,
最終的に互いにハマってカップルとして出来上がるいきさつが生き生きと描かれます。
一見どちらも受っぽく,受の方が攻くさいのですが,これが快楽に負けていく姿が
本当にエロかわいく,無邪気なSとわんこ系受の初々しさにかなりしてやられました。
(しかし受の方が気力体力があるので下剋上的要素も否定できないという美味しさ。)


他は実家に収容してしまったものも多く,手元に残してあるものだけ若干触れますと

ややテンプレやドタバタ劇に終始してしまい,各キャラの恋愛感情の深化の描写が
浅くなってしまったのが惜しまれるものの,相変わらずのキャラの可愛さは秀逸で
誠に微笑ましく,気軽に明るく楽しめたナナキシコの『お兄ちゃんの言うとおり』,

設定オチに近く各キャラの言動も破綻しており読書中いらつきすら覚えるダメさも
(しかも一見そうは見えないし,むしろ売れる要素が満載というのがまた度し難い),
零君が性格から見た目から全てドツボでやめられないあべ美幸『SUPER LOVERS』,

「エセファンタジー」になったことで設定等のいい加減さがさらに増した気もするが
脱力系でしなやかな各キャラの魅力がたまらないせのおあき『裏の祠の狐憑き』,

等が特筆すべきかと。最近とみにキャラの可愛さに弱くなっている気がします・・・。


あとは古い話ですが『小説Dear+ 2011 アキ号』掲載の渡海奈穂『いばらの王子様』。
朴訥としつつホモは隠せない田舎の旧家の長男である攻と,その幼馴染みのいとこで
元来の天の邪鬼ぶりがとある事件でさらにひねくれつつもデレ要素も残した受とが,
7,8年ぶりの再開を機に攻が受の手練手管であっという間に絡め取られてしまうもの。

いやこれが受の魅力の描写がたまらなく,かつての美少年時代の小悪魔的かわいさや,
現状のひねくれっぷりの背後に覗く純情さや必死さにもうしてやられること必至です。
ラストシーンでの受の述懐と,それを乗り越えるほど受にはまっている攻の心情が
どちらもとてもリアルに描かれており,久しぶりに801小説の妙を味わえました。
さすがは渡海奈穂の面目躍如でして,せのおあきの美麗なイラストも最高でした。


この夏は数年ぶりにアニメにハマってみる(米澤穂信原作の『氷菓』です)など,
若干の新機軸もありましたが,気がついて見れば十年一日の生活を送っております。
今後に向けた活動等もしていないではないのですが,まあ暫くは現状維持かなあと。
たまにはこんな長文をものしたり戯れにスキンを変えてみるもの悪くないですしね。
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by bonniefish | 2012-11-23 15:57 | 漫画感想 | Comments(0)


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